「明日はもうハロウィーンかぁ…」

「明後日からは11月だもんなぁ…」

「去年も同じような事言ってたよね私達。それにしてもこの歳になると月日がたつのが早くていけないや…」

「だな」


今日はギルが居ないという事で久しぶりにアーサーの部屋でご飯を食べる事にした。
甘くて美味しいワインを飲ませてもらい、ほろ酔い気分で昔話と呼ぶには日が浅すぎる会話に花を咲かせていた。


「えー私アーサーの第一印象最悪だったんですけど。なんか偉そうだし無愛想だし」

「あ、あの時はだな…たまたま機嫌が悪かったんだよ!!」

「そうかなぁ…。最初は私の事鬱陶しいとか思ってたでしょアーサー」

「いや、そんな事は…」

「でもまぁこうやってお隣さん同士仲良くできるのはいい事だよね。お互い助け合えるし」

「あぁ。ん、そういえば去年の今頃二人でドライブついでに紅葉見に行ったよな」

「行った行った!アーサーが車酔いして車を停めた所がたまたま紅葉が綺麗な場所だったんだよね」

「よ、余計な事まで覚えてんじゃねーよバカァ!!」


うんうん、色々あったよねぇ。
「くそー」と涙目になりながら三杯目のワインを注ぐアーサー。
おいおい、ちょっと飲みすぎじゃないのかね君は…。


「だいたいなぁ!!お前はいつもいつもガードが緩すぎんだよ!!頑固なくせに場の流れに任せるタイプで来る者拒まず!!男もホイホイ家に上げやがってこのバカああ!!」

「いひゃいいひゃい!頬ひっひゃるな!」

「ふわふわしやがって!頬っぺた食べるぞゴルァアア!!」

「意味分かんないからね!?」


私の両頬を引っ張るアーサー。
ちょっとこの子酔い始めちゃってるよー…。
しょうがないなぁ…


「こらアーサー。それ以上飲んだら収拾つかなくなるからやめなさい」

「いいだろ明日休みなんだし…それよりお前ももっと飲めよ…」

「もういいよ!私まで酔っちゃうじゃんか」

「いいから、飲め」

「ちょっ、マジでやめろ酔っ払いぃいいい!!うわっ…!!」


顎を掴まれ無理矢理ワインを飲まされる。
ちょっ、無理矢理流し込んだら息できないからぁああ!!


「ふっ、ゲホッ…なにすんだこの眉毛ぇえええ!!」

「美味いだろ?今日お前と一緒に飲みたくて良いワイン買ってきたんだからな」

「うええ胸焼けする…もう最悪…明日二日酔いしたらどーすんの」

「いいだろ…プー太郎の居ない時ぐらい俺の好きにさせてくれても」

「いつも好き勝手やってるじゃんか」

「やってるように見えるのか?」


持っていたグラスをテーブルの上に置いてじっと私を見つめるアーサー。
うああ、ダメだ…さっきのワインで頭ぐらぐらしてきた…。


「俺が本当にしたい事、お前は一つも分かってねーよ…」

「何、家族旅行?まぁアルフレッド君は嫌がるかもしれないけど場所によっちゃあノリノリでついてきてくれると思うよ」

「そんなんじゃねーよ」


鼻先をムギュっとつままれて額に触れるか触れないかのキスを落とした。
酔っ払いめ…

そのまま酔った勢いで甘えるように擦り寄ってくるアーサーをベッドまで連れて行って無理矢理寝かせる事にした。
私も自分の家に戻ってフラフラとした足取りでソファーに寝転び、そのまま眠りに落ちてしまった。

ギルは今日も帰りが遅いみたいだな…
チェッ…寂しいじゃないか…


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