「今度の日曜は久しぶりに店を休みにするあるよ!」

「え、何かあるんですか?その日」

「ねーある。休みなしに働いてるあるからな。たまには休んでもいいと思っただけあるよ」


仕事帰りに亜細亜飯店へスキーのお土産である温泉饅頭を届けにやってきた。
入るなりいきなりシナティーさんに「また来たか小娘」と言われて少々怖かったけど香君が守ってくれた。
かっこいいよ香君…!!


「そんなわけで今度の日曜はお前の家に遊びに行くあるよ!」

「へー…って、ええええええ!?なんでそうなるんですか!!」

「一度行ってみたいと思ってたあるよ。お前の私生活をチェックしてやるある!!」

「ええええ!!いやですよ!!」

「つーか俺も行ってみたい的な?名前の家見てみたいっす」

「え…香君まで…」

「手土産に新作のスイーツ持って行くつもりなんですけど的な」

「よし乗ったぁああ!!お待ちしておりますのでいつでもどうぞ」

「よくやったある香!流石は私の弟ある〜!!」

「うざっ」




――――




「そんなわけで週末に耀さんと香君が遊びに来ることになっちゃった」

「マジかよ!!なんか美味いもん作ってもらおうぜ

「香君がお土産に新作スイーツ持って来てくれるって。楽しみだよねぇ…」

「ん、そうだ。ほらよ」

「んー…?なにこれ」

「スキーの時の写真。出来上がったからって今日本田が持って来た」

「流石本田さん!!仕事が早い!!」

「こっちは会社のやつらに渡しておけってさ」

「はいはーい。うわぁ…どんな風に撮れてるんだろ…どれどれ…」


沢山ある写真を一枚一枚捲っていくと、私がアーサーにスキーを教えている姿やピーター君とそりで対決をしている写真もあった。
いつの間に撮ってたんだ、本田さん…。


「っていうかこのティノ顔違うくねーか?なんか怖いっていうか…」

「わーわーわーわー!!!もうその事は記憶から消したの!!あ、この写真可愛い!!エリザとアイス君か〜」

「何があったんだよお前…」


他にも沢山いい写真があるなぁ…。
雪合戦の時のもあるし。しっかり撮ってたのか、本田さん。流石だ。


「ん…?」


ひらりと写真が入れられていた封筒から一枚の写真が落ちた。
なんだろう、この写真は…


「って、わぁあああああ!!!」

「うわっ、何!?ビックリした!!」

「あばばば…!!こ、これはその…なんでもないから気にすんな!!」

「はぁ?なにそれ。何もないのになんで後ろに隠すの」

「隠してねーし!!」

「いや隠してるじゃん。見せなさい」

「嫌だ!!つーかお前は見ないほうがいい!!」

「はぁ?意味わかんないし!!見せなさい!!」

「ぜってー見せねえ!!って、うおっ!?」

「見せろつってんだろーが」


背中に写真を隠すギルの膝に馬乗りになるような形で写真を奪おうとするも、なかなか上手くいかず写真を手に入れることはできない。


「何が写ってんの」

「教えられるか!!」

「まさかエリザの入浴シーン!?なら許さん!!今から本田さん家行って根こそぎ写真のデータを消去しなくちゃ…」

「お前にとってはもっと悪いものだと思うぜ…」

「は…?」

「み、見せても俺に怒らないって約束するんなら見せてやるよ」

「約束する」

「じゃあまずそこから退け」


跨っていた体をひょいと持ち上げ、ギルの隣に座る。
ふぅと落ち着いたような溜め息をついた後、恐る恐るギルが差し出した写真に目を見開いた。

これって…。


「お、お前が寝てる間に本田が撮ってたやつ…」

「ちょっ…なんで私こんなに服肌蹴てんの…っていうかなんでアルフレッド君に抱きしめられて…」

「知らねーよ!!俺が起きたらもうこうなってたんだっつーの!!」

「っていうかギルは本田さんが写真撮ってたの知ってて止めなかったわけ…?」

「ふぁ…?いや、だからその、俺には怒らないって約束しただろーが!!」

「怒ってないよ〜ギルベルト君。頭にはきてるけどな」

「同じだろバカ!!」

「へー…知ってて撮らせたんだ…しかもこの写真ギルが貰ったんでしょ?本田さんが間違えて入れるなんて私にばれるようなヘマしないし」

「ばっ、誰がいるかよこんな写真!!」

「へぇー…そうかー。ギルベルト君はそんな子だったんだー…私が撮られてるとこ見逃したんだ…ふぅん…」

「な、なんだよ…」

「ギル」

「う…」

「一週間ビール抜きね」

「残酷だぁああああああ!!!」


さて…本田さんの家に奇襲をかけに行きますか。
あの写真に関するデータを全て消去するまでは帰らないでおこう。


「さぁ、ギル。本田さん家行くよ」

「悪夢だぜ…」


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