「あー体だるい…」

「名前さんもしかしてクーラー病なんじゃないですか?ほら、ずっとオフィスの冷房がきつい場所で仕事してますし…女性は特に冷えに弱い体だからクーラー病になりやすいってテレビで言ってまたよ」

「マジでか…。確かに冷房のきつい場所に居る事が多いような…」


やだなぁクーラー病なんて。いつからこんな現代染みた習慣病にかかるような体になっちゃったんだろう…。
ともかくクーラーに頼らないで体を温める事が大事だよね。
冷えは下半身からって言うし足元から暖めて…


「うおーい!!差し入れ買っで来たっぺー!」

「デンさん。外まわりお疲れ様です」

「ほれ、土産」

「マカロン、ですか?」

「んだ。なんか新しい店でおめの好きなもんとかわがねがっだがら片っ端から買ってきたっぺさ」

「全種類…!!美味しそう〜!ありがとうございます、デンさん!!」

「おめぇにお礼言われんのきしょくわり」

「…貴方が上司じゃなかったら一発殴ってるとこですよ」


デンさんからマカロンが大量に入った紙袋を受け取りコーヒーと一緒に皆に配った。
甘いものが苦手な人たちも居るから譲ってくれてラッキーだよねぇ。
沢山あるから余った分はギルのお土産にしてあげようかな。


――――



「たっだいまー」

「おっかえりー名前!!!」

「お、お帰りなさい名前さん!」

「あらアルフレッド君にマシュー君」

「今晩ここに泊めてもらいたくて来たんだよ〜!!実は明日の朝早くから大学で映画の撮影があってさ!!家からじゃ遠いしな!!」

「いきなりすみません…。あ、僕はアーサーさんの所に泊まらせてもらうのでアルフレッドだけよろしくお願いします…」


相変わらずのマシンガントークと消え入りそうな声で喋った双子はそのままリビングへと戻っていった。
反対意見は認められないわけですね…。
まぁ別にいいけど。
だけど夕飯のおかず足りるかなぁ…。アルフレッド君は人の何倍も食べる子だしね。
リビングに入るとギルベルトとアルフレッド君がレースゲームで対戦をしていた。
仲良いよなぁ…。


「あ、名前さん…これお土産なんですけど…良かったら貰って…?」

「そういえばマシュー君カナダに行ってたんだっけ」

「うん。この間名前さんにメイプルシロップ喜んでももらえたから今度はもっと沢山買ってきたよ〜。日本には売ってないやつだからいっぱい買い込んじゃった…」

「うっわぁ〜!こんなに沢山…!!ありがとうマシュー君!このシロップ私もギルも大好きなんだよ〜。この間マシュー君にもらったやつはいつの間にかギルが全部食べちゃってて少ししか味わえなくってさぁ。ありがとね、マシュー君!」

「ううん!喜んでもらえてすっごく嬉しいよ」


嬉しいなぁ。わざわざこのシロップの為にカナダまで行ってたんだね…。
今度なにかお礼しなくっちゃなぁ…。


「ギルー。マシュー君にシロップもらったよ」

「マジかよ!?あのメイプルシロップマジで幸せになれるぜ!!」

「ちゃんとお礼言いなさいよー」


今度はギルに食べられてしまわないようにいくつか見つからない場所に隠しておこう。
ったくあいつすぐに盗み食いするくせに全然太らないんだもんなぁ…羨ましすぎるぜ…。

その日の夕食、弟達と一緒に食事ができることが嬉しいのか始終ニヤニヤしているアーサーをアルフレッドが「キモい」と連呼していた。
本当にアーサーの事毛嫌いしてるよなぁこの子は…。
リビングでゲームをしながら眠ってしまったギルとアルフレッド君にタオルケットを掛けてあげて自分もベッドの中に入った。
明日の朝はアルフレッド君とマシュー君にお弁当作ってあげようかな。
朝ご飯はマシュー君に貰ったメイプルシロップをかけたホットケーキにするのもいいかもしれない。
翌朝ベッドに夜中に忍び込んできた上半身裸のアルフレッド君が居る事なんて思いもしない私はそのまま深い眠りに落ちるのだった。

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