「じゃあ散歩行ってくるねー」

「おぉー」


コートを羽織りぽち君の首輪に縄をつけて玄関を出る。
うわー、やっぱり外は寒いなぁ…。
私の肩に乗ったピヨちゃんが少し寒そうに固まっている。そんな姿も可愛い。

昨日はギルにお散歩任せたから今日は私が行ってこないとね…。
それにしても寒いなぁ…どこか暖かい場所は…


「…あ、そうだ…。ねぇぽち君、お友達に会いたいと思わない?」

「わん」

「だよねーだよねー。私も会いたいんだよルート君に!一緒に遊びに行こうか!」

「わん」


けどいきなり行っちゃっうけどルート君家に居るかなぁ…。
もし居なかったら大人しく帰ろう。
少し遠くへ足を運び、ルート君達のマンションの前に到着する。
マンションの入り口で何度か呼び出し音を鳴らしてみたけど答えが返ってくる様子も無く…
しょうがない、大人しく帰ることにするか。


「おい名前!こんなとこで何やってんだよ?」

「うわっ、ビックリした〜。ロヴィーノ君かぁ」

「なんだよその顔。俺だったら嫌なのかよ」

「そうだねー、もしルート君だったらフェリ君みたいにあのムキムキに飛びついてたかもね」


ちくしょーと湯気を立てるロヴィーノ君の頭の上にピヨちゃんが降り立った。
あっちの方が暖かいのかな。


「な、何乗ってんだよ!!見下ろしてんじゃねーぞこのやろー!!」

「ははは、ロヴィーノ君気に入られちゃったのかな」

「ちくしょう…。まぁここだと寒いし上がっていけよ。何か美味しい物でも作ってやるか」


そう言って私の手を引くロヴィーノ君。
相変わらずのナンパっぷりだねぇ…。
ロヴィーノ君に連れられて部屋の中に入れば、中にはフェリシアーノ君の姿は見当たらなかった。
でかけてるのかなぁ…。


「すぐ暖かくなるから待ってろよ」

「ありがとねー」

「コーヒーでいいか?」

「うん」


優しいじゃないかロヴィーノ君!さすが女の子の扱い方慣れてると言いますか…。
それにしてもロヴィ君とフェリ君の部屋はインテリアから雑貨までいい趣味してるよねー…。
あ、この絵ってフェリ君が描いたものかなぁ…。


「あっちぃいい!!」

「ど、どうしたの!?」

「コーヒー零れたぞちくしょー…」

「うわっ、大丈夫!?ほら早く冷やして!!」


指先を火傷してしまったらしいロヴィーノ君の手首を掴んで蛇口から出る水に当てる。
あーあー、赤くなってるよ…。


「少しの間冷やしておいてね。こっち私が片付けておくから」

「う…これぐらい痛くも痒くもねーよ!」

「後で水ぶくれできて痛くなっちゃうんだよ。そうなったら嫌がらせに潰しに来るからね」

「ち、ちくしょー!!」


布巾で零れたコーヒーを拭き取り、コーヒーを淹れるために使ったであろうスプーンやらなんやらが散らかっているカウンターの上を適当に綺麗に整える。
きっと掃除はほとんどフェリ君がやってるんだろうなぁなんて思うと苦笑いが零れた。


「はいコーヒー」

「ちくしょう…こんなはずじゃ…」

「まぁ落ち込みなさんな」


頭から生えたくるんとしたロヴィーノ君の髪辺りを撫でると「なななななにすんだよ変態ぃいいい!!」と甲高い声出されてしまった。
…何故?
しばらく二人で話をしていると、フェリシアーノ君がルート君を連れて帰ってきた。
一緒にでかけてたんだね。
私の姿を見つけるなり嬉しそうに膝に飛び込んでくるフェリ君の髪を撫でた。
どす黒く微笑み低い声で「フェリシアーノ…」と見下ろしたルート君によってフェリ君はしばらくソファーの後ろから出てこなくなった。
まるで犬みたいだなぁ…。

しばらく四人でじゃれあうワンコ達を眺め、随分と外も暗くなってしまったので帰りはルート君に送ってもらうことになった。
帰るなり玄関先で「えらく長い散歩だなぁ、あぁ!?」と立っているギルの姿が。
あ…。ギルの事すっかり忘れてた…。





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