「え、アーサーってスキーした事ないんだ」

「実はな…。やってみたいとは思ってんだけどなかなかタイミングが掴めなくてさ」

「お前アレだろ、転がって雪だるまになるベタなやつだぜきっと!!」

「それはお前だろバカ。こう見えても俺はスポーツ万能なんだからな。雪の上ぐらい軽く滑ってやるよ」

「そういや去年ティノ君達と一緒に行ったなぁ、スキー。今年は皆で行く?温泉近くのゲレンデとか楽しそうだよね」


夕食時にテレビで流れていたスキーの映像。
うーん、そろそろそんな季節だねぇ…。
アーサーがスキーやった事ないのもビックリだ。


「ん、それいいな。来月あたりゲレンデオープンも始まるだろうし」

「またいつもの皆誘ってみようか。スーさんなんてすっごく上手なんだよ!流石雪国の人だよねぇ」

「俺様だって滑りは誰にも負けねーぜ?ゲレンデの王になってやるぜ」

「バカ丸出しじゃん」

「うるせーよデブ」

「あぁん?」

「俺を挟んで見つめあってんじゃねーよバカァ!!」


どこをどう見たら見詰め合っているように見えるっていうんだこの眉毛は。

今日の昼間やってきたらしいフランシスさんのお土産である赤ワインぜりーを食後のデザートにいただき大満足だった。
うん、やっぱりフランシスさんはプロだ。

少し体の汚れていたピヨちゃんをお風呂場でぬるま湯で洗ってあげたついでに自分もお風呂を済ませて上がると、待機していたらしいギルが少し湿気ているピヨちゃんの体をふわふわのタオルで包んであげていた。


「ピヨちゃん待ちですか…」

「当たり前だろ。ピヨちゃんは俺の相棒だしな」

「あらそうですかー」


ほんっと動物好きだなぁ…。

洗面所の鏡の前に立って髪を乾かしていると、背後からそろそろとやってきたギルがなにやら私の持っていたドライヤーを奪い取った。
かと思えば、楽しそうに鼻歌まじりで私の髪を乾かし始めた。


「なんですかーいきなり」

「いいから大人しく乾かされとけよ」

「なにそれ」

「大人しくしてねーと首筋くすぐるぞ」


それは勘弁願いたいです。

言われるがままに大人しくギルに髪の毛を乾かされる。
うーん、これじゃあいつもの逆だなぁ。
本当にギルのやる事は突拍子もない事ばかりでよくわからん。
だけど、なんとなくギルが優しく乾かしてくれてるのが気持ちよくって目を閉じてじっとしていると、「犬みてぇ」と笑ってじゃれてきた。

その言葉、そっくりそのままお返ししてやるよ。


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