「あーもう、最悪や!!カークランドのせいでトマトちゃんボロボロになってしもたわー」

「こっちだって海賊の帽子がボロボロになったじゃねーか。ったく…」

「ヴぇー名前だぁ〜!!うわー、うわー!!その衣装すっごく可愛いね!!」

「ブォナセーラ…。今日は一段と輝いて見えるぜ…」

「ロヴィーノ君もかっこいいよー。っていうかフェリ君、その衣装は…」

「兄ちゃんのとセットで買ったんだけどちょっときつくてさぁー」

「な、ナース…ピンクのナース…」

「俺は止めたぞ。止めたけど、きかなかったんだ…」


後に立っていた警官姿のルート君が片手で目を覆って下を向いた。
あぁ、今日も苦労してるんだね…。


「ドーブリヴェーチェル。皆盛り上がってるみたいだねー」

「イヴァン!うわっ、フランケンシュタイン…似合ってるなぁイヴァン…」

「君もすっごく可愛いよ。ねぇ、このまま家に連れて帰ってもいい?」

「HAHAHA!まったく君のジョークは面白いな!」

「ふふふ、君のその格好ほど面白くはないよー」

「褒め言葉をありがとうイヴァン!!」

「どういたしまして、アルフレッド君」


間に挟まれて胃が痛くなりそうです…。
空気を読んだスーさんが私を背中に隠してくれてなんとか二人から逃げ出す事ができた。
やっぱり頼りになるなぁスーさんは…!!

それにしてもギルと本田さん遅いなぁ…。
何やってるんだろ。


「そうだ!!フェリ君ロヴィ君。私この間二人に絵プレゼントしてもらったでしょ?何かお礼したいんだけど何がいいかなぁ?」

「じゃあ俺とデートしろよ」

「デートって…おいおい、さっきナンパしてたバニー姿のお姉さんはどうしたのロヴィーノ君」

「それはそれ、これはこれ」

「ヴェー…兄ちゃんは浮気性だから気をつけたほうがいいよ、名前」

「んだとフェリシアーノ!!」

「こらこら喧嘩しない」


っていうかフェリ君、暴れると色々ダメだから。
ナースの衣装のスカート短いから色々危ないから。


「俺はねー、ハグしてキスして欲しいなぁ〜!!」

「そ、それはちょっと…なんていうか、そういう文化って慣れないといいますか…」

「大丈夫だよー!ぎゅっとしてチュってするだけだから!!」

「まぁいいか。ほらおいでー」

「わーい!!ハグハグー!!」


両手を広げると前からギューっと抱きついてくるフェリ君の背中をポンポンと叩く。
キス、は頬っぺたでいいのかな。
うわぁああ…!!いくら頬でも耐え難いものがあるよ…!!
それに皆の視線が痛い。ここは空気を読んで目反らすべきじゃないのかなぁ…。


「それじゃあキスは頬に…」

「ううん、そこじゃなくて」

「…え」

「ここ、でしょ?」


人差し指を自分の唇に当ててにまりと微笑むフェリ君に、一瞬思考が停止した。


「調子に乗るなフェリシアーノォオオ!!」

「ひぃいいい!!ごめんルートォオオ!!」

「テメェ調子に乗ってんじゃねーよゴルァアア!!今晩お前の枕元に牛乳拭いた雑巾置いてやるからな!!」

「やめてよ兄ちゃんー!!」


あれ…なんかさっきのフェリ君…一瞬だけど違う人に見えたような…。


「ワオ。意外な人物の意外な一面だなぁ」

「ああいうタイプが一番怖いよねー」

「いや、お前に言われたくないと思うぞ」

「フェリは天然だからなぁ…」

「ロヴィに雑巾なんか枕元に置かれて大丈夫やろかフェリちゃん…」

「いや、お前ここは空気読めよ」


その後は何もなかったかのように皆でパーティーを楽しんだ。
それにしても、遅すぎるよギル。
本田さんの原稿てこずってるのかなぁ…


「すみません、遅れまして!!」

「あ、本田さ…って何ぃいいいい!?」

「本田菊、只今着艦いたしました!!」

「が、ガン●ムの衣装…?」

「あぁ、これはア●ロ・レイの衣装ですよ。似合いますか?」

「似合いますけど…。本気でコスプレしやがったこの爺…」

「名前さんもお似合いですよ。このまま連れて帰りたい気持ちでいっぱいです」

「さっきも言われました、その台詞」

「なんと!!」

「それよりギルは?」

「あぁ、居られますよ。なにやら恥ずかしいと店の外でウロウロされておられますが…」

「ちょっと行ってきますね!」


何やってんだろ、ギルは…。

急ぎ足でお店の外へ出るともこもことした毛の衣装に身を包んだギルがウロウロと辺りを行ったり着たりの繰り返しをしていた。


「ギル…」

「うわっ!?なんだよお前か…って、おまっ、その衣装…」

「ぎ、ギル…その服…狼男…かっ、かわいぃいいいい!!!」

「うおおおおおおおお!?」


狼の着ぐるみに身を包んだギル。
あぁ、やっぱりこれにして良かった!!
ピンと尖った耳にふわふわの尻尾!!もこもこの毛最高だよギルぅうう!!
そのもこもこに顔を埋めてぎゅっと飛びつくと「うおおおおお!!」と戸惑った様子であたふたとするギルがやけに可愛く見えた。


「なっ、ちょっ…うあああ…!!」

「あー!!何してんねんギルゥウウウ!!」

「NOOOO!!なに外でイチャイチャしてるんだいずるいぞ君達!!!」

「ふふふ。ギルベルト君、ちょっとお店の裏に来てくれないかな」

「男に簡単に抱きつぐんじゃね…」

「おいプー太郎…テメェ何してやがんだ、えぇ?その首取って海に放り投げてやろうか…」


剣を抜いてにやりと笑うアーサーにボロボロになったトマトの着ぐるみを着て指を鳴らすトニーさん。
よくわかんないけどギルのもこもこも堪能したし私は退散するとするか。


「この衣装寒っ。皆も風邪ひかない程度にして中に戻って来るんだよー」

「大丈夫、一瞬で終わる」

「ちょっ、俺様を置いていくなよ!?待てコラァアアア!!!」

「HAHAHA!ギルベルト、トリックオアトリートなんだぞ!!」

「お菓子なんて持ってねーっつの!!」

「それじゃあやる事は決まってんなぁ…」

「うぎゃぁああああ!!!」


こんなに楽しいハロウィーンって初めてだなぁ。
今までこういった行事に参加した事なかったけど、これからも皆でわいわい騒げたらいいよね。
さーて、中でゆっくり皆とお喋りでもするとするか!!


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