「ばふっ、ちょ、待って…そこ舐めないでくすぐったぁあああ!!」

「こら!!アスターやめろ!!ベルリッツも名前の上に乗るんじゃない!!」

「何で俺のとこには誰もこねーんだよ…」


ルート君の家を訪れれば、家主本人が現れる前に飛び掛ってきた犬三匹。
なんだか私気に入られてるのかな…。
可愛いけどちょっと犬臭い…。


「名前、これで顔を拭け」

「ありがとールート君…。三匹ともいい子だけど力強いね…」

「あぁ…二匹は大型犬だからな。まぁせっかく来たんだしゆっくりしてってくれ」

「うん、ありがとう」

「あの坊ちゃんはいねーのか?」

「あぁ、今日は仕事だ」


ローデリヒさんも頑張るよなぁ…。

ルート君にお土産のプリンを渡すと「今コーヒーを淹れるから待っててくれ」と言われたのでお言葉に甘えてソファーに座らせてもらう事にした。
先にソファーで横になって我が家のようにくつろいでいるギルの体の上に腰を下ろすと「ぎゃぁあああ潰れるぅうう!!ケツでか女ぁあああ!!」と雄叫びを上げたので更に体重をかけてやった。


「何をやっているんだ兄さんは…」

「何時もこんな感じだよー」

「ルートも混ざるか?」

「混ざるか!!」


二人でハハハと笑い声を上げると「まったくお前達は…」とため息をつくルート君。
若いのにそんなに溜め息ばっかじゃこの先が心配だなぁ…。


「ルートォオオ〜!!!名前が来てるってほんとー!?」

「うおおお!!フェリちゃん!!今日も可愛すぎるぜぇえええ!!」

「ヴぇええ名前だぁあ!!名前ー名前ー!!!」


両手を広げてフェリ君が飛び込んでくるのを待っていたギルを横切り私に飛び込んでくるフェリ君。
ワンコみたいな子だなぁこの子は…。


「名前だー名前だー!!!」

「こんにちはフェリ君。ロヴィーノ君は?」

「兄ちゃん?多分自分の部屋で寝てるんじゃないかな。兄ちゃんに名前が来てる事知られたらまた邪魔されるから何も言わないでこっちに来たんだ〜」

「呼んであげればいいのに。二人の分も美味しいケーキ屋さんのプリン買ってきたのにな」

「でも俺今日は名前を独り占めしたんだー。ダメ?」

「うっ…」


そ、そんな子犬顔で私を見ないでください…。
フェリ君の頭をなでる私を見て、行き場のない両手を広げたままのギルが「年下に弱いやつめ…」と小さく呟いた。

煩い。自分が一番よく分かってんだよ。


「コーヒー入ったぞ」

「ありがとルート〜!」

「名前は砂糖とミルク大めだったな?」

「うん。よく覚えてたねー」

「まぁな。兄さんもちゃんと座れ」

「フェリちゃん…グスッ」


皆で一緒にコーヒーとプリンを食べて楽しく話しをしたり、じゃれ付いてくるワンコ達と遊んでいるとフェリ君も犬みたいにじゃれ付いてきて「可愛いなぁあフェリちゅわぁああん!!」とギルが発狂した。
どんだけフェリ君はギルのツボをついているんだろう。

途中、寝起きで機嫌が悪そうなロヴィーノ君が「腹減ったから何か食わせろじゃが芋野郎」とやってきた。
私とギルが居るのを見て驚いた様子で「なんでお前が!?」と駆け寄ってくる。
「なんで俺を起こさなかったんだと」フェリ君の頭にチョップを入れるロヴィーノ君にプリンをあげれば私の隣に座って大人しくなった。
まったく単純で可愛い子だよなぁ。

夕方になりルート君手作りの夕食をご馳走になってから帰路についた。
帰り道で夜のお散歩中の本田さんとポチくんに会って、少し話をしているとポチくんが私の匂いをくんくんと嗅いで自分の体を私に擦り付けていたんだけど…
何をしているんだろうと頭の上にハテナマークを浮かべていると、クスクスと笑った本田さんが「名前さん、ルートさんのワンコと遊ばれたのでは?きっと違う犬の匂いがしてヤキモチを妬いて自分の匂いをつけたんですよ、ポチくんは」と楽しそうに微笑んだ。
なんだか今日はワンコにモテる一日だったなぁ。

家に戻りくつろいでいると、甘えた声を出したギルが私の膝に顎を置いて「ケセセー」と笑った。
ここにもまたワンコが一匹…。






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