「プーお箸使うの上手になったよね」

「ん?まぁ俺様は器用だからな。これぐらい簡単だぜ」

「最初は手ぇ震わせて落としてたのになぁ。ナイフとフォークでお味噌汁を飲んでた姿は可愛かったのにー」

「うっせぇ。俺に不可能なことはない!やろうと思えば何でもできるんだよ」


ふん、とえばった様に私を見下ろすギル。
ちくしょう、事実だから言い返せない。
最近のギルの成長っぷりには目覚ましいものがある。
掃除、洗濯などの家事は一通りこなせるようになった。
しかも、元からまめな性格らしく完璧にこなすのだ。可愛げがない…


「それじゃあそろそろ料理も覚えてもらわないとなぁ」

「それぐらい俺様の手にかかりゃあ朝飯前だぜ!!」

「調子に乗るな。ったく、料理できなくてここに来るまで何食べてたの?」

「あー、フランシスとかに作ってもらってたな」

「あの変態髭面さんに?へー料理できるんだ」

「あいつの料理の腕は天才的だぜ。なんてったってシェフやってた男だからな」


え…?シェフって、レストランとかの料理作るあのシェフ…?
あの変態が…?


「うっそだぁあああ!!!」

「ぶわっ!!机叩くなよスープがこぼれるだろ!!」

「あーごめんごめん。それであの変態がシェフやってたって嘘だよね!?」

「嘘みたいに見えてマジなんだよ。あそび人で一つの職につけねー奴だからすぐにやめたらしいけどな」

「なんて贅沢な…!!シェフにまでなってやめるなんてもったいないなぁ。じゃあ今は何してるの?」

「さぁな。ある時はホストだったりある時はウェイターだったり」

「かくしてその実態はキューティーなハニーだったりしないよね?」

「お前本田に借りてたDVD勝手に見たな!?キューティーハニーDVDBOX!!」

「本田さんがによによしながら何か貸してたからAVかと思ってたんだけど余計性質の悪いものだったよ」

「お前もあんなボインでセクシーだったらなぁ…」

「なんでその話になんだ吊るすぞテメェ」


なんでこいつはやたらと胸だのとしつこく言って来るんだろう。
そんなに胸がでかいのが好きなのか
そういえばエリザが「胸ばっかみてしつこく付きまとわれていた」って言ってたよなぁ…。
もしかして単に胸が好きなんじゃなくてエリザが好きだから大きい胸に反応しているんじゃないだろうか…


「ねぇギル」

「なんだよ」

「ギルってエリザの事好きなの?」

「はぁ?」

「だってエリザがギルがしつこくつきまとってくる〜とか言ってたし」

「まぁあいつの胸は俺好みだぜ」

「幼馴染なんだよね?いいなぁ〜初恋でずっと片思いしてたり?少女マンガみたい!」

「別にそんなんじゃねーよ…」

「にくいねこのこの〜!照れなくてもいいじゃん」


少し不機嫌そうな顔をしたギルは私から目を逸らした。


「とにかく俺はボインでセクシーな女が好きなんだ!!お前みたいなのとは正反対な奴!!」

「そんな事聞いてねーよ」

「あぁそうですかー。ペチャパイで寸胴で性格ひにくれてて悪かったですね〜」

「べ、別にそこまで言ってねーだろ…。まっまぁその通りだけどな!!!」


むかつくなぁ…。
もしかしてエリザが好きって事を知られたくないがための照れ隠しなんだろうか。
もしそうだとしたらちゃんと応援してあげるのになー。
エリザはローデリヒさんラブだし勝ち目は無いかもしれないけど。


「ギルも素直じゃないよね」

「はぁ!?」

「好きなら好きって言えばいいのに」

「ふぇ…!?」

「素直になりなよ。ちゃんと言わないと思いは伝わらないんだから」

「え…」


ギルの顔がみるみる赤くなってゆく。
図星か・・・
ほんと素直じゃないんだなぁこの子は


「今のエリザはローデリヒさんしか見えてないけど、ちゃんと思いを伝えれば振り向いてくれるかもよ!だから素直になるのが一番!ね?」

「へ・・・?あ…。う、うん…そうだね…」

「何変に素直っぽくなってんの」

「うるせーばか!」

「なんでいきなり馬鹿呼ばわり!?」


ほんとにわけの分からん奴だ。

その後ギルに何度かエリザについて話を振ってみたが無視された。
ますますわけが分からない。
とりあえず、なんとなくむかついたのでおもいっきりデコピンしてやった。

涙目になったギルを可愛いと思ってしまったのは言わないでおこう


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