「大!掃!除!はい雑巾持って!!ギルは窓拭きね。あとトイレ掃除とお風呂の掃除と…あとベランダね」

「待てよ!!お前はどこ掃除すんだよ!?」

「私はリビングと自分の部屋とキッチン。さぁ始めましょう!!」

「うえー…」


袖をまくって掃除道具を片手に大掃除を始める。
なんだかんだ言ってもう年末だもんねぇ…。
こういうのは早くやっておかないと後で困るからなぁ。
ギルも居るし今日中に終わるだろうし。
さーて、やるぞ!!


「ギルー、お風呂はちゃんとカビも落としてね」

「わかってるっつの。ったくめんどくせー…」

「新年を気持ちよく迎えたいでしょうが。それにその年の汚れはその年の内に綺麗にしておかないと次の年は良くない事が起こっちゃうんだよ」

「マジかよ。なら仕方ねーな…」

「お昼はピザでも取ろうか」

「おう!」


いつもは手が行き届かない場所に積もった埃や汚れを綺麗に拭き取ってゆく。
集中して掃除をすればあっと言う間に時間は過ぎ、そろそろお昼の時間となってしまった。


―ピンポーン


「あー、はいはいー」

「まいどおおきに!ピザ屋ですー」

「トニーさん!ご苦労様〜」

「もしかして名前ちゃん大掃除中なん?大変やなぁ」

「そうなんだよねー。トニーさんは大掃除しなくてもいいの?」

「うん。俺ん家大掃除するほどでかくないし物も少ないからなぁ!一時間もあれば充分やんねん!!」

「胸を張って言わないで…辛いから…」

「俺もちょっと間ここに居たわけやし大掃除手伝えたらええんやけどなぁ…。ごめんな、バイトぎっしり入ってもてるねん…」


申しわけなさそうにしゅんとなるトニーさん。
そんなに気を遣わなくてもいいのに…。


「大丈夫だよ、ギルも居るし。年末で忙しいからトニーさんも大変だねぇ」

「せやねん!あ、名前ちゃん正月はこっちおんねんやろ?よかったら初詣とか一緒にどうかなー思ててん。名前ちゃんの着物姿とか見たいなぁ見たいなぁ…ハァハァ…」

「息荒いよ!!いや、私実家帰るつもりなんだよね…ギルやアーサーやルート君連れて」

「な、なんやてぇええええええ!?」

「3日には帰るつもりなんだけど…」

「あああ、俺も一緒に、ああああでもしっかり入ってるやぁあん!!くそ、なんで俺だけ!!なんで俺だけやねんんんん!!」

「おおおお落ち着いてトニーさん!!帰ってきたら皆で初詣行こうよ!!ね!?」

「せやけど俺もまた名前ちゃんのお爺ちゃんとお婆ちゃん会いたいねん…。くそっ、なんであんなプーや眉毛だけ…」

「いや、今回はルート君と本田さんも居るしね…」

「余計むかつくわー…。ロヴィもイタリア帰ってまう言うし…。しゃあない、嫌々フランシスんとこに世話になりに行くわ。家に居るより美味いもん食えるしな」


嫌々って…。フランシスさん、今だけ貴方を同情します。

トニーさんからピザを受け取り二人で味わえば再び大掃除を再開する。
夕方になる頃にはなんとか掃除も終わり、ホッと安堵の溜め息をついた。


「これでとりあえずは安心して新年を迎えられるね。実家に帰るから御節も作らなくていいしー」

「んだよ、案外楽じゃねーか」

「でも一応お酒とかお餅とかは買っておかないとね。イヴァンの誕生日プレゼントも買いたいから明日は買い物に行かないとなぁ…」

「イヴァンのやつ誕生日近いのかよ?」

「うん。30日だからね。何プレゼントするか迷うなぁ…」

「適当に選べばいいんじゃね?一応なんでも喜びそうだし。腹の中で何思ってるかは知らねーけど」


うーん…悩むなぁ。
まぁ買い物しながら考えよう。
時間があれば本田さんの家の大掃除も手伝いたいなぁ…。
毎年一日じゃとても終わらないって言ってたし…。
広い上に一人だもんね…。

さて、お正月までもう少し!
31日には実家に帰るしやる事すませちゃわないと…!

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