「頭痛いー…!!っていうか昨日の記憶が無いんだけど…」

「ううう…すみません名前さん、僕がついていながらあんな事になるだなんて…」

「気を落とすでね、ティノ。俺も悪かった」

「え、ちょっ…何があったの私が酔ってる間に…」


スーさんに渡された栄養ドリンクを飲みながら昨日の記憶を呼び戻そうと頭を働かせる。
いや、確かデンさんに無理矢理ブランデーを飲まされた事は覚えてるんだけど…それからの記憶が全く思い出せない…。


「おめぇ昨日は相当酔ってたっぺ?」

「デンさん…あんたが飲ませたんでしょうが…」

「おめ酔ってた方が色っぽぐてえがったなぁ」

「おい、私に何をした」

「だ、大丈夫ですよ名前さん…。ははははは…」

「ティノ君…怖いから空笑いやめて」

「で、でも僕皆さんが祝ってくれて本当に嬉しかったんですよ。名前さん、本当にありがとうございました!」

「まぁ、ティノ君が喜んでくれたなら良かったけど…」


でもなんとなく気になるなぁ…。
まぁ、ティノ君も喜んでくれたみたいだし気にしないでおこう。


―――



「あいやー。スキーに行くあるか。こんなに寒いのにわざわざ寒い場所に行くなんてよくやるあるよ」

「それ言っちゃダメですよ耀さん…。一緒にどうです?楽しいですよきっと」

「遠慮しておくあるよ。今は稼ぎ時で色々忙しいある」


そう言ってシナティーさんのシールが貼ってある計算機を叩く耀さん。
そのシール、自分で作ったんですか…。


「名前、できた」

「ありがとう香君〜!いつも悪いね」

「問題ナッシング。つか名前の為なら結構余裕的な?」

「あ、うん。分かりにくいけど嬉しい事言ってくれてるんだよね」

「なんでこんな弟に育っちまったあるか…育て方間違ったあるよ」

「何言ってるんですか〜。香君すっごく良い子じゃないですか」

「我の事時々無視するあるよあいつ!!むかつくある!!」

「っていうか耀さんも無視するじゃないっすか。あっ…もう耳が遠いから…すんません」

「そこでじっとするよろし。三枚におろしてやるあるよ」


まったく仲がいいのか悪いのかよく分からない人達だよなぁ…。
香君に頼んだ料理を片手に帰路につき、いつもの駅で降りると寒そうにブルブルと震えたギルの姿があった。


「今日もお迎えご苦労様。早く帰ってご飯にしようねー」

「今日は中華か。楽しみすぎるぜ」

「ギルはここの料理好きだもんねー。私も大好きだけど」

「そういや今日仕事大丈夫だったのかよ。朝から二日酔いとか言ってたけど」

「うん、なんとかね。だけど昨日の事何も覚えてなくてさぁ。皆も教えてくれないし…」

「なんかお前やばい事したんじゃねーの?」

「うーん…酔うと記憶なくしちゃうのどうにかならないもんかねぇ…」

「ったく…。だらか絶対飲むなっていつも言ってんだよ。飲みたい時は俺が居る時だけにしろバーカ」

「はーい」


少し可笑しそうに笑うと、ギルのコートのフードの中に入ったピヨちゃんが「ピィ?」と首を傾げて鳴いた。
なんとなくこういうの、幸せだよね。

さぁて、今夜も帰ってギルとアーサーと美味しい夕食を食べながら楽しい時間を過ごそうじゃないか。





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