なんだか最近、急激に日が沈むのが早くなってきた気がするなぁ。 前まで私が帰る時間はまだ空は夕焼け色だったのに今では真っ暗。 朝と夜は冷えるようになってきたし、そろそろ本格的な秋の到来だなぁなんて肌で感じてしまう。 もう慣れたとはいえ、やっぱり暗い道をひ一人で歩くのはちょっと怖いよねー。 駅から降りていつもの帰り道を歩いていると、後からコツコツと足音が聞えてきた。 なんとなく気味悪いなぁ…。 だんだん足音が近くなってきてる気がするし。 そういえば前にもこんな事があったような…。 あぁ、フランシスさんの時だ…。 とにかくこっちも早足でマンションまで帰ろう。 足を早く動かし、なんとかマンション近くまで来ると足音も聞えなくなった。 ふぅ…怖かった。 「た、ただいまー…」 「おぉー。おい名前、実家からなんか届いてんぞ」 「え。なんだろう」 玄関で靴を脱いでいると少しわくわくしているような表情を浮かべたギルベルトが私の背中の後ろに立った。 実家からって…お婆ちゃんからは何も連絡は入ってないけどなぁ。 なにを送ってくれたんだろう。 「早く開けようぜ!」 「はいはい、今行くよー」 部屋着に着替えてさっそく送られたダンボール箱を開けてみると、真っ赤に染まった丸まるとしたリンゴが敷き詰められていた。 「うわぁ!リンゴだー!」 「うまそう!!」 「あ、手紙入ってる。なになに…。”名前、ギルちゃんへ。元気にやってる?最近寒くなってきたからお腹出して寝るんじゃないよ〜。寒い時は二人で暖めあって寝るんだよ。これお婆ちゃんとのお約束。そうそう、今年は早くにリンゴが収穫できたから送るわね。本田さんやアーサー君達にもおすそ分けするんだよ〜。それじゃあ元気でね”…だって」 「暖めあえって…婆さん…」 「もう収穫の時期なんだねー。今年はちょっと早かったのかな。明日本田さんのとこに行ってリンゴ届けてきてくれる?」 「おぉ」 「あとはアーサーと何時もお世話になってるトニーさんとフランシスさんとー…アルフレッド君…は、アップルパイにしてあげた方が喜んでくれるよね。エリザとローデさんにもパイにして食べてもらおうかなぁ」 美味しくできたらスーさんやティノ君にも食べてもらおう。 ふふふ、頑張らなきゃなぁ。 「そういやお前、さっき帰ってきたばっかの時顔色悪かったんじゃねえ?」 「あー…うん。なんだか駅からの帰り道で後ろの方から足音が聞えてさぁ。曲がり角多いのに道順も一緒だったからちょっと怖くなっちゃってね。最近暗くなるの早くなってきたし余計に怖く思えちゃったのかなぁ」 なんとなく恥ずかしくて苦笑いを浮かべてる。 目を見開いたまま固まったギルは「あー…」と唸って私から視線を外した。 「…明日から、駅まで迎に行く」 「は…?い、いいよそんなの」 「いいから!!帰ってくる時は電話しろ!!分かったな!?」 「は…はい」 その気迫に負けてつい頷いてしまったけど…。 毎日迎にくるつもりなのかな…。 まぁギルが折角言ってくれたんだしお言葉に甘えようかな。 明日からは帰り道も怖がらなくてすむし。 その後も少し照れくさそうに「帰り道であんまり寄り道すんな」とぶつぶつ呟くように言うギルがなんとなく愛しく思えて頭を撫でてやると「真面目に聞いてんのかアホ!!」とおでこにデコピンされた。 地味に痛かったけど、色々と私の事を心配してくれてるみたいだし今回は何も言わないでこうかな。 . ←|→ |