「さむっ!!なんだか最近急に寒くなってきたよね…」

「俺夜とかけっこうさみーんだけど」

「リビングは冷えるからねー。毛布出しておこうか」

「おぉー。あと長袖の服とかどこしまったっけ?」

「私の部屋のクローゼットかな。適当に引っ張り出してきていいよー。私は夕食の準備すっから」

「おう」


エプロンをつけてキッチンに立った名前が鼻歌混じりに夕食の準備を始める。
っとに最近冷え込むようになってきやがったぜ…。
昼間はそうでもねーけど朝とか夜は寒いしな。
ふわふわな毛皮に包まれたピヨちゃんが羨ましいぜ!!
さーて、名前の部屋行って服引っ張り出してくるか。


「えーっと、俺様の服はー…」


っていうかあいつちゃんと片付けてんのか?
クローゼットの中散乱してるぜ…。
几帳面なんだか大雑把なんだかよくわかんねぇなあいつ。


「ん…?なんだこれ」


クローゼットの中、服の入った引き出しの一番奥に挟まっている袋。
ま、まさかあいつの隠し物か…!?
いやいや、さすがに俺だってわざわざ隠してある物を見るような非道なことはしねーぜ?
そうそう、あいつがこんな奥深くに隠してるもんなんてどうせろくなもんじゃねーだろうし…


「…」


うん。いや、まぁ別にちょっと見るぐらいならバレねぇか。

引き出しの奥に手を伸ばして袋を取り出し恐る恐る中を覗いてみると、そこにはいつぞやの…あの色々とギリギリな下着が入っていた。
あー…確かこれ誰かにもらったとかで…。
そうだ、フェリちゃんの兄貴のロヴィーノ!!
あの時知り合いじゃなかったから何とも思わなかったけど今思えばこの下着あいつが名前に贈ったものなんだよな…。
なかなかいい趣味してるじゃねーか。

結構高そうな下着なのにあいつ一度も使ってねーよなぁ。
勿体なさすぎるぜ!!
っていうかあいつの下着ってどんなのだ…?
下着だけはしっかり自分で手洗いして乾燥機に入れてやがるからなー…。
まぁなんとなくならチラ見した事あるけど。
なんか普通の下着で色気の欠片もなかったぜ!!
この下着つけてりゃあちょっとは色気も出るんだろーけどな…
俺様は色っぽいやつが好きだけど本田は純情っぽい下着が好みらしい。
スカートから見える白地に苺柄はジャスティスとか叫んでた気がする。


「ギルー、ご飯できたよー」

「ほぁあぁあああ!!」

「何変な声出してんの…。って、今何か後に隠さなかった?」

「いいい、いや別に!!何も隠してなんかないぜ!?」

「いや隠した。絶対何か隠した。エロ本か!?ったくもうこれだから男ってやつは…。いいからお母さんにちょっと見せてみなさい、あんたがどんなのが趣味なのか見てあげるから」

「やめろぉおおお!!こんな母親いたらグレる!!いやそうじゃなくてべつに何もねーから!!」

「はいはい。じっとしててねー」


前からぎゅっと抱きしめるようにして背に手をまわした名前は、俺の手に握られていたそれを捕まえてひょいと自分の目の前に持ち上げた。


「……ギルベルト君…?」

「いや、違う!!引き出しの奥に何か挟まってるからなんだろうなーって見ただけなんだぜ!?べつに下心があるとかじゃねーし!!っていうかお前の下着なんて頼まれたって見たくねーっつーの!!」

「うん、分かった。分かったからちょっと一発殴らせろ」

「まっ、待て!!話せば分かるって!!え、ちょっ、何拳振り上げて…いぎゃぁあああああ!!!」


その後しばらく意識が飛んで、気がつくと俺様はベランダに干されてた。
やべぇ…なんかこれ久しぶりすぎるぜー…
ガラス越しに楽しそうに夕飯食ってる名前とアーサーが見えた。
そうか、今晩は天ぷらだったのか…。
美味そうだな…
目から液体が出てきやがったぜ。
あー、しょっぺぇ…






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