「そろそろ世の学生達は夏休みも終わりなんだねぇ。アイス君とヨンス君宿題終わったのかな」

「あのヨンスとかいうやつ全然進んでなかったからやべぇんじゃね?」

「かもね。まぁ王耀さんに手伝ってもらってるでしょ」


お風呂上りのまったりとした時間。
いつもお風呂から上がって寝るまでの時間はリビングでテレビを見たり本を読んだりとゆっくり過ごしているわけなのですが…。


「ちょっとギル、ソファー狭いんだから足広げないでよ」

「あぁ?お前のケツがでかいせいだろ」

「うふふふ…ギルベルトくーん。そんなにぶっ飛ばされたいの?」

「嘘です。ごめんなさい」

「分かったらもうちょっと詰めて」

「なっ、足で蹴んなよ!!」

「っていうか本田さんに借りたその漫画邪魔なんですけど。なんでそんなに沢山借りてくるわけ?ちょっとずつ借りろよバカ」

「はぁ!?お前全然分かってねーぜ!!もう3巻ぐらいまで読んじゃったらそのまま一気に読まねーと気がすまねんだよ。気になって他の事が手につかねーっつの」

「だから今日部屋の掃除するの忘れてたんだなお前。やっとけって言ったよね。ばれないとでも思った?ちゃんと見てるんだからね、私」

「あー…。明日やる、明日」


漫画の本から視線を外さないギルは返事半分で返した。
ちくしょう、こいつ本当に分かってんのかな。いや…分かってないか。
最近甘やかしすぎたから一発厳しく躾けてやろうか。
エリザの所に連れて行って…。いや、それはあまりにも可哀想だよね
…んー、やっぱり私ってギルに甘いなぁ。


「きっと将来子供が産まれてもこんな感じなんだろなぁ…」

「は?」

「んー。将来子供が産まれたら甘やかしちゃいそうだなぁって」

「こ、子供ってお前…。そんな予定あんのかよ!?」

「ねーよ。もしもの話だから。まぁ実際子供がいたら親バカになりそうだなぁ私。そのくせ放任主義だったり。子育てはギルに任せようかな」

「俺!?そ、それって…」

「だけどその前にギル付きでもいいって男の人を探さないとね。家事と子育てはギルに任せて夫婦で共働きってのもいいよねー。いっその事ルート君と結婚すれば丸く収まるんじゃない!?うわぁーいいアイディア!!」

「そっちかよ!?ああもうなんでお前はぁあああ!!ぐぉらぁあああ!!」

「いだっ!!何!?痛い痛い頬つねんなぁあああ!!」

「誰が大事な弟をお前なんかにやるかぁあああ!!テメェなんか眉毛とくっついてろ!!いや、今の無し今の無し。眉毛はダメだ絶対」

「意味分かんないよお前」

「だあああ!!もうむかつくぜこの女ァアアーっ!!」


ぎゅっと掴まれた頬が横に引き伸ばされる。
仕返しと言わんばかりに思いっきりギルの左頬を掴んでやるとちょっと涙目になっていた。
その後も小さな喧嘩が始まったかと思えばそれは激しいものへと進化し、私が胸倉を掴んで馬乗りになったところでギルは両手を挙げて降参のポーズをとった。
少しやりすぎたかな…。
そのままの状態でギルの頭を撫でてやると、ギルは真っ赤な顔で「うっ…」と下を向いた。
なんだかよく分かんないけど…可愛いな。
そんなわけで無駄に体力を使ってしまった私達はお互いそのまま寝床について就寝した。
あぁもう、つねられた頬が痛い。


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