「エリザさんから聞きましたよ名前さん!!アンダンテでコスプレパーティー!!」

「違います本田さん。仮装パーティーです」

「ハロウィーンが何の為にあるか知っていますか…?コスプレをする為です」

「いえ、収穫を祝うお祭りです本田さん」

「というわけでいくつか名前さんの為に衣装を持ってきたのですが…」

「帰れぇええええ!!!!」


両手一杯の紙袋から出てくるメイドやナースの衣装たち。
このジジイは何かハロウィンというものを勘違いしてないか…!?


「おぉ、ナースいいよなナース。男のロマンだぜ」

「白衣の天使ですもんねぇ。ニーハイと合わせるとぐっときますよ」

「お、いいなそれ」

「俺はメイドがいいと思うぞ、うん」

「猫耳も用意してあります」


本田さんとギルとアーサーが寄ってたかってリビングに衣装を広げ始める。
マジでこいつら殴ってもいいよね。


「そんなに好きなら自分で着ればいいじゃないですか」

「はぁ?こんなの着ていい男なんてのはフェリちゃんぐらいだぜ!!」

「いやダメだろ!?」

「あ、名前さんこれなんてどうですか?ミニスカポリス」

「おぉ!!」

「これなんてアルフレッドが喜びそうだよな…」

「チアガールですか。彼好きですもんねぇ、ボインの金髪チアガール」

「じゃあなんで実際こんな女に惚れてんだよ。真逆じゃねーか」

「バーニーガール…いいよな…」

「アーサーさんお目が高いですね」


男達の妄想が広がる中、本田さんが連れてきたポチ君と肩に乗ったピヨちゃんを連れて自室に篭った。
一生やってればいいよ、三人で。


「なんでああなのかなぁ男ってやつは…。あ、ぽちくんとピヨちゃんも男の子だったね」

「きゅん」


膝に乗せたぽちくんの頭を撫でると尻尾を振って目を閉じた。
あー、癒される…!


「おい名前。本田からケーキもらったぜ」

「あ、ギル。もう終わったの?」

「あぁ。お前が着るもんだって事をすっかり忘れてはしゃいじゃったぜ。せめてエリザの衣装を選ぶとかだったらやる気もあったんだけどな…」

「どういう意味だテメェ。っていうか衣装は今度エリザが選んでくれることになってるからいいんだよ。それよりギルの衣装をどうするか考えないと」

「適当ていいんじゃねぇ?」

「それじゃあ適当に買ってくるよ。狼男とか似合いそうだなぁ…」

「狼…?」


ぽーっと視線を外して何かを想像している様子のギルはにまにまと厭らしい笑顔を浮かべてから「って何考えてんだ俺!!」と自分の頬を叩いた。
楽しそうでなによりだよ。


「猫耳…やはり猫耳は外せない…」

「まだ悩んでんですか本田さん…。エリザが選んでくれるんだから本田さんの出る幕はないですよ」

「しかし猫耳は…!!猫耳は譲れませんよ私!!きっとエリザベータさんの事だから素敵な衣装を選んでくれるでしょうが…猫耳だけは…」

「どんだけ猫耳にこだわりがあるんですか本田さん」


その後もうだうだと自分の萌えについて語られたけど軽くスルーしておいた。
まぁ今回はケーキをお土産に持ってきてくれたことだし好きなだけ話させてあげようか。
ケーキを食べて幸せ一杯になっている私を見たギルがアーサーに「賭けは俺の勝ちだぜ?」と話していた。
賭けってなんの話だろう…。
どうせろくな事じゃないんだろうけどね。



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