「ギルー、お昼何食べたい?」

「フェリちゃんの作ったパスタ」

「ハッハッハ!私の作るパスタに何かご不満でも?」

「お前が作ったのって上手くアルデンテになってねーんだよなぁ。ちょっとべたついてるっつーか」

「へぇ…そこまで言うなら自分はちゃんと美味しいパスタが作れるんだよね」

「当たり前だぜ!」

「なら、はいこれ」

「…なんだよこれ」

「エプロン。材料は冷蔵庫にあるから。火には充分気をつけてね。私とギルとアーサーの三人分。よろしく」

「……え?」


ギル専用のウサギさんのマークのついたエプロンを差し出しキッチンを指差す。
さぁ、お手並み拝見といたしましょうか。
普段から文句ばっかり言うギルがどんな料理を作ってくれるのか見ものだよねー。


「さぁギルベルト君、レッツクッキング」

「わーったよ!!これぐらい俺様にもできるぜ!!」

「そうですかー。じゃあ私はゆっくり自分の部屋で本でも読ませてもらいますー」

「勝手にしろよ。あー、あと俺の漫画勝手に漁るなよ!!」

「うん、漫画の奥にあるエロ本だね。分かった」

「……泣きたい」


ギルの頭の上に乗ったピヨちゃんを連れて部屋に入る。
15分ぐらいしたら様子を見に行こうかな…。
まぁパスタなんだしギルでも作れるでしょう。


―ピンポーン


ん?お客さんかな


「はいはーい、どなたー?」

「よぉ…」

「よぉアーサー」

「その、昨日は悪かったな」

「まだ言ってんのこの子は。いつまでも引きずらないでよ女々しいなぁ」

「だ、だってアレはかなり俺に責任があると思うぞ…」

「はいはい。今ギルがお昼作ってくれてるよ。一緒に食べるでしょ?」

「はぁ!?あいつが作ってんのかよ!?」

「うん」

「いや、食べられないだろあんなやつの作った料理!!俺を殺す気か!?」

「うん。ギルもアーサーにだけは言われたくなかったと思うよ今の台詞!!」


ギルの邪魔にならないようにアーサーを自室に招き入れた。


「そういえばお前が昨日言ってたアレ…。昨日の夜遅くにアルフレッドの父親から電話があった」

「マジですか。なんだって?」

「いい相手何人か探しておいたから会ってみろだとよ。それだけ言って一方的に切られた…」

「わぁ…流石アルフレッド君のお父さんだね…。それで何時会う予定なの?」

「知るかよ。俺はその気なんてないしな…」

「そっか」


だけど大丈夫なのかなぁ。
一応アルフレッド君のお父さんは上司でもあるんだし…しかも社長。


「おい、できたぞ」

「はいはーい」

「ちゃんと食べられるんだろうな」

「お前だけには言われたくねーよその台詞!!」

「んだと?俺だって本気出せば美味い料理作れるんだからな」


ぶつぶつとほざいているアーサーを無視してギルの作ったトマトパスタを口に運んだ。
うーん、まだまだ味が足りない気がするけど…。


「美味いだろ!?」

「んー、まぁ合格点かな」

「なんだよそれ。美味いなら素直に認めやがれ!」

「はいはい。美味しいですよー。だけどギルが言ってたアルデンテには程遠いね。茹ですぎ」

「お前が無理矢理言うから作ってやってんのに文句言うなよ!!」

「うん。そっくりそのまま返すよ今の言葉。いつも料理に文句言われる私の気持ちが分かったか!!」


フンと鼻を鳴らすと少しばつが悪そうに視線をそらしたギル。
たまにはギルに作らせるのも良いもんだな。

夕食を食べ終わる頃合いを見計らったようにかかってきたロヴィーノ君からの電話は、「アントーニョがお前から手編みのマフラーもらったとかうるせーぞちくしょう!」との内容だった。
いや、私に言われましても…。
ていうかトニーさん…ロヴィーノ君に見せたんだね…恥ずかしすぎるよ…。
だけど大切にしてくれてるんだなぁ…。

電話の合間に出てくる“マフラー”と言う単語に体をびくりと動かす二人の反応を楽しみつつロヴィーノの君との電話を続けた。

しばらくはこのネタでこの二人虐めてやれそうだよね。


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