「酷いじゃないか酷いじゃないか!!急いで駆けつければもう皆帰ってるし!!クリスマスなんだぞ!?なんで夜中までパーティーしないんだい君達は!!」

「そんな事私に言われても困るよ…。みんな次の日も仕事があるんだししょうがないって」

「NOOO!!俺は君のサンタ姿がこの目で見たかったんだよ!!」


キッチンに立っている私の肩を揺らしながら、テレビ放送されるなら「ピー」が入りそうな言葉を発するアルフレッド君。
やっぱりアーサーの弟だな…。


「静かにしろよアルフレッド。でっかいケーキ買ってやっただろ?」

「君は昨日名前の可愛い姿を沢山見られたからいいじゃないか。俺は見れなかったのに。俺だって皆とケーキ食べたかったんだぞ…」

「まぁそう仰らずに…。あとで写真を焼き増しして差し上げますから」

「俺は生身が良いんだよ生身が!!」

「静かにしなよーアル…。あ、メイプル食べる?」

「必要ないよ」

「ごめん…」


何がそんなに見たいんだか…。
まぁ皆で騒ぎたかったって気持ちはよく分かるけどね。


「さぁ、準備できたよ!アルフレッド君も落ち込まないで。クリスマスの本番は今日なんだから!」

「むー…俺が一番大きいケーキだぞ!!」

「分かってるって」

「シャンパン開けようぜ!!」

「馬鹿、こっちに向けて栓開けようとしてんじゃねーよ!」

「はい、名前さんどうぞ」

「ありがとうございます」

「皆行き届いたか?」

「おう!」

「それじゃあ皆で乾杯しよっか!」

「あぁ!!それじゃあ、メリークリスマァアアス!!」

「「「「メリークリスマス!!」」」


皆でグラスを合わせて乾杯をし、テーブルに並べられた料理に舌鼓を打つ。
結局皆でパーティーみたいな感じになっちゃったけど、アルフレッド君も嬉しそうだし良いよね。


「そうだ名前、これ俺からのプレゼントだぞ!!」

「うわっ…何これ…」

「開けてからのお楽しみなんだぞ!早く早く!」

「なんだろう…」


アルフレッド君にせかされて袋の中を見てみると、中には真っ赤なヘルメットが入っていた。


「って、なんでヘルメット…?」

「俺のバイクの後ろに乗る為じゃないか!!今度ニューイヤーに二人でドライブに行かないかい?」

「うわー…。嬉しいけどお正月は実家帰りだよー。また今度連れて行ってね」

「なんだよそれ!?聞いてないぞ俺!!」

「正月はこいつの実家で眉毛と本田とルッツ連れて帰るんだぜ」

「ずるい!!俺も一緒に行く!!」

「ダメだよアル…。新年はパパとパーティーに出なきゃ」

「だったらなんでアーサーはいいんだい?俺が行くんだったらアーサーも出席するはずじゃないか」

「お、俺は、その…。別に俺はいいんだよ!!」

「ずるいんだぞ!!」


あれ、アーサー特に用は無いとか言ってなかったっけ…。
素直じゃないなぁ…皆と居たかって最初から言えばよかったのに。
アルフレッド君から貰ったヘルメットを被ったギルが「俺の方が似合うんじゃね?」と親指を立てた。
それに怒ったアルフレッド君がギルの頭を殴ったけど、ヘルメットのおかげで逆に手に怪我をおってしまったらしい。
まったくお馬鹿だなぁこの子達は…。

アルフレッド君とマシュー君、本田さんにもプレゼントを渡し終え皆でケーキを食べれば随分と遅い時間となってしまった。
まだ居たいというアルフレッド君をマシュー君が無理矢理引っ張って連れて帰り、私のプレゼントした腹巻を大事そうに抱えた本田さんも「これであと30年は生きて行けます」と笑顔で帰って行った。


「さてと…俺も帰るかな」

「うん。あ、そうだ…アーサーにもプレゼント渡すの忘れてた」

「お、俺もお前にプレゼント…あるんだけどな…うん」


玄関までアーサーを見送りに出れば、もぞもぞとコートのポケットの中から大事そうに小さな箱を取り出した。
私もリビングに置いてあった物を持ってきて、二人で交換するようにプレゼントを渡した。


