「うっわぁ〜!盛り上がってるなぁ…」


今日はアルフレッド君達の通う大学の学園祭という事でおなじみメンバーを引き連れて大学までやってきました。


「うひゃー。広い学校やなぁー。お店もいっぱい出てるわぁー」

「おい名前焼き蕎ソバたべてぇ焼きソバ」

「後でねー。アルフレッド君達の映画見てからね」

「ん〜。可愛い女の子が多いなぁ…お兄さんわくわくしちゃう」

「私も今日は張り切って行きたいとおもいます。あぁ、アーサーさんカメラの用意はまだ早いですよ」

「え!?そ、そうなのか」

「どんだけわくわくしちゃってんのお前…」

「う、うるせーよ髭!!」


キーキーと騒ぐ連中を引き連れて学園内をぶらぶらと歩き回る。
うわー、流石に大きい大学だけあってすごいなぁ…。
一般のお客さんも多いし…。


「うおおお!!あんな所にラ●カ・リーが!!!」

「え、マジで!?お兄さんシ●リルの方が好みだよハァハァ」

「すみませーん写真一枚撮らせていただいてもよろしいでしょうか!?」

「なんだ、大学の学園祭ってコスプレ会場みたいなもんだな」

「違うよ。断じて違うからね!?」


こういうのオープンにしてる学校もあるんだなぁ…。


「ほらそこのオタク達、写真もあとにして。早くしないと上映始まっちゃうから」

「いい席で見なきゃなんねーんだから早くしろよな」


アーサー張り切ってるなぁ…。
それもそうか、弟達二人が頑張って作った映画だもんねぇ。
私もすっごく楽しみだ。

皆でぞろぞろと講堂のような場所に入り席に着く。
中も広いなぁ…。


「お、あれアルフレッドじゃね?」

「あ、本当だ。色々準備してるみたいだね。頑張ってるなぁ…」

「アルフレッド…小さい頃は一人じゃ何もできなかったアルが…グスッ」

「お前ってそんなキャラやっけ?」

「放っておけトニー。こいつは昔からこうだ」

「お気持ち分かりますよアーサーさん。私もあんなに小さかった名前さんがこんなに大きく育ってくれるだなんて…」

「私の小さい頃知らないだろうがクソジジイ」


煩い連中を無視してあらかじめアルフレッド君から受け取っていたパンフレットを開く。
いったいどんな映画上映するのかなぁ…たしかアクションとかラブストーリーとか言ってたような…。

しばらくするとスクリーンの前にサークルの一員らしき人が軽い映画の説明を行い、部屋の電気が消され辺りが真っ暗になった。


「いよいよだな…。な、なんか緊張する…」

「アーサーが緊張してどうすんの…」


隣で膝の上で拳をギュッと握っているアーサー。
本当に心配性なんだからなぁ…。

映画が上映され会場はしんと静まり返る。


はっきり言って、この映画…うん、なんていうか…
ヒーローが出てきてマフィアが出てきて尚且つラブストーリー謎解きアクション。

はっきり言って、カオスである。

上映が終わり観客全員が黙り込んだままの中、隣の眉毛紳士だけが椅子から立ち上がり「ブラボー!!」と大きく拍手を送っていた。



「やあ皆!!どうだった?俺の初監督映画は!!」

「…あー…えっと…」

「素晴らしかったですよアルフレッドさん。あんな混純された設定を最後に丸くおさめられるあたりがなんとも素晴らしいです」

「本田、お前どんだけ八つ橋包むの上手いんだよ!?」

「いやー流石菊!!君ならあの映画の素晴らしさを分かってくれると思ってたよ!!他の仲間達には猛反対されちゃってさー。だから後一本映画作ってるのさ!!それは明日上映する予定だから明日も見に来てくれよ!!」

「しょ、しょうがねーから見に来てやるよ…。べ、別にお前の為なんかじゃないんだからな!!」

「別にアーサーは来なくて良いよ」

「え…」

「アルフレッド君!!」

「何怒ってるんだい?そうだ名前、今日は忙しくって一緒に廻ったりできないんだけど明日は暇だから色々案内してあげるよ!!勿論明日も来てくれるんだろう?」


なんかもう今日だけで充分なのですが…。
だけど断れないもんなぁ…。


「うん、明日も見に来るね!」

「サンキュー名前!愛してるんだぞ!それじゃあバイ!」


私の頬にチュッとキスを落として颯爽と走って行ったアルフレッド君に小さく手を振る。
嵐が去ったような気分だよ…。


「ちょっ、名前ちゃんこっち向いて」

「え、なにトニーさん」

「あのガキ名前ちゃんの可愛いほっぺにチューしおってからに…。消毒消毒…」

「ちょっ、トニーさんちょっと痛いよ…」


服の袖でごしごしと頬を拭うトニーさん。
なんか目が怖いのですが…。


「ん、綺麗になった。別嬪さんやわ〜!」

「恥ずかしいからそういう事大きい声で言わないでぇえええ!!」

「どこが別嬪なんだか…」

「それでは皆さん、学園祭を楽しませていただきましょうか」

「焼きソバ食おうぜ焼きソバ!!」

「たこ焼きないんかなぁたこ焼き〜」

「お前フェリシアーノやロヴィーノの絵の展示があるとか言ってなかったっけ?」

「あぁ、なんや明日みたいな事言ってたわー。今日は色々忙しいんやて」

「フェリ君もロヴィ君も大変だなぁ。ルート君も一緒かな」

「ま、そのうち会えんだろ。ぶらぶら歩いてみようぜ」

「そうだね」


その後は皆でお店を見てまわり、コスプレをしている人たちの写真を撮ったりと皆は楽しんでいる様子だった。
パンフレットには色々イベント行事みたいな事書いてあったけど…全部明日行う予定なのかな。
なんだか有名な芸能人だか歌手も来るみたいだし明日はもの凄い事になりそうな気がするなぁ。
アルフレッド君に振り回されなければいいけど…それは無駄な願いだよね…アハハ…。


「あ、ヘラクレスさん!」

「ん…?名前…」

「お久しぶりですね〜!こんな場所で何してるんですか?」

「暇だったから…ここだと日当たりがいいから…昼寝?」

「せっかくの学園祭なんだからヘラクレスさんも楽しんだらどうですかー?」

「俺はいいから。皆が楽しそうな姿見てるだけで…うん」

「ヘラさんらしいなぁ」


ベンチに座って空を眺めているヘラさんを見てクスクスと笑うと、不思議そうに?マークを浮かべ「名前は…よく笑うから好きだ…」と微笑まれた。
直球だなぁ…。

この日は夕方まで学園祭を堪能し、帰りに皆でアンダンテに寄ってエリザとローデリヒさんにアルフレッド君の作った映画の感想を伝えた。
二人も明日の休憩の時間に学園祭を見に来るって言ってくれからきっとアルフレッド君喜ぶだろうなぁ…。

いつの間にかアルフレッド君の様子をカメラにおさめていたらしいアーサーはデジカメの画面を覗いてニヨニヨと頬を緩ませていた。
そろそろ誰か止めた方が良いんじゃないかなこのツンデレブラコン。



.


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -