「へぇ、アイス君風邪よくなったんですね」 「うん。”来てくれてありがとう”ってお礼のメールが来て、もう治ったから大丈夫って言ってたよ」 「無事で良がった」 「うんうん。私も風邪引かないようにしないとなぁ」 「でも名前さんって風邪で休んだ事とか無いですよね」 「んだな」 「うん…。馬鹿は風邪ひかないってギルに笑われたよ」 「え、いや…けっ健康体でいいじゃないですかぁあ!!」 「だよね。とりあえずギルはニ、三発殴っておいたけど」 「ギルベルトさん…」 「名前に逆らうとおっかねーない」 憐れむような表情をした二人に「まったく皆私のなんだと思ってるの?」と眉を寄せると楽しそうに笑ったスーさんに頭を撫でられた。 なんだかからかわれてる気がするなぁ…。 その日も帰りが同じ時間だったアーサーと一緒に帰る事になった。 なんだかやたらと上機嫌なアーサーが気持ち悪い。 「明後日は俺とディナー食べに行くんだからな!!忘れるなよ!!」と何度も嬉しそうに言ってくるもんだから少々鬱陶しくなった。 そんなに楽しみなのか、アーサー。遠足前の小学生でもそんなにはしゃがないよ…。 まぁ私もすっごく楽しみだけどね、豪華な料理!! ギルにはお留守番してもらわないとね。 どうせ私が居なかったら本田さんの家にでも行って遊んでるだろうし。 「あ、そうだ。おい名前。明日ルッツの家遊びに行かねえ?」 「ルート君のマンション?別にいいけどなんで?」 「犬達に会いたいしな!!兄として弟の私生活を見てやるのも勤めだぜ」 「うん、ルッツ君は全力で嫌がるだろうけどね。いきなりおしかけるのは悪いから連絡しておくよ」 「おう!」 ルート君にメールを「明日遊びに行ってもいい?」と送ってみると、数分もしないうちに着信が入った。 明日は特に用がないから大丈夫とルート君に許しを得て、それからしばらく電話で他愛のない話を続けているとあっという間に時間が過ぎていた。 ルート君と話してると本当に時間が過ぎるのが早いよねぇ…。 明日は直接会えるしもっとたくさんお喋りしよっと! 受話器を切りギルの方を向くと、ソファーの上で膝を抱えて横になっていた。 「どうしたの」と尋ねてみれば、「俺の弟と仲良くしやがって…なんだこの複雑な気持ち…」と鼻を啜っていた。 まぁ確かにギルより私の方がルート君と顔合わせる機会多いよね。 だけどそんな事で拗ねなくてもいいのに…。 「べつに私に嫉妬しなくても明日沢山お喋りすればいいじゃない」と頭を撫でると小さな声で「そっちじゃねーよ」と顔を背けられた。 なんだっていうんだこいつは。 . ←|→ |