「いくらスキー用具はレンタルできると言っても寒い場所に行くわけだし防寒着は買っておかないとね〜」

「それでわざわざ会社帰りに呼び出したのかよお前…」

「だってアーサー最近帰り早いじゃん。仕事暇なの?」

「ちげーよバカァ!!これから年末にかけて忙しくなるんだっつーの!!」


仕事帰りのアーサーを呼び出し、近くで待ち合わせをして買い物に繰り出した。
早く行っておかないと準備ができないもんねー。
早速近くのショッピング街に入り適当なお店で商品を見る事にした。


「うーん、これもかっこいいなぁ」

「ってそれ男ものじゃねーか!!」

「いや、ギルのだから。帽子と手袋と…あとはマフラーかなぁ」

「お前あいつの分より先に自分の選べよ…」

「私?あぁー…。うん、今持ってるのでいいや」

「お前なぁ…。もう少し自分の為に金使ったらどうだよ…」

「うーん…でもこれギルに似合うと思わない?」

「……はぁー…」


厚手のコートをアーサーに羽織らせてサイズを確認する。
アーサーはギルより細っこいからアーサーには少し大きいぐらいでちょうどいいよね。


「この耳付き帽子可愛いなぁ…!!くまさんいいよくまさん!!」

「お前はまたそんなもの…。好きだよなぁ、そういうの」

「アーサーにはウサギさんが似合うかなぁ〜」

「やめろよバカ!!」

「やばっ、超可愛い…!!」


ユーモアのあるウサギの耳付き帽子をアーサーに被せると、これまたとっても可愛い姿が出来上がった。
ちくしょう…可愛いじゃないかアーサー…。
ギルにはクマさん買って帰ろうかな。いや、あいつもウサギ似合いそうだし…うーん…。


「お、お前は猫なんか似合うんじゃないのか?」

「いや、私はそういうの要らないから」

「そ、そうか…」


ギル用にコートと帽子をマフラーと手袋を購入し、なんだか大満足な気分で帰路についた。
いやぁ、なんだか久しぶりに買い物した気がするなぁ。

家に帰り夕食と入浴を終え、自室に置いておいた今日買ったものをギルに渡すことにした。
喜んでくれるかなぁ。


「はいギル!プレゼントー」

「はぁ?なんだよこれ」

「冬用のコートとか手袋とか。今度スキー行く時寒いといけないと思ってさ」

「マジかよ。用意いいなお前!!」

「でしょでしょ」


袋の中に入ったコートを広げたギルが「おぉー!」と声をあげた。
どうやら気に入ってもらえたようだね。


「かっこいいじゃねーか!!」

「ギルに似合うと思うよー」

「かっこいい俺様にぴったりだぜ!!」

「はいはい。こっちはマフラーと手袋と帽子!!」


コートを羽織ったギルの首にマフラーを巻き、手袋を渡して帽子を被せる。


「か、可愛いぃいいい!!」

「え…なんかこれ帽子変じゃねえ…?」

「変じゃない変じゃない!!可愛いよギルぅう!!」

「いや、絶対おかしいだろなんだよこの熊の耳は!!」

「あ、やっぱりウサギの方が良かった?悩んだんだよねぇ、ウサギか熊で」

「そういう問題じゃねえ!!」


「ともかくこれは無し」と帽子をソファーに置くギル。
ちくしょう、折角買ったのに。本田さんにでもあげようかな。


「それでお前は何買ったんだ?」

「私は何も買ってないよ」

「…は…?」

「いや、今ある分で充分だし」

「おまっ…自分の分買わずに俺の服買ってきたのかよ!?」

「いや、だから私は今持ってるので充分だからさ」


そう言うとポカンと口を開けた後に、少し複雑そうな顔をしたギルに乾かしたばかりの髪をぐちゃぐちゃに撫でられた。


「何すんだこの野郎」

「こっちの台詞だこっちの!!」

「はぁ?」

「もっと女らしくお洒落でもしろって言ってんだよ!!」

「意味わかんないから」


買ったコートを大事そうに畳んだギルは私の膝に頭を乗せてゲームを始めた。
まったくもう…、
とりあえずこっちの帽子は明日本田さんに被せて遊んでみようかな。
久しぶりにあの人の困っている顔を見てみたいしね。





「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -