「あら。アーサーさんの会社のパーティーに?」

「そうなんだよー。なんか最近お世話になってるから断れないし…。お偉いさん達が集まるパーティーで失敗したら嫌だなぁー…」

「だけど名前を相手に選ぶなんて…ふふふ」

「ちょっ、なんで楽しそうなのエリザ…」

「べつにー。うふふ」


によによと頬を緩ませるエリザ。
何考えてるのかなぁこの子は…


「そうね、パーティーのマナーだったら少し分かると思うけど教えようか?」

「ほんとに!?やったー!流石エリザ!!頼りになるよ〜!」

「じゃあまずポイント1ね。まずは挨拶。挨拶をする相手なんかはアーサーさんが教えてくれると思うから…名前はアーサーさんが相手に自分を紹介してくれた時に軽い自己紹介なんかをしなくちゃいけないわね」

「なるほど…」

「企業パーティーなんてものは顔見世みたいなものだからとにかく礼儀正しく話をしていればなんとかなると思うの。ポイント2は笑顔!女性は花ですもの!笑顔を絶やさないでね」

「はーい」

「ポイント3は目上の人ついてね。まぁアーサーさんが居れば大丈夫だと思うけど…中にはよからぬエロジジイがいる場合もあるからね。笑顔でかわすのが一番よ」

「なるほど…」


すごいなぁエリザは…!!
だけどどうしてこんなに詳しいんだろう。
うん、でもおかげで助かっちゃた!!
あとは派手すぎないパーティードレスを選んでおけば大丈夫だよね。
上手くできるかな…


「貴方はドジなのですから気を引き締めてなさい。行儀よく、おしとやかに」

「ローデさん。私なんかよりローデリヒさんが行った方が断然いいかもしれないですねー。私のドレス着ます?」

「お馬鹿!!サイズが合いませんよ!!」

「合ったら着るんですか!?」

「ローデさんのドレス…!!素敵…!!」

「今度うちにいらっしゃい。一からマナーというものを教え込んでさしあげます」

「嫌ですよ。ローデさんスパルタっぽいもん」

「ならルートヴィッヒにやらせましょう。彼の犬達はよく躾されていますからね。きっと教えるのも上手でしょうし」

「え、私犬と同じ扱い?」

「同じようなものですよ」

「オブラートって知ってますかローデリヒさん」



――――



「えーっと、笑顔でお上品に…。言葉遣いは大丈夫だよね…多分」

「なにぶつぶつ言ってんだよ」


本棚の奥に閉まってあったマナーについての本を読みながらエリザに教えてもらった事を復習していると、ギルが不思議そうに手元を覗いた。


「ほら、昨日話してたパーティーの。ちゃんとマナーだけは確認しておかないとね!」

「やけに気合入ってんな…」

「まぁね。アーサーに恩返しのつもりでやらなくっちゃ!」

「ふーん…」


ふーんってなんだよ。
興味があるのか、私の読んでいる本を横から覗いたギルはムスっとした顔で私の肩に顎を乗せた。


「重い。肩凝るだろーが」

「っていうかそのパーティーっていつだよ」

「今度の日曜」

「えらく急だな」

「だよねー。まぁアーサーにのことだからなかなか誘えずに戸惑ってたんだろうけど…」

「ケッ。めんどくせーやつ」

「いいじゃん。お礼に高級ホテルのディナー奢ってくれるって言ってたし!!楽しみだなー」

「はぁ!?なんだよそれ!?んな話聞いてねえ!!」

「煩いなぁ、耳元で叫ぶなよ」

「ディナーってなんだよ!?まさかお前、あいつと二人っきりで行くとか言わねーだろうな…!」

「じゃあ誰と行くって言うの。アーサーが奢ってくれんだからアーサーと行くに決まってんじゃん」


肩から頭を上げたギルは眉間に皺を寄せた。


「まぁ…今あいつには頭上がんねーからな…」

「だよね。いつもアーサーにお世話になってるから頑張ってお返しできるようにしないと!!」

「けどお前あれだからな、酒飲んで酔っ払うんじゃねーぞ!!」

「分かってるよ。ジュースしか飲まないジュースしか」

「絶対だからな。一滴も飲むんじゃねーぞ!!」

「分かってるって。アーサーも弱いから酔っ払っちゃわないように見てあげなきゃなんないしね」


よしと頷いたギルはまた私の肩の上に頭を乗せてゲームを再開した。
一応心配してくれてるんだよね…。
うん、私がちゃんとしっかりしてれば大丈夫なんだし…。
日曜までにしっかり勉強して頑張っちゃおう!!


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