「ただいま!沢山土産買ってきたぞ!」

「ってこれ買いすぎでしょーがぁあああ!!生キャラメルに白い○人もこんなに沢山…。しかもなんで甘い物ばっかなの」

「べ、べつにお前を喜ばそうとか思ったんじゃないからな。俺の為なんだからな」

「そうか。じゃあ全部おアーサーが食べてよね」

「一人じゃ無理に決まってんだろ!?」

「無茶苦茶だなこいつ!!」


大量の荷物を抱えて出張から戻ってきたアーサー。
確かにいつもどこか遠くに行く時はお土産買って来てくれるけど…今回は多すぎるだろう。


「ま、まぁ半分はアルフレッドとマシューに届ければいいよな…」


…成る程。
この間私が「アルフレッド君がアーサーの送ってくれたアップルパイを見て嬉しそうにしてたよ」ってメールを送ったのが原因か…。
相当嬉しかったんだなぁ、アーサー。


「半分あげても多いでしょ」

「あと配れるとこと言えば…」

「アーサー友達居ないもんね…渡せる相手居ないんじゃ…」

「…だよな…ハハハ…」

「ま、まぁあれだよ。本田さんとかトニーさんとかフランシスさんとか…あとはルート君とか居るしね!!」


スーツの袖で涙を拭ったアーサーは「そうだよな」と笑顔になった。


「そういえばあいつどうしたんだよ」

「ギル?まだ寝てるよ」

「はぁ?もう昼なのにまだ寝てるのかよ」

「ギルも本田さんのお手伝い頑張ってたからねー。明日はでかけるぞって張り切ってた」

「ふーん…。あ、次の日曜は俺との約束だからな。忘れんなよ」

「はいはい。お昼ごはんどうする?オムライスなんだけど…。あ、疲れてるから家でゆっくり休んだ方がいいか」

「いや、食べさせてもらう。お前の料理数日食べてないからちょっと恋しかったんだよな…」

「それはそれは。じゃあとびっきり美味しいオムライス作るね!」

「あぁ、楽しみにしてる」


嬉しそうに笑っちゃって…。
アーサーのああいうとこは素直で可愛いよね。

キッチンに立って昼食の準備をしていると、今だにソファーで眠っているギルが寝言で「クーヘンの妖精…」と呟いた。
どんな妖精だよ。
この調子ならまだ寝てそうだよね…。
お昼は私とアーサーの分だけでいいか。
ギルの分は目が覚めた時にでも作ってやろう。


「アーサー、ギルがソファー使っちゃって家じゃ狭いから昼食はアーサーの部屋で食べよう」

「ちょっ、ちょっと待て!今散らかってるから片付けてからにしてくれ!!」

「別に散らかっててもいいよ。お邪魔しまーす」

「うわぁああああ!!ちょっ、あああああ!!!」

「何騒いでん…あ…」


無造作に机の上や床の上に置かれた先ほどの荷物たち。
その中で一際目立つピンクの表紙の雑誌をもの凄い勢いで背中に回したアーサー。


「なるほどねぇ…。うんうん、肌色の多い金髪美女の雑誌はアメリカ産ですか。若いねーアーサーも」

「ちがっ、これは、その…あああ、アルフレッドへの土産だ…」

「弟に何渡そうとしてんのぉおお!?」

「べ、べつにいいだろバカァ!!こ、こんな下品なもの俺はちっとも興味ねーよ!!」


うわぁああ!と叫び声をあげながらピンクのエロ本達をゴミ袋に詰めるアーサー。
何もそこまでしなくても良いと思うんだけどなぁ…。
しかしチラッと見えたけど雑誌の表紙は金髪美女で巨乳が多かったような…。
…やっぱりアーサーも大きい方が好きなのか…ちくしょう…。


「まぁ本田さんみたいな貧乳童顔萌えよりはまだましか」

「そ、そんな事より早く昼食にしよう!冷めるといけないしな…」


散らばった荷物を隅にやって窓辺に置かれた二人がけのテーブルにオムライスを並べる。


「ん、美味いな」

「ほんと?」

「いつもと作り方違うよな」

「うん、よくわかったね。今日は卵にバター使ってチキンライスの方も味付け変えてみたんだー」

「うん、すごく美味い」

「良かった」


素直に褒めてくれた事が嬉しくって満面の笑みで笑うと、驚いたような顔をしたアーサーが頬を赤く染めた。


「最近ギルが本田さん家に篭りっぱなしだったから誰かにちゃんとした料理食べてもらうのちょっと久しぶりかも」

「そ、そうか…。俺も出張中は一人だったしな。やっぱりどんなに良い物食べてもなんとなく味気なかったな…」

「変だよね。今年の最初…少なくともギルが来るまではアーサーとも毎日一緒に食事する事なんてなかったのにさ。今ではお互い一人じゃ寂しいって思ってるもんねー」

「まぁ、な…。そういう意味ではあいつに感謝するべきなのか…?いや、しかしあいつが居ないければ色々と進んで…」

「何ブツブツ言ってんの」

「な、なんでもねーよ!」


その後もご飯を食べながらアーサーの出張話を聞いていると、チャイムが鳴り「腹減ったー」と寝起きのギルが玄関を叩いた。
アーサーのお土産の白い○人を一箱食べきったギルは「うめぇええええ!!」と感動していた。
お菓子でお腹いっぱいにするなんて…太らないのが本当に憎い。

明日はギルとでかける日、か。
いったいどこに行くつもりなんだろう。
ま、明日の楽しみって事にしておこうかな。


.


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -