「へぇ。アイス君の学校は今週末なんですか、体育祭」

「あぁ。なんか色々準備してるとか言ってた気がすんべ…」


休憩コーナーでコーヒー缶片手に壁に背を預けたノルさんは相変わらずの無表情だ。


「っていうかノルさんってアイス君とも仲いいんですね」

「ちっちぇ時から知ってるしな」

「デンさんの幼馴染ですもんねー。そういえばデンさんも体育祭で何かの種目に参加するとか言ってましたけど…」

「あんこがアイスに恥じかかせねぇように俺も行ぐっぺ」

「うわぁ…ノルさんも苦労が耐えませんね。ご苦労様です」

「そんなわけで」

「そんなわけで?」

「弁当、よろしく」

「……はい?」


グッと親指を立てたノルさんは空になった缶をゴミ箱に捨てて仕事に戻っていた。
え、ちょっ…マジですか…?

先日のピーター君の運動会でのお弁当でもうしばらくはお弁当作らないぞーって決め込んだばかりなのに…!!
うーん、でもアイス君の為にもなるんだよね…。
今週末の19日。
ちょうどシルバーウィークに差し掛かるし休む時間ならたっぷりあるはずだ。
いっちょアイス君の為に頑張ろうかな。



「今帰ったよー」

「おかえり、名前」

「うん、ただいまー…って、アイス君んんんん!?」

「おかえり」

「え、ちょっ、何!!また家出してきたの!?」


学校の制服姿のアイス君は「違うから」と首を横に振った。
えーっと…なんでアイス君がここに居るのかな。


「これ、持ってきたから」

「なに?体育祭のプログラム…?」

「うん。今度の土曜だから見に来て」

「うんうん、今日ノルさんから聞いたよ。お弁当作ってこいって言われちゃった…」

「…余計な事しなくていいのに…」


むすっと不機嫌そうな顔をしたアイス君はリビングに戻ってギルの隣に座った。
なんだかよく分かんないけど仲いいよね、この二人。


「なんだよお前、また弁当作って運動会か?」

「次はアイス君の体育祭だよー。そういえばヨンス君も同じクラスだよね。という事はチームも同じなのかな?」

「ううん。うちの学校はクラスを半分に割って紅白に分かれるから。ヨンスとは敵どうし」

「ありゃま。じゃあアイス君頑張らないとね!!応援しに行くから頑張って!」

「うん。だけど名前もあんまり無理しなくていいから。お弁当とかべつにいいから。作ってくれたら嬉しいけど」

「大丈夫大丈夫。アイス君の為ならなんでもやっちゃうよー私」


心配そうに私を見上げるアイス君の頭をポンポンと撫でてあげると、安心したように微笑んで私の腰に腕を回してお腹に顔を埋めた。
か、可愛いなちくしょぉおお!!


「アイス君夕食食べていくよね?」

「ううん。家であいつが待ってるからもう帰る」

「デンさん?またアイス君の家に来てるの?」

「うん。最近帰りが遅いとノルと二人して説教してくるから鬱陶しい」

「二人ともお兄さんだねー…。それじゃあまた今度ご飯食べにきてね!デンさんとノルさんによろしく」

「うん。それじゃあ土曜日、宜しくお願いします」


律儀に頭を下げたアイス君はギルにひらひらと手を振って帰っていった。


「なかなか素直でいいやつだよな!!嫌いじゃないぜ」

「うん。それじゃあ夕食の準備しようか!!」

「俺様も手伝ってやるぜ!」

「なーに、珍しい。明日雨でも降るんじゃないかなー」

「はぁ?俺様がせっかく手伝ってやろうってのになんだよそれ」

「アハハ。ごめんごめん。それじゃあギルにはハンバーグこねこねしてもらおう」

「お安いご用だぜ!」


ギルと一緒に料理をするとあっという間に夕食の支度ができた。
二人で作ると楽しいよねぇ。
最近はギルもお手伝いはすいすいこなせるようになってきたし、料理も卵料理から卒業してチャーハンぐらいは作れるようになった。
ギルも成長したもんだよねぇ…お母さんは嬉しいよ。
歓喜余ってギルの背中に抱きついて頭を撫でてると真っ赤な顔をしてカチコチに固まっていた。
幸せですなぁ…。
この調子で週末はまたお弁当作り頑張っちゃおう!!
シルバーウィークもあるし沢山家族サービスしたいなー。
ギルと一緒に少し遠くにでかけてみるのもいいかもね!
ふふふ、楽しみだなぁ。





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