「名前…」

「アイス君!うわぁ、久しぶりだね。元気してた?」

「元気じゃないよ…風邪ひいた」

「かっ風邪!?」

「うん…」


仕事の帰り道。
遠慮がちに肩を叩かれ振り返ってみれば頬を赤くしてだるそうな顔をしたアイス君が立っていた。
久しぶりに会ったかと思えば風邪って…。


「だだだ、大丈夫なの!?」

「今病院の帰りだから。安静にしてれば大丈夫って」

「良かった…。お家の人に体にいいもの作ってもらってちゃんと寝てるんだよ?熱も高いみたいだし…」

「…うん」


アイス君の額に手を乗せればじわじわと熱が伝わってくる。
これはなかなか熱も高そうだなぁ・・・。


「家まで帰れる?送って帰ろうか?」

「大丈夫。名前も仕事で疲れてるでしょ?」

「これぐらい平気だよー」

「家反対方向だし…平気だから」

「そう?それじゃあお大事にね」

「………名前、」

「どうかした?」

「…ううん、なんでもない」


またねと手を振って背を向けるアイス君。
本当に大丈夫かな…。




―――




「おやまぁ…アイス君風邪を召されたんですか…心配ですね。あ、ギルベルトさんそこのアイテム取っておいてください」

「おぉ。まぁガキだし親の飯作った食って寝てりゃ治るだろ。これここで使ってもいいのか本田」

「あぁ、まだダメですよギルベルトさん。ボス戦の前に回復しないといけないのでここで使うのは勿体ないですから」

「おう」


ぴこぴことゲームのコントローラーを握った二人が画面から目を離さないで会話を続ける。
まったく原稿につきっきりになってたかと思えば次はゲームですか…。
まぁ締め切りが終わってやっとゆっくりできるって言うし今日ばかりは何も言わないでおこう。


「あ、本田さん。これ持って帰ってくださいね。アーサーからのお土産です」

「これはこれは…ありがたくいただかせていただきます。アーサーさんにお礼を申し上げなくては…」

「今日は会議だかなんだかで遅くなるって言ってましたよ」

「そうですか。ではまたタイミングを見計らってお伝えしておきましょう」

「また担当さんに食べられないように気をつけてくださいね」

「あの人どこに隠しても見つけ出して勝手に食べるんですよ…」


あの本田さんを負かせるなんて本当に凄い人だよね、彼…。
夕食を本田さんと三人で食べ終え、帰宅する本田さんを玄関まで見送り夕食の後片付けを済ませた。

それにしても、アイス君の事気になるなぁ…。
別れる前に何か言いたそうにしてたし。
何か問題でもあるのかな…。
心配だなぁ。明日デンさんにでもアイス君の様子を尋ねてみるとするか


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