駅前に可愛い雑貨屋さんができたと噂を聞いたので、早速仕事帰りに寄って見ることにした。
偶然電車の中でアーサーに出くわし、一緒に行く?と誘ってみると少しためらっていたが首を縦に振った。


「ほわぁ〜〜。ファンシー」

「だな…俺浮いてる」

「でもアーサーって実はこういうの好きだよね。趣味刺繍だし」

「う…。い、いいだろ別に…」


心なしかアーサーの目が輝いている。
連れてきてよかった〜


「あ、このマグカップ可愛い〜」

「ん、いいな」

「どうしよ。安いしギルとお揃いで買って帰ろうかな〜」

「お、おそろい!?うらやま…じゃなくてお前そんな事してあいつが嫌がるだろ!?」

「え、そうかな。男の子ってお揃いとか嫌い?」

「嫌いとかそういうのじゃなくて!!…い、いや嫌いだ!!嫌いだと思うぜ、俺は!!」

「そっか。ギルがダメならアーサーとお揃いにしようかと思ってたのに残念だな〜。アーサーよくご飯食べにくるしお揃いの食器用意しようと思ってたけど…。嫌いならしょうがないよねー」


マグカップを棚に戻していると隣で”ガーン”という効果音が聞こえてきた。
うん、気にしない。


「まじこの雑貨屋かわいいし〜。このエプロンとか俺に似合うとおもわん?」

「これ女物だよ…しかもフリル付いてるし!」

「でもかわいいしー。トーリスもお揃いで買わん?」

「えぇ〜?俺も?」

「嫌なん?」

「い、嫌じゃないけど…。ったくしょうがないなぁ〜」

「トーリスがこれつけとるとこ想像したらマジウケるし〜」

「もー!!!」


な、なんですかあの可愛い男の子二人は!!
てか男の子があんな可愛いエプロンを!?
いや、あの人たちなら充分似合うと思うけど…。むしろ女の私より絶対似合うと思う。
てかお揃いって…


「男同士もでお揃いってするんだね…」

「いや、普通じゃありえねーだろ…」

「うん、まぁ似合うならいいと思うけど」

「いいのかよ!?」


うん。似合うならいいと思う。
それにしても今の二人どこの国の人だろう?
最近私生活でも異国籍の人ばかりに囲まれてるから敏感になっちゃうなぁ。


「あ、やばい!!早く帰ってギルに料理教えないと!!」

「はぁ?あいつに料理教えんのかよ?」

「うん。まずは卵料理あたりからね〜」

「大丈夫かよ…。俺が一緒に指導してやろうか?」

「ううん。私まだ死にたくない」

「え…?」


できれば長生きがしたい。
そしてできる事なら一生アーサーの料理は食べないでいたい…!
ちょっと寂しそうに「そ、そうか…そんなに俺の料理は食べたくないか…」と俯くアーサーを見て心が揺れたが、ここで折れてはあの世行きだ。
ここは我慢、我慢…

さぁ、今夜はとことん訓練だ!!





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