「ただいまー名前!あけましておめでとう!」 「おめでとうフェリくん!あれ…もしかして空港から直行してくれたの!?」 「うん!早く名前に会いたかったんだ〜俺!」 「そっかー。あれ、ロヴィーノ君は?」 「あ、忘れてた!兄ちゃん車酔いしちゃってバテてんのに置いて来ちゃった!」 「えええ!?ど、どこに!?」 「多分マンションの前だと思うんだけど…」 「フェリ君は中に入って休んでて。私が迎えに行ってくるから」 va bene!本場のイタリア語らしい発音で返事をしたフェリ君。 大きいトランク運んでまで直行しなくてもよかったのになぁ…。 早く会いに来てくれたのはすっごく嬉しいけど。 「ロヴィーノ君大丈夫ー!?」 「う…気持ち悪いぞちくしょー…」 「大変だったねぇ…。立てる?」 マンションの前のブロックに腰掛けてう垂れているロヴィーノ君を発見し、直ぐさま彼に駆け寄る。 扇い顔しちゃって…大丈夫かな。 「気持ち悪い…うっ…」 「とりあえず私の部屋まで頑張って!」 「ちぐしょ…格好悪い…」 「こんな時にかっこつけようとしなくていいの。」 ロヴィーノ君の大きなトランクを片手に持ち、もう片方の手で彼の背に手を回し体を支える。 なんとか部屋まで連れていき、ソファーの上でフェリ君に抱き着こうとしているギルを足蹴りして地面に落とし、空いたスペースにロヴィーノ君の体を下ろしてあげた。 「ヴェー…兄ちゃん大丈夫…?」 「お前…俺を置いて行きやがって…このやろー…」 「だって早く名前に会いたかったんだよー…」 「はいお水。大丈夫?」 「おいこら名前…俺様を地面に蹴落としといて一言もねーのかよ…」 「あぁ、居たのギル。そんな所で寝転がってたら踏んづけちゃうでしょーが」 「……」 何か文句を言いたげなギルを無視してロヴィーノ君の顔色を伺うと、少しましになったのか顔色が良くなっていた。 「あ、そうだ名前!これお土産〜」 「ありがとうフェリ君。前みたいなお土産、じゃないよね…」 「今回はかなり悩んだんだよ!まずすっごく美味しい生ハムにー、街でみかけたすっごく可愛いブーツ!それからそれから…」 「ってちょっとちょっと!!その大きいトランクの中にそんなのも入ってたの!?」 「ヴぇ。気に入らなかった…?」 「いやいや、嬉しいけどね、嬉しいけど!!」 「おい名前。こっちは俺からだ」 「ロヴィーノ君も…?」 「前にランジェリープレゼントした時に怒られたから今度は違うものにしたぞ」 「なんだろう……ってこれ…」 がさがさと包みを開くと、中から出てきた向こうが透けて見える生地で作られた…。 「ネグリジェですか」 「ベビードールってやつ」 「ねぇロヴィーノ君」 「なんだよ」 「これを私にどうしろと」 「着ればいいじゃねーかちくしょー」 「どこで」 「ここ…はダメだ!!絶対ダメだからなバカ!!」 「なんで俺を見て言うんだよ!?」 「おい名前、俺の家に住まねーか?弟をこっちに追いやってお前が俺のところに来ればこのギルベルトも喜ぶぜ」 「えええ!!俺がやだよー兄ちゃん!!」 「やだって…フェリちゃん…」 「ギルベルトが兄ちゃんのとこに行けば俺がここで名前と一緒に居られるんじゃん。ね、名前。俺ト一緒じゃ嫌?」 「うん、まずどうしてこんな展開になったのか教えてもらえるかな」 「「ベビードール姿見たさから」」 「声揃えて言わなくていいよこのイタリア兄弟!!」 彼らのあたまからくるんと生えている髪を両手で引っ張るとへなへなと地面に這いつくばって大人しくなった。 まったくこの子達は世話がやけるというかなんというか…。 ずっと面倒見てるルート君を称えてあげたい気分だよ。 その後二人がくれたお土産の品である食べ物などをいただきながらイタリアの土産話に花を咲かせた。 楽しそうだなぁ、イタリア。 私も一度は行ってみたいなぁ、なんて呟くと「いつでも俺が案内してあげるからね!」とフェリ君が名乗り出たのに続けて「俺が案内するんだから出しゃばんじゃねーよ!」とロヴィーノ君が頭から湯気をたたせた。 ぐいぐいと押し合う二人をギルが「可愛いぜフェリちゃん」とうっとりした顔で見つめていたのがやたら気持ち悪かった。 うん、本当に気持ち悪くて腹が立つぐらいに。 . ←|→ |