「なんとパーティーですとな!!素敵な一夜をアーサーさんと……それ私も一緒に行っていいですか?」

「なに言ってんですか。というか素敵な一夜ってなに。いちいち発言が気に障るんですよ本田さんは」

「あぁ、気にしないでください。あとそこのベタ取ってもらえますか?」


“萌える下心”と書かれたスエット着た本田さんはニヨニヨと嬉しそうに笑った。


「本田先生〜このカップラーメン食っちゃっていいっすか?」

「ちょっ、それはダメですよ私のとっておきのぉおおおお!!!!」

「あ、すんませんもうお湯入れちゃってました。よし3分!」

「ああああっ!ちょ、おまっ、田吾作ぅうう!!!!」

「小笠原さんなにやってるの…っていうか田吾作って何」

「俺の下の名前っす。小笠原田吾作。あ、このコロッケもいただきます」

「ああああ名前さん手作りラブラブコロッケがぁあああ!!!!」

「美味い!」

「…」


なんだこの漫画家と担当。
この仕事に関わる人って皆こうなのかな。
あたしの持って来たコロッケをもしゃもしゃと食べた小笠原さんは「これめっちゃうまいっすねぇ。名前さんいい奥さんになりますよ」と親指を立てた。


「それじゃあ本田さん、原稿頑張ってくださいね。私そろそろ帰りますんで」

「ああ!!待ってください!!私に萌えを!!私に萌えをください名前さんっ!!取って置きのラーメンを食べられ名前さん手作りのコロッケまで食べられ…このままじゃ私原稿が書けないですよ!!」

「知りませんよそんなの!!本田さんの嫁とやらに萌をいただければいいじゃないですか」

「今はその余裕がないので三次元の嫁の名前さんにお願いしたい…おっと、口が滑った」

「誰が三次元の嫁ですか」

「名前さんお願いしますよ。明日の昼までに原稿持って帰らないと自分も仕事できないんです。明日は休みなんでさっさと原稿持って帰って夜はガールフレンドとデートしたいんで」

「え、小笠原さん彼女いるの?」

「はい、空想上の」

「誰かこの人たち病院に連れてってくれないかな」


結局その後しばらくの間「そこに居てくれるだけでいいですから」という本田さんの必死な願いで本田家に留まる事になった。
寝転びながらお笑い番組を見て爆笑している小笠原さんを他所に時折奇声をあげながら原稿を描いている本田さんの近くでじゃれ付くポチくんと遊んだ。
「萌え!!ワンコと遊ぶ名前さん萌え!!むしろ私を犬にしてださい!!」と目を血走らせる本田さんの頭をスリッパで叩くと「すみませんでした」と平手をついて謝られた。

家に帰る頃にはなかなか遅い時間になってしまい、帰りが遅いとギルに怒られてしまった。
なんで私がこんな目に合わなきゃなんないんだ…



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