「名前ーっ!!!宿題手伝って欲しいんだぜ!!」

「ヨンス君…あのねぇ、お姉さんもお仕事忙しいから。王耀さんに見てもらいなさい。あ、香くーん!テイクアウトでゴマ団子お願いしまーす!」

「ウイッシュ」

「どうしてもダメ?俺がこんなに困ってるのに名前は無視しちゃう?酷すぎるんだぜ!!名前なんておっぱいえぐれればいいんだぜ!」

「ふふふ、ヨンス君ったら…言って良い事と悪い事があるって知ってる?」

「あいごあぁあああ!!!名前が勉強見てくれるって言うならアイスも連れてくるんだぜぇええ!!!」

「よし、今夜家においで」

「ま、マジですか!?マンセェエエエ!!」

「っていうかさっきから煩いんですけど…。どうでも良いから黙ってほしい的な」

「さては香俺の事が羨ましいんだぜ?ってあいだだだだぁああ!!中華鍋でゴリゴリするの反則なんだぜ!!アイゴォオオオオ!!!」


仕事で外に出たついでに立ち寄った亜細亜飯店。
お昼も過ぎた中途半端な時間という事もあってか店内にお客さんの姿はなく、カウンターに座って夏休みの宿題をしているヨンス君とDSで太鼓の達人をプレイしている香君の姿があった。
まぁそんなわけで成り行きで今夜ヨンス君とアイス君の勉強を見てあげる事になったんだけど…。
どうやら教科は英語と数学らしい。
ちゃんと教えてあげられるかなぁ…




「ただいまー」

「おい名前。アイスと変な奴が来てるぜ」

「え、もう来てるのあの二人!?」


家に帰るなり玄関まで出迎えに来たギルははどこか楽しそうにリビングを指差した。


「あ!名前!!お帰りなんだぜ!!」

「お帰り…」

「ただいまー。二人とも来るの早かったね」

「俺はまだ早いって言ったのにアイスが早く行きたいって我侭言ったんだぜ」

「違う。お前が早く行きたいって言ったじゃん」

「嘘ついてんじゃねーんだぜぇええ!!」

「あーはいはい分かったから。二人とも勉強しに来たんでしょ?教えてあげるから問題集出してー」

「「はーい」」


二人の鞄の中から出てくる問題集の数々。
そ、そういえばあの学校ってレベル高かったよね…。
私なんかが教えて上げられるのかなぁ…。


「名前、ここ教えてほしいんだぜ」

「英語かぁ。えーっと、そこは代名詞が使ってあるから…」

「名前。ここ教えて」

「横から入ってくんじゃねーんだぜアイス」

「煩い。あんまり名前にくっつかないでくれる?」


……この二人本当に仲いいの?
性格のタイプも違った二人だしなんか威圧感出してるし。


「ギル、ヨンス君の英語見てあげてよ。って、ギル英語大丈夫だっけ?」

「俺様8ヶ国語喋れるんだぜ!?英語くらい簡単すぎるぜー!」

「そんじゃあヨンス君はギルにみてもらってねー」

「えー。っていうかこいつ誰なんだぜ?見た事ない奴なんだぜ」

「それは同居人。いいからとっとと宿題すませちゃうよー」

「同居人んんんん!?そんなの聞いてないんだぜ!!酷いんだぜ、兄貴に訴えてやるんだぜアイゴォオオ!!」

「煩い」


わんわん泣き喚くヨンス君だったが数分後には宿題そっちのけでギルとおっぱい談義に花を咲かせていた。
本当にコロコロ表情が変わる子だよなぁ…。
っていうか宿題しに来たんじゃないの…?
アイス君は元からきちんと宿題をやっていたのかもうほとんど終わってしまっていた。
ふふふ、いい子だなぁ。
問題が解けて嬉しそうにしているアイス君の頭を撫でてあげると次から問題が解ける度に撫でてくれと言わんばかりの目で訴えかけてきた。
アイス君って猫みたいでかわいいよねー。


「名前。携帯鳴ってる」

「んー?ありがとアイス君。もうすぐ晩ご飯できるから二人とも食べて行ってねー」

「マンセェエエ!!」


アイス君から携帯を受け取り画面を確認しないまま通話ボタンを押し耳に当てると、電話の向こうから泣き声が聞えてきた。


『グスッ…ち、ちぐしょ〜…』

「ろ、ロヴィーノ君!?」

『俺が名前の家行こうとしてたらフェリシアーノの奴がついてくるって…だから俺ばれないように行こうとしていたのにあいつ俺にくっついてくんだよ…だから全然お前の家行けなくて……独り占めしたいのにあいつが邪魔すんだよちくしょぉおおおお!!!めそめそめそぉおおお!!』


うん、全くもって何が言いたいのか分かりません。
なんかロヴィーノ君泣いてるし、受話器越しにフェリシアーノ君の泣き声も聞えるし。
また兄弟喧嘩しちゃったのかな…。
おそらくロヴィーの君が言いたいのは、彼は一人で私の家に遊びに来たかったのにフェリシアーノ君が一緒に来たがるからなかなか遊びに来れないって事なんだろうね。
なにもそんな事で泣かなくてもいいと思うけど…


「あー。別にフェリシアーノ君と一緒でもいいじゃん?」

『嫌だ!!誰があんな奴一緒につれていくかよ!!』

『ヴぇ〜!酷いよ兄ちゃーん!!俺だって名前に会いよぉ〜兄ちゃんばっかいつもずるいよぉおお!!』

『お前はじゃが芋と仲良くやってればいいだろ!!』

『ムキムキじゃなくて柔らかい女の子がいいんだよぉお〜!!兄ちゃんおーねーがーいー!!!』

「あー…もう二人でおいでよ。ね?今週末の土日なら休みだから」

『仕方ねーなちくしょー…じゃあ土曜にお前ん家行くからな!!絶対予定入れるんじゃねーぞ!!』

「はいはい。ちゃんとフェリシアーノ君も連れてきてあげるんだよー」

『気が向いたらな!』

『酷いよ兄ちゃん!!』

『うっせー黙れ馬鹿弟!!!』


その後も数分間受話器越しで彼らの兄弟喧嘩を聞かされた後に強制的に電話を切った。
相変わらずだよね、あの兄弟も…。
心配そうにこちらをみているアイス君に「
大丈夫だよ」と一声かけて夕食をお皿に盛り付けた。
二人とも美味しそうに食べてくれておかわりまでしてくれたもんだからお姉さんとっても嬉しかったよ〜。
アイス君は宿題終わったみたいだし良かった良かった。
それに比べてヨンス君はあんまり進んでなかったみたいだよね…。
新学期は大丈夫なのかなぁ。
まぁあと二週間以上もあるしなんとかなるでしょう。
学生は夏休みが長くていいよねぇ。
そういえばアルフレッド君たちもまだまだ夏休み続いてるんだよね。
見たい映画があるから今度アルフレッド君を誘って見に行ってこようかなぁ…。


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