「名前、しばらく泊めて」

「アイス君…またデンさんが嫌になったの…?」

「両親が悪い…。わざわざあんなやつに僕の世話任せなくても一人で何でもできるのに…」


制服姿のままボストンバッグを抱えたアイス君。
大方またデンさんに加えてノルさんに色々面倒やかれて鬱陶しくなっちゃったんだね…。
まぁ気持ちは分からないでも無いけど。


「私は構わないけど…。しばらくここに居て学校はどうするの?」

「朝早く行く。もうすぐテストだから授業も早く終わると思うし」

「うーん…でもねぇ…」

「まぁ中入れよ!!一緒にゲームしようぜ。本田にウィー借りたし」

「うん」


まったくもう…仕方がないなぁ。
デンさんに連絡しておくか。


「あ、もしもしデンさんですか?」

『おお名前。アイスそっち行ったっぺ?』

「はい。ご存知だったんですか?」

『おーよ。飯作ってやってたのにいきなり飛び出しやがって…。ちょっとあいつの作ったスープに色々混ぜ込んだだけだっぺ〜?』

「…デンさん…アイス君も難しい年頃なんですからあんんまり構わない方がいいんじゃ…」

『まぁあいつの事頼むっぺ。俺は今アイスの部屋いろいろ探ってっから』

「何やってんのアンタ!?」

『エロ本の一つや二つ…ん?なんだぁこれ、写真け?』

「わーわー!!止めてあげてくださいよもう!!」


こんな親戚のオッサン居れ嫌にもなるよなぁ、アイス君…。
まぁ彼の気がすむまでここに居させてあげよう。


「アイス君、夕飯コロッケなんだけど大丈夫?」

「うん。名前の作ってくれるものならなんでも食べる」

「うっ…なんて素直で可愛い子なのアイス君っ…!!」

「アイス、あんまあの姉ちゃんに近づくなよ。気持ち悪いのうつるぜ」

「あぁん?夜中にこそこそエロ本読んでるお前に言われたくないんだよ」

「なんで知ってんだよ!?」

「私が知らないとでも思ったかバーカ!」

「お前がバーカ!!」

「大人気ないから止めてよ…」


夕飯を手伝ってくれると言ってくれたアイス君と一緒にコロッケを揚げ、夕飯の準備をしていればいつもの時刻にアーサーが帰ってきた。
アイス君がいる事に驚いたアーサーは「大丈夫なのか?」としきりにアイス君に尋ねていた。
弟を持つ身として同じ年頃の子を見ると放っておけないんだろうねぇ…。

私のベッドを貸すと言ったのにリビングで寝ると言い張ったアイス君の為に布団を何枚も用意して風邪をひいてしまわないようにとことん暖かくしてあげた。
「俺にはそんな事しねーくせに…」とブツブツ呟くギルを無視してアイス君の頭を撫でて「寒いけど我慢してね」と言うと、薄く微笑んで「ありがとう」と笑ってくれた。
本当に可愛いなぁ、アイス君…!!
明日はアイス君の為に早起きして前みたいにお弁当作ってあげよっと!





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