「ロヴィーノ君…」

「なんだよ」

「もし、こっちの味方になってくれたら一日デートしよう…ロヴィーノ君言ってたもんね〜。デートしたいって」

「汚ねぇえええええ!!こいつ餌で釣りやがったぁああああ!!」

「行く」

「即答かよ!?」

「むさ苦しいやつらと居るより名前といた方がいいしな。それにデート…だし」

「ちくしょぉおお!!」

「次に本田さん!!」

「私もそちらに丸め込もうと?申し訳ありませんが簡単にはいきませ「私の小さい頃の写真。要りませんかロリコン本田さん」行きます」

「本田ァアアアア!!!」

「あれ…お兄さん達ピンチ…?」


ふふふ、これで残るは二人…。
こっちの人数も増えたし後は二人に総攻撃を仕掛ければ…


「ヴぇええええ!!北チームがぁああ!!」

「何ぃ!?」

「今のうちに人形はいただぐっぺ!!」


デンさん…!!しまった、アルフレッド君とルート君は戦ってるし…このままじゃデンさんに取られちゃう…!!


「うおお!?なんだっぺ、今すんげぇ早い雪玉が掠めて…」

「渡さないわ…。優勝賞品は誰にも渡さないわよ」

「エリザ!?」

「ほぉ…おめやるな、おっぱいでかい姉ちゃん」

「賞品を手に入れてローデリヒさんと一緒に食べるのよ…誰にも奪わせはしないわっ!!!」

「ヴぇええ!!エリザさんかっこいいぃい!!」

「おやりなさいエリザベータ」

「イエスマジェスティ!!」

「くっ、こっちは食い止めるから今の内に行げ、ノル!!アイス!!」

「あんこに言われなくても行ぐっぺ」

「命令しないでよ」

「おーっと、そうはさせないんだぞ!!」

「この先は一歩も通さん。ここでお前ら全員雪の中に沈めてやろう…」

「チッ…」


うああ、なんだか白熱してきたなぁ…。
よし、今の内に…。


「ギル」

「ん?なんだよ」

「地面に膝をつけなさい。そして後に転ぶのです」

「は!?それじゃあ俺アウトになるじゃねーか!!」

「いいから、やりなさい」

「バカかお前!!そうするぐらいならここでお前らに攻撃しかけるほうがましだっつーの!!」

「私の言う事が聞けないんだー。そうかそうか、仕事もしないプー太郎の分際でよく言えたもんだよねぇ…帰ってからお仕置きが必要かな?もう一度最初からやり直そうか。躾ってやつをね」

「うっ…!!」

「はううう!!名前さんそのドSっぷり…素敵です!!私ゾクゾクしましたよ今!!」

「おい、あれ見ろ。アーサーとトニーのやつがこっちみて目ぇキラキラさせてる」

「Mのスイッチでも入ったんじゃねーの?」

「ほらギル、いい子だね。膝をつきなさい。ほらほら、だんだんそうしたくなってきたんでしょ?ひざまづいて、降伏したいって。ほら、早く。ひれ伏せよ」

「…はい」

「ギルベルトォオオオオ!!」

「よーし、それじゃあ皆、一斉にあの髭目掛けて総攻撃!!」

「ええええええ!?酷い、酷いよ名前ちゃん!!やめてぇえええええ!!!


