「ほんっとに悪い!!一時間ぐらいで戻ってくるからピーターの事頼む…!」

「はいはーい。どこかで美味しいもの食べながら待ってるよ」

「すぐ戻るからな!!ピーター、名前に迷惑かけんじゃねーぞ」

「いつも名前の世話になりっぱなしのお前に言われたくないのですよ」

「んだとコラ!!」

「はいはい。急いで会社行かなくちゃいけないんでしょ?」

「そうだった…!!それじゃあ終わったら電話するからな!」

「はいはーい」


朝から本田さんの家の大掃除に借り出されたギルを除き、アーサーと二人で買い物に出かけることになった。
急用ができたという事でアーサーのお母さんからピーター君を預かり、買い物を済ませて三人で美味しいものを食べようか、なんて話していた所でアーサーは会社からの呼び出し。
予定外の事に機嫌の悪そうなアーサーに「待ってるから早く済ませてきなさい」と会社へ向かわせた。


「さてと。買い物も終わったしどこかで休憩しようか。何か食べたいものある?」

「ラーメンが食べたいですよ!」

「よーし。じゃあとっておきのお店に連れてってあげるねー!」

「沢山食べて支払いはアーサーの野郎にさせるのですよ。あ、名前。荷物半分持つですよ」

「ありがとう。ピーター君は紳士だね」

「男として当然じゃないですか」

「かっこいいなぁ…!」


ピーター君に荷物を少し持ってもらい、空いた手を繋いで亜細亜飯店へと向かった。


「いらっしゃいませなんだぜ!って、名前!!」

「こんにちはーヨンス君。席空いてる?」

「空いてるんだぜ。ん…?そっちのちっこいやつは誰なんだぜ?」

「あ、この子はピーターくんだよ。アーサーの弟」

「眉毛がソックリなんだぜ」

「似てないのですよ!!」

「ソックリだぜ!」

「似てないですよ!!」

「こらこら喧嘩しないの…。ヨンス君もお兄さんなんだからからかわないで」


ヨンス君に席まで案内してもらい、ラーメンや餃子などを適当に注文する。


「あいやー、来てたあるか名前」

「こんにちは耀さん」

「なんでも好きなもの食べるよろし。この間迷惑かけた詫びにご馳走してやるあるよ」

「マジですか。じゃあ桃饅と杏仁豆腐と胡麻団子とフカヒレスープ二人前お願いします」

「本当に遠慮しねーあるな」

「迷惑かけられた分食べておかないと割に合いませんよ。それで、その後本田さんとはどうなんです?本田さんに聞いても答えてくれないんですよ」

「我もずっと電話をかけたりメールを送ったりしてるあるよ。でも全然反応を返してくれねーある…」

「いつも思うんですけどそういう本田さんの個人情報どこから仕入れてくるんですか」

「企業秘密あるよ」

「…」


なんだかなぁ。
親や兄弟のような人にあれこれ言われるのは鬱陶しい…本田さんの気持ちも分かるけど、本田さんも同じ事を私にしてるってこと気づいて無いんだろうなぁ。
私は兄弟とか居なかったから構ってもらえると…まぁ、嬉しいけど…。

その後亜細亜飯店の料理をたらふく堪能し、迎えに来たアーサーの車に乗ってピーター君を送り届けてからマンションへと帰って行った。


「あーもう、疲れたぜー…」

「お疲れ様。本田さん家広いから大変だったでしょ」

「あいつ秘密の部屋大すぎんだよ…漫画部屋広いし…」

「いつもお世話になってんだからいいでしょーが」

「お前は買い物行って美味いもん食ってんだからいいよな」

「あーはいはい。ごめんね。肩でも揉んであげようか?」

「おう!」


ソファーに座っているギルの後に回り、肩に手を添えて揉み解す。
結構硬いなぁ…。


「どう?」

「力弱すぎだぜ。もと強くしねーと…」

「こう?」

「あーもう、違う!!こうだよこう!!」


私の体をくるっと回転させればギルの手が私の肩をもみ始める。


「うわぁ…きもちいい…」

「だろ」

「ギルいつのまにこんなに上手くなったの…」

「本田の肩揉んでやってる内に上達したんだぜ!すげーだろ」

「うん、すごいすごい。あー、気持ちいい…あーもうちょっと左…」

「ここか?」

「あぁそこそこ!!そこをぎゅーっと…」

「って、なんで俺様がお前の肩揉んでんだよ!?」

「いやー!!止めないでよ!!」

「アホ!!お前が俺の肩揉めよ!!」

「しょうがないなぁ…。これでどう?」

「まぁさっきよりはましだな」

「まー偉そう」


しばらくギルの肩を揉んであげれば「次は腕!!」などと言うので仕方なく腕も揉んでやった。
まぁ昨日と今日は頑張ってくれたしたまにはいいか。
マッサージしてやったのが気持ち良かったのか、目をトロンとさせてうとうとしているギルの頭を撫でて「もう寝なさい」と言うともぞもぞと膝に頭を乗せられた。

犬モードか…。
しょうがないなぁ、まったく。


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