「明日からシルバーウィークですね。名前さんは何かする予定とか入ってるんですか?」

「うーん、明日はアイス君の体育祭で…明後日は知り合いのプチ引越しパーティー。あとギルと一緒にどこかにでかけたいなぁなんて思ってるんだけど…」

「うわぁ!沢山予定入ってますね〜!!僕もスーさんと花たまごと一緒に遠出して緑の多い場所にでも行こうかなって思ってるんです。花たまごを広い草原で思いっきり走らせてあげたいなぁなんて…」

「家族サービスしてるねーティノ君!!」


えへへと照れ臭そうに笑うティノ君。
チラリとスーさんにも目線を送ってみるとティノ君と同じく嬉しそうに笑っていた。
皆連休前でわくわくしてるものだよね。
私もギルとどこに行こうかな…
ハイキング…?うーん、ギルはどんな場所が喜ぶんだろう。
ギルが喜びそうな場所…芋畑…?


「おめぇら、その前に仕事やっちまわねーと休みもねぇっぺ?」

「そういうデンさんは今度の会議の書類、ちゃんと目ぇ通してくれたんですか?」

「ん?あぁ、あれな。ノルに任せた」

「仕事しましょうよマジで」

「いや俺明日体育祭出るしな。体力温存?」

「なんでクビにならないのかなこの人」



―――



「あいやー!!名前じゃねえあるか!!」

「王耀さん!なんか久しぶりですねー。お出かけですか?」

「今帰ってきたあるよ。明日はヨンスの野郎の体育祭とかで弁当作って持って行ってやんねーといけねぇある。今から香と一緒に作るあるよ」

「え、王耀さんが作るんですか?」

「あぁ。まぁ我はにーにあるからな!!弟の為に一肌脱ぐあるよ!」


会社の最寄駅でばったり出会った王耀さん。
そっか、明日は王耀さんも体育祭の応援に来るんだよね。
お店の方は大丈夫なのかなぁ…。
私も家に帰ってお弁当の準備しなきゃね…!!
早々と王耀さんとお別れし、急ぎ足で家に帰って早速明日の弁当の支度に取り掛かった。
ギルにも少し手伝ってもらって…。本当は前みたいに本田さんに手伝ってもらいたいんだけど生憎本田さんは締め切り前で手がはなせないとの事。
明日もどうにかして来られるように頑張ってたみたいだけど結局仕事が追いつかず泣く泣く諦めたようだ。
本田さんの魂の乗り移った一眼レフカメラだけが明日の撮影の為に私の家にある状況…。
って、これ誰が撮るの…?


「ピヨッ」

「あああ!!ダメピヨちゃんこっち来ちゃあ!!本当にから揚げになっちゃうよ?」

「てめぇええええ!!ピヨちゃんになんて事言ってんだよ!?言っていい冗談と悪い冗談があんだろ!?この小鳥苛め!!」

「いや、冗談じゃなくて本当に。今から揚げ揚げてるところだから近づいたら油に落ちちゃったら本当に…」

「ピヨちゃん。お前少しの間外行けな」

「うん、その方がいいよ」


ピヨちゃんが外に行くのを確認してまたお弁当の準備を再開する。
出来上がったお弁当の中身は前回と似たようなものだけど、本田さんの助け無しにここまでできれば上出来じゃないのかな…!!
ギルも色々と頑張ってくれて、お弁当が完成した頃には疲れ果ててソファーでぐったり横たわっていた。


「お疲れ様、ギル」

「おぉー…」

「よく頑張ってくれたねー。いい子いい子」

「んー…」


仰向けになって寝転んでいるギルの前髪を撫でると、気だるそうに私の手首を掴んで頬に当てた。
反対の手で頭を撫でてあげると安心したのかすやすやと規則正しい寝息をたてて眠りに落ちた。
晩ご飯食べ損ねちゃったね…
今晩もアーサーは遅いって言ってたし私も夕食食べないでお風呂入って寝ちゃおう。
明日は色々と大変だろうからゆっくり休んでおかないとなぁ…
なんて言ったってデンさんとアルフレッド君というハイテンションな二人が一緒なんだから私が振り回されることは目に見えている。
だけどアイス君の頑張ってる姿見たいもんね…!
お弁当も上手くできたと思うし、明日が楽しみだ。





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