よーし、まずは二人…。


「汚ねぇ…マジで最悪だぜあの女…」

「その女に惚れてんのお前でしょーが…。ああもう、お兄さんも食べたかったなぁフグ鍋」


フランシス&ギルベルト、アウト


「やりますね名前さん!!でも僕達雪国の人間には勝てませんよ!!」

「降参すんのが身の為だべ…」

「スーさん、ティノ君…。まさか二人が敵になる日が来るだなんてね…」

「僕だってフグ食べたいですもん!」

「んだ」

「譲る気はない…だったら戦うしかないよね」

「待ってください名前さん、ここは私達に任せてください」

「名前はあの人形を取って来いのですよ!!」

「本田さん、ピーター君…」

「大丈夫ですよ。後で追いかけますから」

「え、何これ。何のフラグ?」

「アニメの最終回フラグです」

「じゃあ、やりましょうか。スーさん」

「んだ」

「さぁ、お行きなさい名前さん、ロヴィーノ君!!」

「本田さん、ピーター君、頑張って!!」


こうなったら意地でもあの人形を手に入れて…


「ヴぇー。ここから先は通さないよ〜」

「フェリシアーノ君!?」

「テメェ、バカ弟…。そこ退きやがれ」

「嫌。だって俺もフグ鍋食べたいもんね〜。それに兄ちゃんには負けたくないんだ、俺」

「んだと…?」

「弟だからっていつも顎で使われてむかついてたんだ。ここで立場逆転、なんてのもいいかなーって…ね」


ひ、ヒィイイ!!フェリシアーノ君が、黒い…!!


「名前、先行ってろ。ここは俺が食い止めるから」

「ロヴィーノ君…」

「兄がどんだけ強いかってのを見せ付けてやるよ。だからお前はあの人形取ってこい。デートの約束、忘れんなよ」

「デート?何それ」

「帰ったら俺と名前でデートすんだよ。どうだ、羨ましいだろ?」

「ずるい…いつもロヴィーノはそうやってずるするんだもん…。ここで俺が勝ったらそのデートの権利、俺がもらってもいいよね〜?」

「勝てれば、な!!」

「久しぶりに本気出すよ、俺!」

「行け名前!!」


なんなんだろう、このバトル漫画みたいな展開は…。


「あら名前。ごきげんよう」

「ローデリヒさん…!?」

「戦いに参戦していないのは私と貴方だけのようですね」

「ここで私と戦おう、と?」

「いえ、私は全てエリザベータにお任せしているので。戦いはしませんが足止めぐらいは、と陣地から出てきたのですよ」

「そういう事ですか…」

「そこから動いてみなさい、これから先ケーキを焼いても貴方には食べさせてあげませんよ」

「うわあぁああああ!!嫌ぁあああ!!私ローデさんのケーキ大好きなのにぃいい!!」

「ならばそこでじっとしておきなさい。なんなら自ら尻餅をつくのも得策かと思いますよ」

「そんな事できませんよ!!」


くっそう、一番使われたくない手を使われてしまった…。
つくづく食べ物に弱いなぁ、私…。
周りを見渡すと、それぞれ戦いの真っ最中。
一部ではもう優勝賞品など目に入っていないかのように個人的な戦いを繰り広げている。
しかしここで折れてしまえば勝ち目はない…。


