「やっぱりアフターヌーンティーは最高だよな。本来なら薔薇が綺麗に咲き誇っている庭で飲みたいものだけど…」

「悪かったね、私の家のソファの上で」

「べ、別に悪いとか言ってないだろ!?」


別にお前と一緒に居たいからここに居るわけじゃな(以下略)と慌てるアーサー。
ちなみに現在ギルは本田さんの取材旅行の為に我が家に預けられているぽち君の散歩に出かけている。


「こうやって二人でのんびり紅茶を飲むのも良いよな」

「だよね。外は寒いし家の中でぬくぬくしてるのが一番だよねー」

「だな。あ、スコーン食うか?」

「それはいらない」

「グズッ…」


ギルも買ったばかりのコート着て嬉しそうにピヨちゃんとぽち君と出かけたし…。
そんなのどかな時間を裂くように鳴り響いた玄関の呼び出し音。
しかも何度も連続に…って、こんな事するの彼ぐらいだよね…


「NOOOOOOOOO!!寒かったんだぞぉおおおおおお!!!」

「アルフレッド君!いらっしゃい…寒そうだねー」

「もう冬場にバイクなんて地獄だよ!!ダディー俺専用のジェット出してくないかなぁ…」

「何言ってんの若者が。中入って暖まって」


どうやら大学の帰りらしいアルフレッド君。
あらまぁ、良いタイミングで来ちゃったもんだね…。


「なっ、アルフレッド!!お前何しに来たんだよ…!」

「うげー!なんでアーサーが居るんだい!仕事しなよ!!」

「今日は休みなんだよ!!お前こそ大学でちゃんと勉強してんだろうなぁ。単位落としでもしたら承知しねーぞ」

「君には関係ないだろー。うぅー寒い!!暖めてくれよ名前〜!!」

「紅茶とコーヒーのどっちがいい?」

「名前がいいんだぞ!!」

「ちょっ、ぎゃぁああああ!!」


そう言ってキッチンに立つ私の背中にぎゅーっと抱きついて背中を丸めるアルフレッド君。
その体重に耐えられなくてバランスを崩し、そのままアルフレッド君に抱き上げられるような形になってしまった。


「なななななにやってんだよお前ぇええええええ!!!」

「重い…」

「はー…暖かいなぁ君は…ぬくぬくじゃないか」

「離れろこのメタボ!!お前が乗ったら名前が潰れるだろ!?」

「アルフレッド君…流石にアルフレッド君を支える元気は無いよお姉さんは…ギルで限界なのに…」


後からぎゅっと私の背中にぐりぐりと頬を寄せるアルフレッド君。
うーん、なんだか可愛いから強く言えないじゃないか…。
アーサーはおもいっきりアルフレッド君の背中を引っ張って引き剥がそうとしているらしいけど、アーサーの力じゃアルフレッド君の体はびくともしないらしい。
まいったね。


「はいはい今コーヒー淹れてあげるから離してね」

「やだよ!!離れたら寒いじゃないか!!」

「じゃあアーサーにくっついてなさい」

「お、俺にくっつくとかバカ…でもお前がそこまで言うなら暖めてやらない事もないんだからな」

「デレなくてもいいよ。気持ち悪いんだぞ」

「ちくしょう…小さい頃は抱っこして暖めてやってたのに…ぐすっ…」

「なぁ名前、この眉毛外に放り出してもいいかい?」

「それでも貴方のお兄さんなんだから大事にしてあげなさい」


ブーと唇を尖らせたアルフレッド君の前髪をくしゃりと撫でると「しょうがないなぁ」と私の傍から離れて行った。
アルフレッド君ってずーっと年下として育ってきたからやっぱり甘えん坊さんだよねぇ…。
マシュー君はとってもしっかりしてるど。双子なのになぁ…。


「うげ。また兵器作ってるのかいアーサー?」

「兵器じゃねえスコーンだバカ」

「食べ物じゃないよこれは!!名前〜!アイスとかケーキとかハンバーガーとかないのかい?」

「ないよ!っていうか寒いとか言いながらアイスが食べたいってもう何なのこの子!!」

「アイスは一年を通して何時でも食べられるんだぞぉお!!」

「もう若い子についていけない私」

「奇遇だな、俺もだ…」


キッチンからギルのおやつを見つけ出したアルフレッド君がもしゃもしゃと口いっぱいにお菓子を詰め込んだ。
そのタイミングを見計らったように「さみぃいい!」と帰ってきたギルが自分のおやつを食べられている事に気付きアルフレッド君の胸倉を掴んでいたが当の本人は気にも留めていないようにおやつを食べ続けた。


「よしよしぽちくん、寒かったねー」

「わん」

「うわっ、どろどろだし!!ピヨちゃんもギルも…何してきたの?」

「公園にあった水溜りに二人して突っ込んで行ったんだぜ。かっこよすぎるぜ!俺も新しいコートだったから迷ったが脱ぎ捨てて突っ込んでやった」

「小学生かよテメェは」

「よしよし、今体洗ってげるからね〜」

「俺も一緒に洗うんだぞ!!」

「バカ、お前がいたらはしゃいで水浸しになるのがオチだろ」

「俺様はどうすりゃいんだよ」

「それじゃあついでに一緒に洗ってあげるから準備してなさい」

「いや、それは冗談きついぜ」

「折角買ってやったコートに泥跳ねてんだよアホ」

「まじでか」


まるで母と子だなぁと笑ったアルフレッド君にギルが彼の両頬を摘んで横に伸ばした。
飽きないなぁ、この二人も…。





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