「最近ダディーが久しぶりに戻ってきたんだけどさぁ。もうアーサーの事ばかり俺達に聞いてきて欝陶しいんだよ!気になるなら本人に聞けばいいのに!」

「それは大変だね。アーサーの何を聞かれるの?」

「私生活はどうだーとか。そんな事知ったこっちゃないよ!」


仕事帰り。アルフレッド君にバーガーショップに呼び出されたかと思えばテーブルの上に山積みにされたハンバーガーを前にアルフレッド君がもぐもぐと話始めた。

それにしても…アルフレッド君のお父さんに気に入られてるみたいだからなぁ、アーサー。
まぁアーサーにしてみれば元父親なんだし…


「そういえばダディーがなんで今住んでる狭苦しいマンションから引っ越さないのかなぁって悩んでたよ」

「悪かったね狭苦しいマンションで。私も住人だよ」

「OHそうだった。アーサーのやつ給料いいくせにもっといい場所に住めばいいのにさぁ。その方が俺も名前のとこに遊びに行く時に顔を合わせなくてすむから嬉しいんだぞ」

「アルフレッド君…もうちょっとアーサーを大事にしてあげて…」

「やーなこったー」

「こんガキー!!」

「HAHAHA!!何するんだい!!仕返ししてやるんだぞ!!!」


むぎゅっとアルフレッド君の柔らかい頬をつねってやると、へでもないと言わんばかりの表情で私の両頬を摘んだ。
ちくしょう…年下にからかわれている気がする…。


「それでさ、俺ダディーに言ったんだよ!!いい歳してるくせに恋人も居ないんだからダディーがいい相手見つけてあげればいいんじゃないかなってさ!!」

「悪かったねいい歳して恋人も居なくて!!私も同じ歳だよ!!」

「OH…君には俺が居るじゃないか!!俺と結婚しよう!!」

「あーはいはい。それでアーサーにいい人紹介って…。そんな簡単にアルフレッド君とお父さんが決めていいものでもないでしょう!?」

「だけどダディーはその気になっちゃってさぁ!!近々アーサーに何人か紹介するって言ってたけど?」


さ、さすがアルフレッド君のお父さん…。
強引と言うかゴーイングマイウェイと言いますか…。
だけどアーサーに女の人なんて…
なんかよくわかんないけど…複雑、だよなぁ…。



――――




「晩飯まだかー?」

「もうちょっとだよー」


ピヨちゃんをお腹の上に乗せてお腹をへこませたり膨らましたりと遊んでいるギル。
ピヨちゃんが嫌がってるじゃないか…。
そういえば今日アーサー帰り早いのかな。
もしかして今頃アルフレッド君のお父さんに例の話を持ち出されてたりしたりして…。
元父親とは言え上司だもんなぁ…断れないよね。
というか断る理由もないような…。
うーん…なんだかなぁ…


「なんかお前今日ボーっとしてねえ?」

「んー?そんな事ないよ」

「考え事かよ」

「ちょっとね」

「ふーん」

「ほい、夕食できたよ」


夕飯のハンバーグをテーブルに並べれば、「目玉焼き付きがいい」と頬を膨らませるギルに負けて再びキッチンに立つはめになった。
自分でやれよこの野郎。

その日は結局アーサーは私の方には顔を見せず、きっと随分遅くに帰ってきたみたいだった。

明日の朝話しを聞いてみようかなぁ…。
だけどあんまり首を突っ込むような事でもないし…うーん…。

なんかこう、もやもやするよなぁ…。





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