「おやまぁ…そんな事があったんですか」

「そうなんですよ。あのマフラー…まぁ確かに出来は悪かったんですけどねー」

「けれどもアーサーさんの為に編むだなんて…まさかの土壇場でツンデレフラグ発動ですか。ドキドキの展開ですね」

「なんの話しですか」

「いえ、こっちの話です」


美味しいお菓子があるから今からいらっしゃいませんかと本田さんに釣られてやってきたのはいいけど…。
なんだかまたネタの徴収されてる気がするなぁ…。
食べ物に釣られる癖なんとかした方がいいかもしれない。


「おい名前、携帯鳴ってんぜ」

「んー?この着信音はルート君だよね…。もしもし?」

「なんでルッツ俺のとこに電話しないで名前にかけてんだよ!?」

「あ、うん。うん。ちょっと待ってね、本田さんに聞いてみる」

「私ですか?」

「はい。今ルート君がワンコ三匹と一緒に私の部屋の前まで来てるみたいなんですけど…」

「あぁ、ではこちらにいらしてはいかがでしょうか?ワンコさん達もご一緒に」

「ありがとうございます」

「なんだ、こっち来んのかよルッツ」


ルート君に本田さんに言われたことを伝えると「すぐに行く」と返事が返って来た。
あの三匹のワンコも一緒に来てくれるのかぁ。
ポチくんも居るけど喧嘩とかしないよね…?


―ピンポーン


「おや、こられたようですね。ちょっと行ってまいります」

「はい、お願いします」

「俺様も行ってくるぜ!!」

「はいはーい」


玄関へと小走りしていく二人を見送って、膝の上に乗っているポチくんの頭を撫でる。
ルート君のワンコの匂いでも感じたのか、ピクリと耳を立ててキョロキョロと辺りを見回していた。


「名前さん、ルートさんがいらっしゃいましたよ」

「やっほールート君!」

「すまないな、俺だけじゃなくこいつらまで上がらせてもらって…。ちゃんと爪は研いであるが畳を傷めないといいんだが…」

「大丈夫ですよ。大人しい子達のようですし…お気になさらずに」

「わしゃわしゃしゃぁああああ!!可愛いなぁベルリッツゥウウウ!!!」

「キャワン!!」

「ギル、嫌がられてるから。全力で嫌がられてるからね」


居間に入ってきたルート君と三匹のワンコ。
少し遠慮がちに私の近くまで寄って来る二匹にポチ君がふわふわの尻尾を揺らした。


「アスター、ブラッキー。仲良くするんだぞ」

「ポチ君もお三方と仲良くしてくださいね」


私の膝の上から降りたポチ君が二匹に近づき、お互いを探るように体の匂いを嗅いでから嬉しそうに尻尾を振った。


「仲良くなれそうだね」

「そのようですね。安心しました」

「あぁ」

「友達ができてよかったね、ポチくん」

「わん!」


嬉しそうに飛びついてくるポチくん。
それに続いて私の体の上に圧し掛かり顔やら手やらを舐めてくる二匹にまたもや尻餅をつく羽目になってしまった。
元気だなぁワンコ達は…。


「犬と戯れる名前さん…微笑ましいですね…私も犬になりたいです」

「あー…本田、気持ちは分かるが少し自重した方がいいと思うぞ」

「犬プレイ…」

「うっとりした顔でこっち見るのやめてくれます本田さん」

「わしゃわしゃわしゃぁああ!!可愛いぜベルリッツゥウウウ!!」

「キャウーン!!」

「いい加減にしてやれ兄さん…」


ギルゴロウと化しているギルを他所に、本田さんに出してもらったお茶菓子を食べながら三人でのんびりとコタツに入りながらお喋りをした。
私のすぐ傍でじゃれて遊んでいるポチくん達がとっても微笑ましくてついつい頬が緩んでしまった。
ふとルート君の顔を覗いてみると、同じ事を思っていたのか幸せそうに口元が緩んでいた。
ルート君…犬好きだね…。
ポチくんにも友達が出来てよかったね。





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