「ねぇねぇアーサー。お正月の予定とか入ってんの?」

「正月…?そうだな、親父に挨拶してピーターにお年玉やって…。そんな所だな」

「そっか。なんとなく忙しそうだよね」

「なんだよ急に」


夕食の後片付けをしてくれているアーサーが私の問いかけに不思議そうに首をかしげた。


「今年はお正月に実家に帰ろうかなぁとか思ってるんだけどね。アーサーも暇ならまた一緒にどうかと思って…。だけどお正月なんだし家族と一緒に過ごした方がいいよねぇ」

「なんっ!?行く!!行くに決まってんだろ!!どうせ両親もピーター連れてどこかに行くだろうし…。お、お前がそこまで俺と一緒に居たいならついていってやるよ…」

「いや、べつにそこまでお願いしてるわけじゃないんだけど…」

「お前は一人で正月迎えてろ。ケッセセセ!」

「んだと…?あんま調子に乗ってると来年を迎えられなくなるぞお前」

「うちの子抹殺しないで!!ったく元ヤンなんだから…。それじゃあまたアーサーも一緒に私の実家に来るってことでいいよね?」

「あぁ。また迷惑かけるな…」

「いいって事よ。お婆ちゃんも喜ぶしね」


またお婆ちゃんに連絡しておかないとね。
きっと喜ぶだろうなぁ…。




「お前去年はこっちで正月迎えたんだろ?」

「うん。アーサーと一緒に初詣行ったりしたよ」

「マジかよ…。で、なんで今年は実家なんだ?」

「たまにはいいじゃん。美味しいおせちもお雑煮も食べたいし。家族でお正月迎えられるのって幸せだしね」

「そういうもんか…。ルッツはどうすんだろうな…」

「何か予定でもあるの?」

「いや、べつに」


ルート君も一緒に来てくれると嬉しいんだけどなぁ…。
彼も忙しいと思うし無理があるか。
だけどギルもせっかくルート君と再会できたのに一緒にすごさなくてもいいのかな…。


「ねーギル。ルート君も一緒に来られない、よね?」

「は?ルートもかよ」

「うん。ギルもルート君が一緒の方がいいでしょ?」

「まぁ、そうだけどよ…」

「ダメ元でいいから聞いてみてよ。ね?」

「仕方ねーなぁ…」


指の上に乗せて遊んでいたピヨちゃんを机の上に下ろし、放置されている携帯に手を伸ばすギル。
しばらくして電話がつながったのか、楽しそうな会話が聞えてきた。
どうだろうなぁ、ルート君…。
やっぱりいきなりは無理があるよねぇ…。


「おい名前」

「ど、どうだった!?」

「迷惑でないんなら一緒させてもらいたいだとよ。フェリちゃん達もイタリアに帰るから暇だったみたいだぜ」

「そっか〜!!良かった!!これでルート君と一緒にお正月が迎えられるね!」

「んだよ、俺の為じゃなくてお前がルッツと一緒に過ごしたかっただけかよ!?」

「違うよバカ。いや、確かにルート君も一緒だと嬉しいけど!!あとは一応本田さんも誘ってみようかな…」

「あいつならホイホイついてくんじゃねぇ?」

「仕事がなかったらね。あー、お正月が楽しみ!」


前みたいに男の子沢山連れて帰ってらお婆ちゃん大喜びするんだろうなぁ…。
本田さんも着てくれたら尚喜ぶだろうし。
お正月が待ち遠しいな。
でもその前にクリスマスだよね…。
アンダンテでのクリスマスパーティー…。
”サンタパーティー”って企画らしく、サンタの衣装を着てくるように言われたんだけど…。ハロウィーンの時と言い、コスプレさせるの好きだなぁあの店は…。
まぁ、適当に買い揃えておくか。


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