「き、昨日はその…本当に悪かった…」

「自分で何したか覚えてんだ」

「いや、後でフランシスから聞いて…その…」


とても一人では抱えきれないほどの薔薇の花束を差し出したアーサー。
すっごく匂いがきついのですが。


「覚えてないなら言ってあげようか?私の腰を厭らしい手付きで撫でながら今日どんなパンツ「うわぁあああああ!!!言うな!!あれは俺じゃない!!誇り高い英国紳士の俺がそんな事言うわけ…!!」

「いや、お前言ってた。なぁ本田」

「えぇ。言っておられましたね」


パピコの生チョコ味を貪り食いながら淡々と答えるギルと本田さんにアーサーは地面に膝をついた。


「も、元はといえばお前らが無理矢理俺に酒飲ませたのがいけないんだろバカァ!!」

「テメェが酒弱すぎんだよ!!」

「とにかく!!!自分のした事は謝るからな!これで許してくれ」

「花束で許してもらえると思ってるんだ。アーサー君は私が物に釣られるような単純な女だと思ってるんだね、そうかそうか」

「……お前の食べたがってた高級ホテルのケーキもあるぞ」

「マジで!?ひゃっほぉおお!!アーサー愛してるぜぇええええ!!」

「(単純なやつで良かった)」


花束をギルに持たせてアーサーからケーキを受け取り軽い足取りでリビング戻る。


「ふふふ〜。あ、そうだアーサー。今日は肉じゃが作る予定だったけどカレーにするね!アーサーカレー大好きだもんね!今から作るから待っててね〜!」

「見ろよあの変わりよう」

「私も今度美味しいケーキでも買ってきましょうか…。一度でいいから名前さんに”お兄ちゃん”と呼ばれたいんですよ、私」

「20代半ばの女がお兄ちゃんはどうかと思うぜ…」

「セーフです。名前さんならセーフです」

「うるせぇよ、そこ」


ケーキを冷蔵庫に入れて夕飯の料理の食材を取り出す。
お風呂上りにでもゆっくり食べよう〜!
アーサーに腰触られたぐらいであんなにいいケーキもらえるなら安いものだよ。
フランシスさんだったら絶対許せないけど。

手早く作ったカレーを大盛りにしてアーサーの前に置くと嬉しそうに目を輝かせた。


「むむ…。これは美味しいですね…。名前さんまた料理の腕を上げられたのでは?」

「えへへ。最近いろんな人に食べてもらう機会が多くなったからつい気合入れちゃうんですよね」

「これならいつでもお嫁に行けますね…。ふふふ、名前さんの花嫁姿はとても綺麗でしょうね…。私がデザインしたドレスを着た名前さんとバージンロードを歩く事が爺の野望」

「変な野望持たんでください」

「は、花嫁姿か…」

「アーサー。カレーこぼれてる。白いシャツにカレーこぼしてる」

「うおお!?」

「ケセセ。ダサすぎるぜお前」

「人の事言えないからね。服に水こぼしてんじゃねーよ」

「あ…」


ったくもう世話のやける奴らだなぁ…。
それにしてもお嫁さんなんて…。まだまだ先の事だけどやっぱり憧れちゃうよね。
真っ白なウエディングドレスを着て大好きな人とバージンンロードを歩いて…。
その相手が誰になるのかはまだまだ先になってみないと分かんないけどねー


「そうだアーサー。さっきもらった薔薇の花友達にわけてあげてもいい?あんなに沢山合っても飾りきれないし」

「ああ。お前にやったんだから好きにしろよ」

「ありがとー。会社に持って行って飾ろうかな。スーさんとティノ君にもあげて…」

「ちょっと待て!男はやめろ!!異性に薔薇の花を贈るってのは、その…とにかく男はやめろよなバカァアア!!」

「なに騒いでんだこのマユゾン」


ピーピーと喚くアーサーを無視して花束の一部を取り分けて別の包装紙に包んだ。
あとはエリザとローデリヒさんトニーさんと…。
王耀さんのとこにも持って行ってあげようかな。
茎を取った薔薇を一本取り出して夕食を食べ終わり一服しているギルの髪に添えてみた。
やたらとギルの銀髪に真っ赤な薔薇が映えて似合っていたのがなんとなくむかついた事は内緒にしておこう。


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