「なんだか最近急に肌寒くなったと思いません?今年は秋が来るのが早いなぁなんて今朝思っちゃったんですけど。寒さを肌で感じると故郷が懐かしくなったりするんですよね〜」

「そうだよねぇ。もう巷では秋限定のデザートやらであふれ返っててさぁ。誘惑に負けちゃいそうなんだよね」

「あ、それ分かるなぁ。パンプキンケーキとか見たらつい買っちゃいますもんね」

「そうそう。ほんと秋だよね〜」

「んだな」


9月に入って早くも肌寒さを感じる今日この頃。
いつものようにスーさんとティノ君と一緒に昼食をとりながら他愛の無い会話に花を咲かせた。


「そういえば今度さ、アーサーの弟君の運動会を見に行く事になったんだー。ピーター君っていうすっごく可愛い子なんだけどね、当日両親が来られなくって親子リレーに参加できないから私が代わりに出てあげるんだー」

「へぇ〜!!いいですね、そういうの!」

「父親は誰がやんだ…?」

「一応トニーさんが来てくれる事になってるんだよね。だけどギリギリまでバイトがあるらしくて間に合うかどうか不安だなぁ…」

「じゃ、俺が行ぐ」

「え?す、スーさんが!?」

「間に合わねがったら大変だない」

「そ、それはそうだけど…。今週の土曜日だよ!?スーさん用事とかあるんじゃ…」

「さすけね」

「わぁ!じゃあ僕も一緒に行ってもいいですか?一度運動会っていうものを間近で見てみたかったんですよ〜!!」

「私は構わないけど…。ピーター君に聞いてみるね。だけどスーさん、本当にいいの?」

「んだ」


大きく頷いたスーさんはそれ以上何も言うなと言わんばかりに手に持っていたデザートの寒天ゼリーを私の口の中に押し込んだ。
うん、美味しい。っておいおいおい!!
スーさん私が食べ物与えれば静かになるとか思ってない…?
図星だから何も言えないんだけどね…


―――




「運動会の日さぁ、お弁当作って行こうと思うんだけど子供が喜びそうなお弁当ってどんなのがいいんだろう…」

「キャラ弁だろキャラ弁!!」

「キャラ弁って何?」

「よくあんだろ、キャラクターを模った弁当。ドラえもんとかトトロとか」

「あー…でもあんなクオリティーの高そうな物…。それに皆で一緒に食べるんだからそんなのダメ。却下」


親指を立てて逆さに向けると口を尖らせるギル。
片手で両頬を摘んでやれば「やみぇろブス」とデコピンされた。


「うーん…おにぎりに卵焼きにー…から揚げとか?本田さんに聞いた方がいいのかなぁ。大人数になるだろうから沢山用意しないといけないし…。うわぁ、前日は地獄だな…」

「母親みたいな発言だぜ」

「ピーター君のお母さんの代行だからね。アーサーのお母さんの事だから本当はもっと凄い事してくれるんだろうけど…」

「弁当の中にキャビアとか金粉とか」

「どんなバ金持ちだよ。いや、在り得るのか…?あとでアーサーに聞いてみようか」


私の作るお弁当なんて庶民中の庶民のお弁当だろうけど…。
ピーター君の喜んでくれるお弁当一生懸命作らないとな。
スーさんとティノ君も来てくれるっていうし楽しい運動会になるよね。
そういえばこの間ヨンス君がヨンス君の学校でも体育祭があるとか言ってたけど…もう終わっちゃったのかな。
明日にでもデンさんに聞いてみよう。

ギルの頬に添えていた手を頭の上に乗せてぐしゃぐしゃに撫でてやると「俺様のキューティクルに何しやがる!!」と髪をぐちゃぐちゃにやり返された。
ギルがやたら楽しそうにするもんだから私も調子にのってじゃれてしまった。
まぁ、幸せだからいいか。





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