「えーっと、まず小麦粉をふるって…」

「何やってんだよ」

「んー?お菓子作り。皆へのクリスマスプレゼントにね。クリスマスカードと一緒に贈ろうと思ってるんだー」

「マジかよ。そんな面倒くさい事よくやるぜ」

「そういうギルは何か用意…してるわけないか…」

「ケッセセセ!!まぁクリスマス当日のお楽しみだぜ!!」

「え、何!?何かあるの!?ギルのサインとかだったら本気で要らないからね!!」

「あぁ、その手があったか…!!そっちでも良かったな…」

「…期待せずに待っておくよ」


さて、まずはケーキとクッキーと…。
可愛い長靴型の入れ物見つけたしこれに分けて一つづつプレゼントすればいいよね。
かなり数も多いけど…まぁなんとかなるか。
よーし、頑張るか!!


「チョコを溶かして…」

「……」

「生地の中に入れてっと」

「……」

「…あの、ギルベルトさん」

「なんだよ」

「そんなに見られるとやり辛いのですが」


キッチンの向かい合わせにあるカウンターに腕を起き、じっと私を見つめるギルベルト。


「あ」

「なにその口は」

「味見してやるよ」

「いや、まだできてないからね」

「んじゃチョコだけ」

「あのねぇ…」


ボールの中に入った溶かしてある指差すギルに溜息が漏れた。
本当に子供みたいなやつ。


「一口だけだよー」

「おう!」

「はい、あーんして」

「ん」

「どう?」

「甘ぇ」

「そりゃそうだろうよ」


私も、ギルに甘いよな。



―ピンポーン


「誰だ?」

「さぁ…。ちょっと行ってくるよ」

「おー」


アーサー、じゃないよね。朝からピーター君とでかけてるはずだし…。


「はい、どなた…」

「こんにちは!私ブルームっていう花屋なんですけども。名前さんにお花お届けに来ました!」

「え…お花屋さん?」


玄関のドアを開くと、可愛らしく飾られた籠の中に花を沢山入れた女性が立っていた。
花屋さんなんて…いったい誰からだろう…。


「クリスマスプレゼント用に、ゆうて男の人が来はりましたよ。中にメッセージカードも入ってると思いますので読んでみてくださいね。受け取りにサインお願いしますー」

「あ、はい。重かったですよね。ご苦労様です」

「いえいえ、これぐらいどうもないですよ。うち結構力持ちやしなぁ」

「ご苦労様です。はい、サイン」

「おおきに!またうちの店にも寄ってくださいね。ここからちょびっと離れたとこなんですけど、兄と一緒にやってるんで。花に関することならなんでも言ったってくださいね」

「はい。ありがとうございます」

「それじゃあ失礼します」


にっこり笑って小さくお辞儀をした女性は急ぎ足に帰っていった。
綺麗な人だったなぁ…。
それにしても花なんて誰から…。


「あ…」

「なんだよその花」

「今お花屋さんが届けてくれたんだけどね…」

「…誰からだよ」

「イヴァンから。明日来られないかもしれないから先にプレゼントを渡しておくねってさ」

「なんか、あいつかよ…」

「綺麗だなぁ…。明日イヴァンも来られるといいけど…」


私もプレゼント作り頑張らなきゃ。

夕方になり、プレゼント作りも終わりへとへとになっているとタイミングを見計らったようにヘロヘロになったアーサーが帰ってきた。
ピーター君に連れまわされたんだろうなぁ…。
アーサーの奢りで出前を取ることになったので夕飯を作らずにすんでラッキー!
明日は普通どおり仕事して…。夕方からパーティーだよね。
26日には忘年会もあるし…。
だけどそれが終わればお休みだもんね。
明日がとっても楽しみだ。

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