「開けてもいい?」

「あぁ。俺も開けてもいいか…?」

「もちろん」


随分小さい箱だけど何が入ってるんだろう…。

って……あ…。


「ネックレス…?可愛い」

「そ、そうか!?気に入ったか!?」

「うん。シンプルで可愛いなぁ…。でもなんかこれ高そうなんだけど…」

「べ、別にたまたま寄った店で店員に勧められたからそれ選んだだけなんだからな…」

「へぇ…。嬉しい。ありがと、アーサー」

「う…ん」

「私のプレゼントはどう?」

「えーっと…ティーカップ、か?」

「うん。ごめんねー芸がなくて。でもアーサーよく紅茶飲むし、あっても困らないと思って」

「あ、ありがとな…。すごく綺麗だ」

「えへへ」


喜んでもらえて良かった。

にまにまと嬉しそうに笑うアーサーに別れを告げ、リビングに戻る。
今年は沢山プレゼント貰っちゃったなぁ…。


「ふぅ…」

「なんだよ」

「いや、なんか今年は沢山プレゼントもらったなぁと思ってね」

「そんなにもらったのかよ?」

「うん。エリザやローデさん。フランシスさんにトニーさんに…あとルッツ君からも」

「ルッツが!?俺何ももらってねーぞ!?」

「あ。みんなの分は用意できなかったから私だけって言ってた」

「あいつ…兄を差し置いて…!!」

「すっごくかわいい手袋だったよ。ルート君がお店でこれ買ってる姿想像したら可愛くって顔のにやけが止まらなくなる」

「人の弟で楽しんでんじゃねーよ」

「もう私の弟でもあるようなもんじゃない」


ギルの隣に座り、今日まで隠しておいたプレゼントを膝の上に置く。
同じように何かのプレゼントを膝の上に置いたギルと顔を見合わせてにやりと笑った。


「一応ちゃんと用意してたんだね」

「ったりめーだろ。俺様嘗めんなよ!」

「じゃあ交換して、せーので同時に開けようか」

「いいぜ!」


二人でプレゼントを交換し、「せーの」の掛け声で同時にプレゼントの中身を開ける。


「あ…」

「え…」

「カメラ…?」

「アルバム…?」


私の手元にある一冊のアルバムと、ギルの手元にある一つのカメラ。
お互い顔を見合わせて数秒間停止すれば、どちらともなく笑いがこみ上げてきた。


「お前、俺に思考回路似てきてんじゃねーの!?」

「うわぁ…やっぱりそう?なんとなく気付いてたんだけどそうみたいなんだよね…」

「それにしてもこのカメラ…いいやつじゃねーの?

「まぁね。ちょっと奮発しちゃった」


本田さんが持ってるようなすごいもには勝てないけど。
嬉しそうにカメラを箱から取り出し眺めるギル。
それにしても分厚いアルバムだなぁ…。


「あれ…これ写真入ってるよ」

「あぁ。俺がやった。本田に頼んでカメラ焼き増してもらって作ったんだよ」


中を開いてみると、私の写真や皆の写真が。
本田さんが今ままで撮ってきた写真を一枚一枚貼りつけてくれたんだんね、ギル…。


「あれ、後の方のページはあいてる…」

「そこからは、これからだろ。貰ったカメラでもっと色んな物を撮ってやるぜ!!」


これから…。
この先皆と色んなことを体験して…。ギルとずっと一緒に暮らす。
そんなありきたりだけど幸せな時間を綴っていけたらいいね。

なんだか、とっても嬉しいプレゼントを貰っちゃったな。


「ありがとね、ギル」

「べつこれぐらい俺様にしてみりゃ簡単すぎるぜ!!

「うん。そのカメラとこのアルバムでもっともっと写真増やそうね」

「…あぁ」


にまりと笑ったギルに髪をぐしゃぐしゃと撫でられた後に「俺の国式のクリスマスの挨拶だ」と頬にキスをされた。
うわぁ…。なんか照れくさい…。本当にこれ挨拶なの…?

本当に楽しいクリスマスだったなぁ。
明日は忘年会…。
クリスマスが過ぎればあっという間にお正月だもんねぇ…。
だけど今はまだ、このままクリスマスの気分を味わっていたいね。


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