「アーサー、この間言ってたスキーの件なんだけどね、皆に予定聞いたら来月の12日と13日辺りが良いみたいなんだけどさぁ。アーサーは予定大丈夫?」

「ちょっと待てよ…うん、大丈夫だ。どこに行くのか決まってるのか?」

「うん。ここなんだけどね…」

「温泉地か。いいな」

「一応予約の電話入れてみたんだけどさ、結構ギリギリだしダメかと思ったんだけどタイミングよく団体のキャンセルがあったらしくて」


スキー場のパンフレットをアーサーに見せると、嬉しそうに目を輝かせて中をじっくりと読んでいた。
うんうん、初めてだもんねぇスキー…。


「一応メンバーは何時も通りエリザやトニーさんやアルフレッド君達なんだけど…」

「なんだよ」

「それが、さ…。どこから聞きつけてきたのか私の上司…デンさんとノルさんまで一緒に行きたいとか言い出しちゃって…」

「あの二人だったら問題ないんじゃないのか?」

「私が嫌なの!!ノルさんはともかくデンさんは…ぜったい振り回されるに決まってるじゃん」

「まぁ諦めるしかないな。断れないだろ」

「ちくしょぉおおおお!!」

「全員で何人ぐらいになるんだ?」

「えーっと、私とギルとアーサーと本田さんと、エリザとローデさんにフランシスさんとトニーさんと上司二人にティノ君スーさん…あとアイス君も誘っちゃった!それからアルフレッド君とマシュー君とルート君とフェリ君とロヴィーノ君!イヴァン達も誘おうと思って電話したんだけど連絡つかなくってさぁ…忙しいのかな…」

「いや、居なくてもいいだろあいつは…。それにしても大人数だな…」

「ピーター君も誘いたいんだけどどうしよっか」

「そうだな…。後で聞いてみるよ」

「うん」


皆でスキーなんて楽しいよね、絶対に!
スキー場まではレンタカー借りて行くしかないなぁ…。
大型ワンボックスを二台借りれば大丈夫だろうし。
運転手は…アーサーと…。若者に頼むのは怖いからスーさんにでもお願いしようかなぁ。
うん。今からとっても楽しみだ。


「てか俺スキーウェア持ってねーんだけど?」

「私も持ってないよー。ギルは私と一緒に現地調達だ!借りればいいんだよ借りれば」

「そっか。板もか?」

「うん」

「それじゃあ俺もそうするかな。買いに行くの面倒くさいし」


早く12日にならないかなぁ…。
温泉もあるっていうし楽しそうだよね。
フェリ君やロヴィ君もすっごく楽しみにしてくれてたしなぁ。
ギルとルート君も兄弟揃っての旅行になるわけだし…。
とにかくデンさんには振り回されないようにしておかないとね。

夕食を食べ終えて、お風呂を済ませてリビングに戻ると、昨日アーサーに殴られて赤く腫れてしまった頬を擦っているギルの姿があった。


「まだ痛むの?」

「当たり前だろーが。あいつ容赦ねーよ」

「まぁ…私にも責任はあるよね。ごめん」

「悪いと思うなら労われっつーの」

「はいはい」


少し冷たくなった手をそっと腫れた場所に当てると、気持ち良さそうに目を閉じるギル。
犬みたい。
手を頭の上に移動して、乾かしたばかりでふわふわと揺れる髪を撫でた。


「撫でられると気持ちいいの?」

「んー、まぁな」

「ふーん」


横目で私を見たギルの手の平がポンと頭の上に乗ったかと思うと、ギルの大きな手の平に包まれるようにして髪を撫でられた。

うん…。確かにこれは気持ちいいな。


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