「菊さん、こっちのも可愛いと思いません?」

「流石はエリザベータさん、よく分かっていらっしゃいます…!!あぁ、でも私としてはこっちのプリーツ丈も捨てがたい…」

「可愛いっ!!ミニスカは絶対条件ですね」

「ミニスカで中が見えそうで見えないチラリズム感は私のジャスティスですからね」

「流石です菊さん!」


この二人はいったい何の話をしているんだろう。
いや、見れば分かるんだけどね。広げられた真っ赤な衣装を見ればなんとなく予想はできるんだけどね。


「あら、来ていたのですね名前。そんな場所で立っていないでこっちに来なさい」

「ローデさん…いや、私もうこのまま帰ります…。あの二人にみつかったらろくな事なさそ「あら名前!!ちょうど良い所に来てくれたわ!!ちょっとこっちに来て来て!」

「時既に遅し、ですよ。観念なさい」

「酷いっすよローデさん…」

「知りません」


ぷいっとそっぽを向いてお店の奥へ入っていくローデさんを憎しみの視線で見送り、大きく溜息をついて手招きをしているエリザと本田さんの元へと歩み寄る。


「おかえりなさい名前さん。お仕事お疲れ様です」

「どうも…。今日疲れてるのでできるならもう帰してくれると嬉しいんですけど」

「ダメよ。菊さんがいくつか今度のクリスマスパーティーで着る衣装を用意してくれたんだから。あ、こっちも可愛い」

「私物ですけどね。さぁ名前さん、この中からお好きなものを選んでください!!私としてはこっちのフードの付いたサンタ衣装が捨てがたいですね」

「でもこっちのトナカイも可愛いと思わない!?角もセットになっててすっごく可愛いわ!」

「私物って本田さん…。っていうか自分の分は自分で用意しますから!!こんなギリギリのスカート履けるか!!」

「そ、そんな…!!これが楽しみで仕事を早く終わらせたというのに…年老いた爺の楽しみを奪う気ですか!!老人を労わってください老人を!!」

「一晩中19歳の若者と一緒にカラオケとゲームセンターで遊び呆ける人は爺とは言いません」

「何故それを…!?まさかアルフレッドさんが告げ口したんですね!!あれほど名前さんには言うなと言っておきあましたのに…!!」


プスプスと頭から湯気をたたせる本田さん。
今日アルフレッド君からメールがあって事細かに教えてくれましたよ…。
いい年してよくやるなぁ。私でもオールで遊ぶなんて体が付いていかないよ。


「そんな事より名前。これにしてみない?すっごく可愛いわよ」

「うーん…まぁこれならいいか。買いに行くの面倒だったし…」

「ギルベルトさんの分もぴったりなものを選んでおきましたので」

「相変わらず準備がいいですね本田さん…」

「うふふ、クリスマスイブが楽しみね」


クリスマスイブかぁ…。何か皆へのプレゼントを用意しておかないとなぁ。
ギルにも何か用意してあげないと…。いったい何をあげたら喜ぶんだろう。
ゲーム…は本田さんに借りられるし…ビール、じゃあんまりだよね。
悩むなぁ…。


「そうだ、本田さん。お正月何か予定入ってますか?」

「お正月ですか…?いつものようにこたつでジャンプを読みながらテレビを見る予定ですが…」

「もし暇なら私の実家に遊びに来ないかと思いまして。お盆の時にこられなかったですもんね、本田さん」

「なんと…!!是非そうさせていただきたいですが…名前さんのお爺様やお婆様にご迷惑が掛かるのでは?」

「電話でお婆ちゃんに本田さんも誘ってみるつもりって言ったら喜んでましたよ。本田さんさえ良ければ是非いらしてください」

「ありがとうございます。お言葉に甘えさせていただきますね」


嬉しそうにふんわりと笑う本田さんに笑顔を返すと、小さく「これでまた新たなネタをが増える事間違いないでしょう」と呟かれた気がしたけど…聞こえなかった事にしておこう。

さてと…明日は休みだし久しぶりにアーサーに車出してもらって買い物にでも行こうかなぁ…。
明後日には耀さん達も遊びに来るし部屋の片付けもしておかないとね。


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