「ついたぁああ!!」

「こら、走るなよバカ!!」

「皆さん先に各部屋に荷物を置いてきてくださいね。そこからは個人行動です。夕方にはこの旅館に戻ってくるようにお願いします。夕食は7時半からです」

「「「はーい!!!」」」


本田さんからの呼びかけに各自分担された部屋に向かう。
もちろん私はエリザと二人部屋!


「うわー!広いね〜!!」

「二人で使うにはもったいないわね!ふふふ、今夜はここで名前と二人っきり!」

「エリザ、その言い方なんかやだ…」

「どこにも逃げられないのよーうふふふ」

「怖いから!!」

「それじゃあ私用意して外に出るわね。ゲレンデはすぐ近くなのよね?」

「うん。あるいて3分くらいだと思うよー。私はギル達と適当にスキー用具借りてくるよ」

「分かったわ。また後でね」


さてと。私もでかけようかな。

ギルとアーサーと一緒に旅館でスキー用具を借りて着替えを済ますと、スキー板を持ってゲレンデに出た。
さーて、私も滑るぞ!!


「お、おい名前…これってどうやるんだ?」

「あぁ、アーサーは初めてだったよね。板を履いてー…」

「俺先行ってるぜ!!フェリちゃぁああん!!俺様のかっこいい滑りを見てくれぇええ!!」


あーあ、行っちゃった…。
まぁいいか、ギルは放っておいても。
私はアーサーに滑り方を伝授してあげよう!


「まず平らな場所でちょっと滑ってみようか」

「こうか?」

「うん、もうちょっと肩の力抜いてー」

「HAHAHAHA!!気持ちいいんだぞーっ!!」

「もー、早すぎるよアルフレッド〜!」

「HAHAHA!!あれ、アーサーそんな所で何やってるんだい?」


かっこよく滑り終えゴーグルを外したアルフレッド君に近くを通った女の子グループが黄色い悲鳴をあげた。
これだから顔の整ったやつらは…。


「アーサー、もしかして滑れないのかい?」

「う、うるせーなぁ…。やったことないんだよ」

「だから名前さんが教えてあげてるんだね」

「そう。まぁアーサーも運動神経悪くないしすぐに上手になれるよ」

「ダメじゃないか名前〜。スキーを教えるには少しスパルタなぐらいが丁度いいんだよ!!アーサー、ちょっとリフトに乗ってあの上から滑ってきたらどうだい?」

「俺を殺す気かお前は!!」

「名前〜こんなことしてないで俺と一緒に滑ってくれよ!!真っ白のゲレンデを君と一緒に滑りたいんだぞ!!」

「はいはい、また後でねー」

「ぶぅー」


頬を膨らますアルフレッド君をマシュー君が宥めて、あとで一緒に滑ろうと約束をすれば嬉しそうに再び滑りに戻った二人。


「おぉ、滑れるじゃんアーサー」

「なんとなくコツが分かってきたからな」

「だったらもう大丈夫だよね。上の方行ってみる?」

「あぁ」


そういえばさっきから他の皆の姿が見えないなぁ…。
まぁ皆経験者だしもっと上級者のコースに行ってるんだろう。
この辺はちびっこしか居ないもんね。
アーサーと一緒にリフトに乗り、緩やかな坂を滑り下りれば「もう大丈夫だ!」と嬉しそうに笑うアーサー。
よーし、アーサーも大丈夫みたいだし私も滑りに行こうか!!


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