「さーてと。そろそろ僕も行こうかなぁー」

「イヴァンンンン!?」

「僕が賞品を出すから僕が勝っても意味無いんだけどね。やっぱり皆と楽しみたいもんね」

「え、な、何そのマシーンは…」

「雪玉を発射する機械だよ。時速150ぐらいは出るんじゃないかなぁ…」

「ずるい!!そんなの使うのずるいよイヴァン!!」

「ルールでは雪玉を使えばなんでもOKだったよね?犯則じゃないよー」

「うああああ、皆逃げてぇえええ!!ラスボス中のラスボスみたいなのがぁあああ!!」

「なんやて!?」

「チッ…イヴァンの存在を忘れていた…」

「ヴぇ〜!俺死にたくないよぉおお!」

「俺もだぞちくしょぉおお!!」

「さぁー、誰からにしようかなー」


全員が戦いを止め息を飲む。
動いたら打たれる。あの機械に売られればひとたまりもないだろう…。


「あの…」

「せこい!!せこいでイヴァン!!」

「そうよ!!そんなの使ったら誰も勝てないじゃないの!」

「それだったら俺も今から手配して最新型のマシーンを…」

「今からだと遅いだろバカ!!」

「くっ…このままでは全員があの機械の餌食に…」

「あのー…」

「シー君もそれ使ってみたいのですよぉおお!!」

「うわぁああ、ダメだよピーター君!!動いちゃダメ!!」

「俺ん後下がっとげ」

「ラスボス…いや、それ以上ですね…」

「名前、俺の後ろに下がってろ」

「アーサー…。だけどアーサーひょろっこいからすぐ倒されそう…」

「そんな事言うなよバカァ!!」

「あのー…みんなー…」

「名前ちゃんは俺が守る!!もうフグなんかどうでもええ、大切な人を守る為なら何でもするで俺!!」

「ローデリヒさん下がっていてください!!雪玉ごとき、このフライパンで打ち返してみせます」

「アイスは下がっとけ」

「んだっぺ。俺とノルでなんとかすっから」

「デン…ノル…」

「あのー…皆ぁあ〜!!!」

「ん?何か言ったかいマシュー?」

「あの、僕…」

「なに、はっきり言わんと聞えへんで〜」

「えっと、僕………人形、ゲットしちゃったんですけど……」



………。



「「「えええええええええええ!?」」」

「い、いつの間にぃいいいいい!?」

「だって皆僕の事無視するんだもん…。名前さんと一緒に居たのに気付いてもらえないし…。だからそのまま人形の所まで…」

「…気付いたか?」

「いや、居たら気付いてたと思うんだぞ」

「俺も気付かんかったわ〜」

「俺もだっぺ」

「んだ」

「そ、そんなぁああ〜!!!」

「あーあー。せっかくのマシーンが用なしになっちゃったよ。でも楽しかったね〜」



こうしてチキチキ真冬のゲレンデ雪合戦バトルはマシュー君のその存在感の薄さによって我がチームに勝利をもたらした。

うん、正直言って拍子抜けだったけどチーム全員にイヴァンからのフグ鍋セットもらえたし、結果オーライじゃないか。


「なんや俺どっと疲れた…」

「お兄さんも…」

「俺もだ…」

「ヴぇー…俺も…」

「ちくしょー…」

「そろそろ…帰りましょうか…」

「んだっぺ」



帰り支度を済ませ、再び二手に分かれて車に乗り込めば数分もたたないうちに寝てしまった皆。
疲れたもんねぇ…。

だけど本当に楽しい旅行だった。
スキーも温泉も…夜はちょっと記憶飛ばしちゃったけど…。雪合戦もなんだかんだ言って皆楽しんだみたいだし。
明日筋肉痛大丈夫かなー…。


「アーサー運転大丈夫?」

「ん。大丈夫だ。お前こそ膝にピーター乗せて重くないか?」

「全然。だけど寝てる子供の体温って暖かいからついつられちゃいそうだよねー」

「寝てていいぞ。着いたら起こしてやるから」

「ううん。家に帰るまでが旅行ってね。まだこの気分味わってたいし」

「そうか…。楽しかったよな、今回の旅行」

「だよね。皆も楽しんでくれたかなぁ」

「かなり楽しんでたと思うぞ…」

「ギルもはしゃいでたしね。あー、なんだか帰るのもったいない」

「また今度行けばいいだろ。何もこれが最後ってわけでもないんだしさ」

「そうだね。クリスマスとかも皆で楽しくパーティーしたいなぁ…。エリザがね、イブにハロウィーンの時みたいにまたお店でクリスマスパーティーするから皆で来ないかって誘ってくれたんだよ」

「そうか…楽しみだな」

「またコスプレして行かないとダメらしいからちょっと憂鬱だけどねー」

「そうか…楽しみだ…」


あ、ダメだ。眠気が襲ってきた。
まだ起きてたいのになぁ…。

重くなる瞼を必死に持ち上げようと頑張っていると、「寝てろよ」とアーサーに片手で目元をわれ。無理矢理瞼を閉じさせられた。
悔しいけど寝ることにしよう。
家に帰ったら荷物片付けて…。
ギルと一緒に「楽しかったね」なんて、旅行の話しで盛り上がったり。
また一つ楽しい思い出が増えたなぁ…。
カメラの写真、本田さんに焼き増ししてもらわなきゃ…。


「おやすみ、名前」

「うん。おやすみ…また後で…」



後でまた、楽しい思い出の続きを。


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