「ねぇねぇ名前。知ってた?今度の26日ね、ローデリヒさんの誕生日なのよ。それで何かプレゼントをしようかと思うんだけど…」

「えー!?そうだったの!?知らなかったよ私…」

「なんだか盛大にするよりこっそりプレゼントをする方が喜んでくれるかなぁなんて思ってね…。ねぇ名前、ローデリヒさんに何をプレゼントすればいいと思う?」

「うーん…そうだなぁ…」


ローデリヒさんにプレゼント…
何をあげたら喜ぶんだろう。
ピアノ、は無理があるよね、うん。
それ以外にローデリヒさんが喜んでくれそうなものって…。
エリザがプレゼントすればなんでも喜んでくれると思うんだけどなぁ…。


「なんでも喜んでくれると思うよ、ローデさんなら。エリザが貰って嬉しい物をあげればいいんじゃない?」

「私が貰って嬉しい物はローデリヒさんなんだけど」

「エリザ、自重しようか」

「うふふ、ごめんなさい。私がもらって嬉しいもの…そうね、何か少し考えてみるわ」


私もローデさんへのプレゼント選んでおかなきゃなぁ…。
明日と明後日はアルフレッド君の学園祭だから会に行けないし…
しょうがない、仕事帰りにでも買いに行こう。


―――




「ねぇギル、ギルならプレゼントを貰うなら何が一番嬉しい?」

「あー?ゲームと漫画とビール樽だな」

「夢のないやつめ。プー太郎丸出しじゃねーかお前」

「うっせー!じゃあお前なら何がいいんだよ?」

「私?そうだなぁ…うーん…旅行券とかマッサージ機?」

「お前の方が夢ねーだろ!?」


読んでいた漫画から顔を上げたギル。
「うるせー」と鼻の頭を摘んでやれば篭った声で「なにふんらよアホ」と頭を叩かれた。
地味に痛いな。


「それ以外だと…そうだなぁ、可愛い弟とか?あ、でもルート君が居るからいいかなー」

「俺の弟奪ってんじゃねーよ!?」

「だってルート君かっこいいし優しいし。うちに来てくれないかなぁルート君…。ギル共々面倒見てあげるのにお姉さん」

「やめろ!!人の弟に手ぇ出してんじゃねーよ!!」

「そういえば昨日スーパーでルート君とローデさんが夫婦みたいな喧嘩を繰り広げてたよ」

「…ルートヴィッヒ…兄はお前の行く先が心配だぜ…」


遠い目をするギルの頭にピヨちゃんが降り立ち心配そうに顔を覗いた。
かわいいなぁ。
ピヨちゃんを私の手の平に乗せて指先で頭を撫でると「俺のピヨちゃんとるなよ」と手を伸ばされる。


「何すんのー。ピヨちゃんと遊んでんだから邪魔すんな馬鹿」

「俺のピヨちゃんだぞ!?」

「いいじゃん別に。ねーピヨちゃん」

「ピィ」

「こんにゃろー!!お前なんてこうしてやるぜ!!」

「ぎゃぁあ!!ちょっ、くすぐったいから!!ひぎゃぁあああ!!」

「確か脇腹弱かったよなぁ〜お前」

「ちょっ、ダメ、本当にそこはダメだからぁあああ!!うぎゃぁあああ!!」

「もっと色気のある声出ねーのかよ…」

「出るか!!」


私の背中にもたれ掛かったギルが脇腹に手を伸ばしくすぐってきた。
ピヨちゃんは私の手の平からどこかへ跳んで行ってしまったにも関わらず背中に体重をかけたままのギルはもぞもぞと手を動かしてくる。


「やめい。疲れるだろうが」

「チッ…」

「あーもう、明日アルフレッド君の学園祭なんだから無駄な体力は使わないでおこうと思ったのに…」

「絶対疲れるもんなー明日は」

「だよねー…いったいどんな学園祭なんだろう」

「カオスだぜカオス」

「だろうね。アーサーなんて今から楽しみすぎて明日の為にもう寝てるんだよ」

「小学生かよ!?」


明日はきっとすごい事になるんだろうなぁ…。
アルフレッド君とマシュー君達の作った映画、どんなものになってるんだろう…

あんな大きい大学だしすごいものには違いないよね…。
それなりの覚悟をして参加しなきゃね…!


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