「おい!!おいコラ!!さっさと起きろよバカァ!!」

「んー…何、煩いなー…」

「早く起きろって!!今日体育祭だろ!?もう出かけなきゃ間に合わねーよ!」


朝からキャンキャンと煩いアーサーの声に無理矢理目を覚まさせられた。
体育祭…?そうだ、今日はアイス君の体育祭を見に行く日で…


「って…」


アハハー…寝坊した。


「ひゃぁあああ!!ちょっ、やばっ!!ギルは!?」

「先に起きて今シャワー浴びてる。お前もさっさと用意しろよ!」

「やばいよアルフレッド君と駅で待ち合わせしてるのに!!着替えなきゃぁああ!!」

「ばばばばばかぁあああ!!俺がいるのに何着替えようとしてんだよ!?ちょっ、やめぇえええ!!」


アーサーが悲鳴をあげながら両手で顔を覆ったのを横目で確認して大急ぎで着替えをすませる。
というか嫌なら部屋から出て行けばいいんじゃないのかな、アーサー君。
顔を洗いに洗面所に駆け込むと、ちょうどお風呂場から出てきてタオルで前を隠しているギルと鉢合わせになった。
甲高い悲鳴をあげるギルを無視して顔を洗って歯磨きをし、髪型を整える。
なんとか準備をすませて急いで家を出た。
ギリギリ待ち合わせ時間に間に合ったのは良かったけど、急いだもんだから私もギルもアーサーもボロボロだ。


「ったく、これだから年寄りはダメなんだから。もっと時間に余裕を持ったらどうだい?」

「アハハー…殴ってもいい?」

「うん、ごめん。謝る。俺が悪かったよ」

「分かればよろしい。それじゃあアイス君の学校行こうか。デンさんとノルさんが待ってるはずだしね」

「あぁ!!レッツゴー!!」


私のボサボサになった髪をギルが手櫛で整えつつ四人でアイス君の高校へと向かった。
学校付近になるとなにやら賑やかな声と音楽、そして校門付近には出店の屋台まで出ていた。


「うわぁ…地域交流が盛んって言ってもこれは…体育祭に金魚救いの屋台って…」

「そうかい?毎年こんな感じだぞ」

「派手だなぁ…。おっと、デンさん達探さなきゃ!!」


ちゃんと見つけられるのかなぁ…。
広いし人多いし迷っちゃいそうだ。


「おぉー名前!!こっちだこっちー!!」

「あ、デンさん!おはようございます」

「おう!!名前弟も元気そうだっぺ!!」

「おう」

「えーっと、こっちのまゆ…眉毛がアーサーと言って私のお隣さんです」

「なんで今眉毛って言いかけてまた言いなおしたんだ…?」

「いや、うん。それでこっちの好青年がアーサーの弟のアルフレッド君です。ここの卒業生で今日は色々と張り切ってるみたいですよ」

「君が噂の名前の上司かい!!よろしくお願いしますなんだぞ!!」

「おう!!んまあっちでノルが待ってっから行くっぺ!!」

「はーい」


なんだか楽しそうだなーデンさん…。
なんというか、目がギラギラしてます。
人ごみに埋もれながらノルさんが待っている場所までようやくたどり着き腰を降ろすことができた。
アルフレッド君は先生に会いに行ってくるとどこかへ走っていってしまった。


「そろそろ始まりますね。アイス君の出る種目はこの4つですか…?」

「あぁ。昨日無理矢理聞きだしたべ」

「ノルさん…。アイス君が不憫だなぁ…」

「そんじゃアイスが出る競技まで時間あるし酒でも飲むっぺ!!」

「ちょっ、デンさぁあああん!?学校の行事にお酒はだめですよ何考えてんのあんた!!」

「んじゃこれは泡の出るジュースだっぺ!!」

「あきらかにビールだろオイ!!ああもう、先生側に注意されても知りませんからね…!!」

「おいデン、俺様にもよこせ!!」

「おぉー弟!!おめぇも飲め飲め!!そっちのおめぇもどんどん飲め!!」

「いいのか…?じゃあ俺も…」

「アーサー…?酔っ払ったら本気で他人のふりするからね」

「そ、そんなに簡単に酔わねーよバカァ!!」


簡単に酔わないようなやつなら注意なんてしないよ…。
まぁもしもの時は殴ってでも黙らせるしかないよね。
あーもう、早くアイス君の競技始まってくれないかなぁ…


「あいやー!!名前ー!!」

「あれ、王耀さん!!それに香君と湾ちゃんも」

「名前!!久しぶり〜!元気そうだねっ!!相変わらず可愛いなぁもう!!」

「うん、湾ちゃんの方が10割り増し可愛いけどね!!」

「名前…こいつらは名前呼びなのになんで我はフルネームあるか…いつになったら我の事をにーにって呼ぶあるか、お前は」

「呼びませんよ一生」

「じゃあフルネームはやめろある」

「王さん」

「しばくぞガキが」


王耀さん、もとい耀さんご一行さんもお弁当を抱えてすぐ隣のスペースへやってきた。
うわぁ、なんだか賑やかになりそうだなぁ…


「あ、デンさんノルさん。こちら亜細亜飯店の店長さんの王耀さんです」

「あぁあの美味ぇ店の!!」

「何度か会った事あったけども話すのは初めてだっぺ…」

「あいやーたまに来てくれる上客あるね!!またいつでも食べにくるよろし!!」

「あ、耀さん。これが私の…えーっと、ギルベルトです!!色々あって一緒に暮らしてます」

「あいやー!前に言ってたやつあるね」

「おぉ…こいつがあのいつも美味い中華料理作ってるやつか…!!」


ギルは亜細亜飯店の料理好きだもんねぇ…。
一通りの挨拶を交わし、耀さんも加えたメンバーで酒盛りを再開した男共に冷ややかな目線を送りつつ湾ちゃんと香君と楽しくお喋りに花を咲かせることにした。
なんだかこの一角だけお祭り騒ぎだよなぁ…。


「あ…あそこに居るのライヴィス君だ…!!」

「なに、知り合いの子?」

「うん。そっかー、ライヴィス君とエドァルト君もこの学校だもんね。もしかしたらイヴァンも来てるかもなぁー…」

「い、イヴァンですって…!?」


イヴァンと言う名前に反応して体を強張らせる湾ちゃんと香君。
そういえば前に亜細亜飯店でイヴァンに会った事があって、その時もなんとなく空気が重かったよねー…
何かあるのかなぁ。


「名前は、イヴァンさんと仲がいいの?」

「うん。友達なんだー」

「だ、だめだよ…騙されてるって!!」

「騙すって…私を騙して得することなんてないよー。それにイヴァンはとってもいい人だし」

「名前…人を簡単に信じるのはバットだから。もう少し疑ってほしい的な」


そう言われてもイヴァンはいい人だし優しいし仲も良いし…。
そんな悪い人とは思えないけどなぁ。
苦笑いを浮かべてライヴィス君が頑張って走っているのを小さく応援した。


「それにしてもアルフレッドのやつ遅くねぇか?」

「んー?そういえばそうだね。ちょっと私見に行ってくるよ」

「もうじきアイスの出番だから早く戻ってこ」

「はーい」


アルフレッド君どこで遊んでるんだか…。
まったく、世話のやける子だ。





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