8月も今日が最終日という事で、街中に若い学生の姿が少なくなったのを見るとなんとなく顔がほころぶ。
今頃皆宿題におわれてるんだろうなぁ…。


「アイゴォオオオ!!全然宿題終わってないんだぜぇええええ!!」

「知りません。香君、王耀さんは?」

「野暮用で出かけるとか言ってた気がするけど」

「そっかぁ。それじゃあテイクアウトお願いしてもいい?今日は仕事が大変だってさぁー。もう家に帰って作る気がしないよ」

「ウイッシュ」

「名前っ、お願い!!お願いなんだぜ!!ちょっとでいいから手伝ってくださぁあああい!!」

「もー…。前に手伝ってあげた時に宿題しないで遊んでたのが悪いんでしょうが。アイス君はちゃんとやってたのに」

「あいつ名前の前ではいい子ぶってるし。いつもはもっと変な威圧感出してて怖いんだぜ」

「いいから早く手ぇ動かしなさい。湾ちゃんに手伝ってもらえば?」

「湾は怖いんだぜ。前に湾の大事にしてた茶碗割ったら筋肉バスターしかけられたんだぜ」

「凄いなそれ」


湾ちゃんの体のどこにそんな力が…。
って、そんな事はどうだっていい。
今日は疲れたし早く帰ってご飯食べよう…。


「そういえば新学期が始まってすぐに体育祭があるんだぜ」

「へぇ。ヨンス君好きそうだね」

「父兄の競技もあるから兄貴にも参加してもらうんだぜ!マンセー!でもアイスは親が忙しいから来れないらしくて、代わりに親戚のオッサンが来るって言ってた」

「それって…」


言わずもがな、デンさんだよね…。
うわぁ、可哀想なアイス君。
デンさんなんかに頼まなくても私が代わりに行ってあげるのになぁ。


「名前。テイクアウトできた」

「ありがとう香君!それじゃあヨンス君、宿題頑張ってねー」

「アイゴアアァアアア!!」


―――




「ただいまー」

「おぉ。なんか遅かったな」

「うん。」

「今日仕事が大変だったからテイクアウトしてきちゃった」

「マジかよ。まぁそこの中華美味いからいいけどよぉ」


お腹を空かせていたのか私の手に持っていたビニール袋を受け取りそそくさとリビングに戻っていった。


「ギルー、着替えるからそれお皿に入れてチンしていてね」

「へーへー。つかなんかよく分かんねぇの一緒に入ってんだけど」
「うそ、なんだろう」


シャツのボタンを外しかけたままギルの元に近寄るとそこには注文した覚えのない亜細亜飯店の容器が入っていた。
中を開いてみるとほこほことした丸くて桃色の桃まんが入っていた。

うわぁー…これ香くんが入れてくれたのかなぁ…。


「なんだこれ」

「桃まんだよ。多分香くんがサービスで入れてくれたのかなぁ」

「すっげー美味そう!!早く食おうぜ!!」

「うん!」


温めた料理をテーブルに並べて二人で一緒に手を合わせた。
やっぱりここの料理は最高だなぁ〜!!
調子に乗っていつも食べ過ぎちゃうのが少々問題だよねぇ…。
香君が作ってくれたであろう桃まんは中に餡子やカスタードが入っていてすっごく美味しかった。これもまた新作なのかなぁ…。
またお礼言っておかないとね!
そういえばヨンス君…宿題大丈夫だったかなぁ。
可哀想だけ泣きながらでもやらなきゃいけないのが夏休みの宿題だ。
あんな偏差値の高い学校に居るから宿題も相当多いんだろうなぁ…。
頑張れヨンス君。遠くからエールを送っているよ。



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