本日は土曜日で仕事お休み!と言うわけで、ギルと一緒に食材の買い物に出かけた。


「何で俺まで一緒に行かなくちゃなんないんだよ」

「いいからいいから」


めんどくさそうにダラダラ歩くギルの三歩手前を歩く私
なんで並んで歩いてくんないかなぁ、こいつ。


「買い物ついでに何か欲しい物ないの?エロ本とかAVとか」

「こんな会話前にもしたよな…」

「あ、そういえば…」


ギルを拾った次の日に買い物行ったんだっけなぁ。
そっか、今日でちょうど一ヶ月になるのか。
一ヶ月前の夜、ギルをゴミ置き場で拾った。血まみれで傷だらけだったギルは今ではすっかり傷も塞がっているし、刺々しい雰囲気も無くなった。

たかが一ヶ月、されど一ヶ月。
最初は不安もあったけど今はこいつを拾って良かったって思えるなぁ
ギルはどう思っていようと、私は後悔なんてしない。
口悪いしグータラでどうしようもない奴だけど私は奴が大好きだ。


「ふっふふ〜」

「何いきなり笑ってんだよ気持ち悪い…!!」

「ちょっ、あからさまに遠ざかるなよ。失礼な奴だなー」

「お前が笑顔だと何か企んでるようにしか見えないんだよ」

「何を言うかねギルベルト君。こんな純粋な笑顔に向かって何を言うか!」

「何が純粋だよ腹黒のくせして」

「今日のビールおあずけね」

「嘘ですごめんなさい」


聞き分けもよくなってきたな、こいつ。


「名前ちゃ〜ん!!」

「あれ、トニーさん」

「こんなとこで会うなんて偶然やわ〜」

「うげ…。お前今日バイトはどうしたんだよ」

「今日は珍しくバイト入ってないねん。スペイン語スクールもピザ屋も新聞配達もベビーシッターも!!すごない?」

「そんだけ掛け持ちしてるあんたが凄いです」

「名前ちゃんに褒められたら照れるわ〜」


頬をほんのりピンクに染めてふわふわと笑うトニーさん。
うわー、癒されるなぁこの人。


「今からどっか行くん?」

「うん。食材買いに行くだけだけどね」

「お前は帰ってトマトの栽培でもしてろ」

「まだシーズンには早いから大丈夫やっちゅーに」

「え、トニーさんトマト作ってるの?」

「そやで〜。アパートの庭が空いてるからそこでトマト作っとるんや。夏になったらようさん採れるさかい名前ちゃんにもおすそわけするわな〜!!」

「嬉しい〜!トマト大好きだからありがたいよ」

「はぁ…ほんま名前ちゃんは天使みたいな子やんなぁ…。俺胸いっぱいやわぁ…」

「こちらこそ癒しをありがとう」

「いやいやこちらこそ…」

「立ち話もなんだし、どこか入ってお話しない?」

「おい!」

「いいじゃん別に。ギルは来たくなかったら来なくていいよ」

「そやそや俺ら二人だけで行こ名前ちゃん。こんな不憫な奴はほっておくのが一番や」

「誰も行ねーなんて言ってないだろ!!しょうがねーから一緒に行ってやるよ」

「何このでかい態度。うざー。ね、トニーさん」

「そうよそうよ〜。やんなっちゃうよね〜名前ちゃん」

「なんで標準語なんだよ」



―――



「おいコラフランシス!!ついてくんじゃねーよ!!」

「いいじゃん別に〜。今日こそお前の好きな女の子を一目拝みたいしねぇ〜。一日中ついて行っちゃうよお兄さん」

「髭むしるぞ髭。ったくなんでこんなオッサン引き連れて買い物しなきゃなんないんだよ!!」

「オッサンって!!ちょっ、お前とちょっとしか歳変わんないでしょーが!!」

「見た目からしてオッサンなんだよお前は。ったく…口喧嘩してたら喉渇いちまったじゃねーか」

「どっか店入るか?」

「だな。確かこの辺りにあいつの行きつけのカフェがあるとか言ってたような…」

「あいつって例の女の子?むふふ」

「なんだよその笑いは…。ほんとお前殺すぞ」

「はいはい。お、あそこじゃないのか?」

「あぁ、それっぽいな。入ろうぜ」

「あぁ」



―――



「名前ちゃん行きつけのカフェか〜。楽しみやなぁ」

「女の店員さんと友達になったんだけど、その人がすっごい美人でしかも胸でかいんだよ!!もう絶世の美女!!」

「友達になったなんて初めて聞いたぜ、俺」

「初めて言ったんだから当たり前でしょ」

「むかつく女…」

「甲斐性無しの男に言われたかないわなぁ名前ちゃん」


ギルって仲間内でも可哀想なポジションなのかなぁ。
あ、半泣きになってる。


「ギルってトニーさん以外に友達居ないの?」

「どういう意味だよ」

「あと一人つるんでる奴おるんやけど、名前ちゃんは会わん方がええわ」

「だな」

「どうして?」

「「どうしても」」


いったいどんな友達か気になっちゃうじゃないか。
会える機会があればいいけどなぁ〜


「ついたよ。ここ」

「ほあー、ええ雰囲気のお店やなぁ〜」

「店員どこだ店員」

「お前はそればっかだな」


えーっと、エリザは何処に居るのかな。
ローデリヒさんも居てくれてるかな〜。あのピアノを二人にも是非聞かせてあげたい。


「あら名前!!」

「エリザー!!二人とも、この人がさっき話した美人の店員さんで「なっなんでアンタがここに居るのよぉぉおおーー!!!!」

「エリザベータ!?」


へ…?


「え、何知り合いなん!?」

「何を騒いでいるのですかエリ…って、アントーニョ…!?」

「えぇえええ!?なんでローデリヒがこんなとこにおんねん!?」

「それはこっちの台詞ですよ!!あなた日本に居たのですか!?」


え…?ちょ、え…?


「何騒いでんだ…って名前!?」

「アーサー!?何でここに…」

「たまたまこの店に入って…。何の騒ぎだよコレは」

「それが私にも何がなんだか…」

「おいアーサーその可愛い子誰だよ。お兄さんにも紹介し…。…あ」

「うぎゃぁああああ!!この間の変態ぃぃいい!!!」

「「「「何ぃいいいい!!??」」」」

「え、何アーサーの好きな子ってこの子!?」

「名前に変な事しやがったのお前か!!!」

「ちょっとこの変態アーサーの知り合いだったの!?」

「うげぇーー!!フランシスやん!!変態ってお前名前ちゃんに何かしたんじゃ!!」

「え?もしかしてトニーの言ってた子って…え?」

「テメェ…!!カリエドじゃねーか!!」

「はぁあああ!?なんでカークランドがこんなとこにおるねん!!!」

「えっと…なんか頭こんがらがっちゃったんですけど…」

「ギルベルト死ねぇえぇえええ!!!」

「やめっやめろエリ、」


ガンッ


「ギルぅううう!!!」

「え、何ギルも居んのかよ!?」

「テメェまた俺にボコられに来たのかよカリエド」

「あ゛ぁん?こっちの台詞じゃい。性懲りもなく出て来よってからに!!また腕へし折られたいみたいやなぁおんどれは!!!」

「トニーさんんんんんーーー!?」

「名前ちゃん離れとき」

「何をやっているんですかお馬鹿!!」

「え…えり、ざ…」



だ、誰かこの状況説明してください…


(あれ、なんかデジャヴ)








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