「んー!!トニーさんの料理久しぶり…!!やっぱり美味しいなぁ〜」

「喜んでもらえて良かったわ。急に時間が空いてもて家に帰るんも時間的に中途半端やったからこっち来てしまってごめんなぁ〜」

「ううん、トニーさんならいつでも大歓迎だよ!少しの間だけだったけどトニーさんもここで一緒に住んでたんだもんねー。キッチンの使い勝手もよく分かってくれてるし」

「なんや懐かしいなぁ。夢のようなひと時やったわぁ…。毎日疲れて帰ってきたら名前ちゃんがおかえりー言ってくれてほんま幸せやってんで、俺!」

「と、トニーさん…」

「名前ちゃん…!!!」


しーん


「…やっぱりツッコミ役が居ないと寂しいね」

「そやなぁ」


ギルからの「アホだろお前ら」と呆れたようなツッコミが入ら無いその理由…
なんだか本田さんのお手伝いか何かで晩ご飯も食べずに出かけちゃったんだよね。
アーサーも帰りが遅いというので今晩はトニーさんと二人で夕食です。
偶然遊びに来てくれて良かった〜!じゃなかったら私一人で夕飯食べてたところだよ…


「せやけど名前ちゃんと二人っきりなんて嬉しいわぁ〜。いっつもギルとか眉毛に邪魔されるさかいゆっくり話しもできんからなぁ」

「いつも皆でわいわいやってるもんねー。そうだ、この間ロヴィーノ君たちにもらった絵寝室に飾ったんだー。本当に素敵な絵だから毎日見入っちゃうよ」

「あの二人の才能ほんまもんやさかいなぁ!でもまさかロヴィとフェリちゃんが名前ちゃんの為に絵描いてたなんて…。してやられてしもたな」

「私もビックリしたよ。二人に何かお礼しなきゃなぁ…。何がいいと思う?」

「んー、俺やったら名前ちゃんがくれるもんならなんでも嬉しいで!」

「マジですか。なら…そろそろ寒くなってくる季節だしマフラーでも編んでみようかな。前にイヴァンにプレゼントする為に編んだんだけどけっこう簡単だったし」

「な、なんやてぇえええ!?名前ちゃんの手編みのマフラー…そんなんあかんて!!そういうもんはクリスマスとかバレンタインの一大イベントでプレゼントするもんやで!!軽々と編んだらいかんよ名前ちゃん!!」

「トニーさんって思考が乙女だよね」

「うん、俺少女漫画とかも好きやねーん」


マフラーいいと思うんだけどなぁ。
あ、でも二人ってオシャレでかっこいいから私なんかが編んだマフラーなんてあげたら迷惑だよなぁ…。


「あ、そうだトニーさん!ケーキがあるんだけど一緒に食べない?ギルには内緒ね」

「おおお!ええなぁケーキ!甘い物食べたら幸せになるわ〜」

「だよねだよね!」


今日買ってきたケーキの箱を開いて二人で中を覗くけばキラキラと輝くケーキ達に自然と頬が緩んだ。


「美味しいー!」

「めっちゃおいしいなぁ〜。名前ちゃんと一緒に食べたら甘さ三倍やで!」

「何それー。でも幸せだよね、こういうの」

「せやんなぁ。ギルはいっつもこうやって名前ちゃんと一緒におられるんやな…あかん、あいつめっちゃ羨ましすぎる…」


一瞬声のトーンが低くなるトニーさんの顔を覗いて「大丈夫?」と尋ねるといつもの笑顔で「大丈夫やでー」と返された。


「ん、そろそろバイトの時間やな。あーもう、このままずっとここにおりたいわぁ」

「またいつでも遊びに来れるじゃん」

「せやけど名前ちゃんと二人っきりとかこんなチャンスあらへんよ…」

「んー、なんかギル今日からしばらく本田さんのお手伝いするらしくて今日みたいに居ない日があるみたいだよ」

「そうなん!?そんじゃまたギルおらん時見計らって遊びに来てもええかなぁ?」

「うん!いつでも大歓迎」

「おおきにな、名前ちゃん」


嬉しそうに頬を赤く染めるトニーさんと玄関まで見送る。
トニーさんあんなに嬉しそうな顔しちゃって…ギルが居ない時に来るとかちょっとギルが不憫だよ…。

そういえばギルのやつ帰りが遅いなぁ…
本田さんの手伝いとか言ってたけど何か企んでいるような気がするんだよね…。
明日にでも様子見に行ってみようかな。


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