「ごめんね、仕事帰りにつき合わせちゃって」 「いや、別にかまわねーけど」 「ここのケーキ屋さんカップルで行くと食べ放題になるんだよねー!しかもお持ち帰りオッケーだし?甘党にはたまりませんな〜!!」 「顔が砕けてるぞお前…」 「うおっといけねぇ」 本日は仕事帰りにアーサーと一緒にケーキ屋さんにやってきました!! ここのお店は毎週火曜日はカップルデーで、恋人同士でいくとケーキが食べ放題になるのです!! ちゅーわけで、アーサーをひきつれてやってきたと言うことなのですよ。 ふふふん。ケーキ!!ケーキ!! 「カップルを偽装してまで食いに来たかったのかお前は…」 「だってギルに頼んでも嫌がってこなかったもん」 「なっ!?あいつも誘ったのかよ!?」 「そりゃあ一番近くに居る男だし」 「…う、まぁそうだけど…」 「私としては一緒に来てくれるんならどっちでも良かったんだけどね。アーサーが無理なら本田さんかトニーさん誘うつもりだったし」 「本田はともかく後者の野郎はやめろ!!」 「ほんっとに仲悪いよねぇ。なんで二人ってそんなに仲悪いの?あ、これおいしそ〜」 「聞きたいか?」 私が指差したケーキを上品にお皿に乗せたアーサー。 さすがは(一応)イギリス紳士。作法やマナーが身に染みていると言うか…。 「聞きたいって言えば教えてくれるならね。あ、サンキュー」 「ん。…まぁ別に言いたくないわけじゃないしな」 「じゃあ教えてよ」 「あいつとは高校の時に出会ったんだよ。俺はまだ1年生で、あいつは2年だったっけかな…。違う学校だったけど、あいつの噂は俺の学校まで届いてたんだよ」 「噂?」 「喧嘩の強い関西弁のスペイン人が居るってな」 「うわー…」 「それで…まぁ、なんだ…。その時代俺は色々あって荒れてて、だな…。喧嘩ふっかけに行ったんだよ」 「まじですかー!?うわぁ、ヤンキーだー」 「う…。そ、それからずっと顔を合わせる度にあんな感じなわけだ」 「なるほどねぇ。ちなみにどっちが強かったの?」 「そんなの俺に決まってんだろ。何度もフルボッコにしてやったぜ」 「こわっ!アーサーもなかなかヤンチャな時期があったっだなぁー」 「やられたら3倍にして返すのがルールだからな」 「お前は海賊か」 ――― 「ってな事を今日アーサーから聞いたよ」 「俺も初耳だな。だからあんなに仲悪いのかよあの二人」 「ギルもトニーさんもフランシスさんもアーサーと仲悪いんだよねぇ。あんまりいじめちゃダメだよ?」 「さーな」 さーなって何だよ…。 「ったく…。まぁいいや。私はケーキでも食べよー」 「おまっ、今日食ってきたんだろ!?」 「甘いものは別腹ー」 「お前の別腹はブラックホールか。マジで太るぜお前」 「う…、別にいいんだもーん。そんな事言う奴にはわけてやんないからな」 「なんだよそれ!?よこせ!!」 「やだよ。全部一人で食べるんだから」 「この野郎…!!太れ太れ!!デブのブスになって表に出られないようになるまで太りやがれバーカ!!」 「んだとコラ…ベランダに吊るすぞ」 「やれるもんならやってみろよペチャパイ女」 10分後 「どう?いい眺めだよねー。100万ドルならず、100ドルの夜景ってっとこかな。アハハハー」 「あの…調子にのってすみませんでした。頭に血が上って爆発しそうなので助けてください…」 「許して欲しかったらそこから飛び降りて3分以内に焼きソバパン買って来いよ。もちろんウサギ飛びでな」 「アハハー名前さんったら冗談がきつい…(そこらへんのヤンキーよりよっぽど性質悪いぜこの女!!)」 これで乙女をブスデブ呼ばわりしたらどうなるかを思い知っただろう。 念のためにあと30分ぐらい放置して助けてあげようかなぁ、うん。 . ←|→ |