「いやぁ。実は先日ネットの掲示板にとある店で現在入手困難であるゲームソフトが数量限定で発売されると言う情報が流れていまして。半信半疑ながらもこの情熱を抑えつける事はできずつい徹夜で開店待ちの列に並んでしまいました…」

「そんな理由でぽち君預けたんすかあんた…」

「お蔭様でゲームソフトも買えました。これも名前さんのお蔭ですよヒャッホウ!あ、すみません徹夜明けなものでテンションを抑えつけられませんん。今すぐ名前さんのお手手撫で撫でしたいですハァハァ」


目の下に隈を作って息を荒くする本田さんを見て自然と足が数歩下がった。
仕事から帰ってくるなりこの騒ぎ。
っていうか家帰って寝ろよ本田さん。


「やヴぇえええ!!このゲーム凄すぎだろ!?作った奴神!!」

「ギルベルトさんもそのゲームの素晴しさが分かりますか…。ふふふ、成長しましたねぇギルベルトさん」

「本田、俺はお前に出会えてマジで良かったと思うぜ…」

「ギルベルトさんっ…!!」

「ほどほどにしないと見詰め合ってるとこ写真に撮ってエリザに送りつけますよ」

「それはご免です。被写体が自分なのはとてもいたたまれませんから」

「何の話だよ」

「ギルは知らなくていいの」


自室に着替えには行かず、重い腰をソファーに降ろして大きくため息をついた。
今お盆休み前で仕事の追い込みかけてるとこなんだよねぇ…。
休み間に問題のないように頑張っておかないと…。
だけど流石に今日は疲れた。


「お疲れですか?」

「はい、ちょっと」

「お盆休み前ですからねぇ…。そういえばアントーニョさんやアーサーさんも一緒に名前さんの実家に行かれるとか。私も是非ご一緒させていただきたかったのですがなんせ締め切りが近くて…。もちろん海には予定通りご一緒させていただきますよ」

「本田さんも大変ですねぇ…。っていうか締め切り近いのにこんなとこで油売ってていいんですか」

「はい、ダメですね。そろそろおいとまさせていただきます」

「またゲームやらせてくれよ」

「はい。また伺いますので。さぁぽちくん、帰りましょう」

「キューン」

「我が侭を言ってはいけませんよ。家に帰っておやつをあげますからいい子にしましょうね」


まるでぽちくんの言っている事が分かるかのように会話をした本田さんはぽちくんを抱えて「それではまた」と帰っていった。
私も着替えてこなくっちゃ…。
今日の晩ご飯は亜細亜飯店で買ってきたものだから料理しなくてすんで良かったよー。
王耀さんに感謝です。


「お前青白い顔してんぞ」

「貧血かなー。そういや今日は忙しくて昼ごはん食べてないや…」

「はぁあ!?何やってんだよお前!?死ぬぞ!」

「昼抜いたぐらいで死にませんー。でも思い出したらお腹すいてきちゃった」

「座ってろアホ。俺がやる」

「え…ギルできるの!?」

「チンして盛り付けるだけだろーが!!馬鹿にすんな!」

「それじゃあお任せします」


ふふふ、ギルが晩ご飯の用意してくれるだなんて思いもしなかったなぁ…。
ちゃんと私を気遣ってくれてるんだなぁなんて思うと頬が緩んでしまった。
着替えをすませてソファーで横になっていると、次第に机の上に料理が並べられていった。
美味しそうー…。香君の作ってくれたプリプリエビのエビチリ…。プリプリでプルプルしててすっごく美味しいんだよねぇ…。
いけない、本当にお腹すいてきたよこれ!


「準備できたぜ!!」

「わー!ありがとギルーッ!!」

「まぁこれぐらいどうってことないぜ?」

「それじゃあいただきまーす!!」

「おう!」


んーっ!!美味しいぃいい!!
やっぱり王耀さんのお店の味は他のとこと比べて一味違うよねぇ…!!鶏肉もジューシー!!


「あんまがっついて食うと太るぜ」

「うるせぇ。昼食べてないからいいんだよー」

「確か夜沢山食べると太るとか言ってなかったか?」

「どうしてそう痛いとこつくのお前は。あと一日頑張らないといけないんだから沢山食べておくんだよ!」


空いた胃の中に沢山ご飯を詰め込むとなんだか元気になれた気がする。
後片付けを済ませてソファーでテレビをみているギルの膝の上にダイブしてそのまま顎を置く。
びっくりして石化したギルは数秒固まった後にみるみると顔を真っ赤に染めてぎこちなく私の体を離そうとしてはみるものの、動こうとしない私を見て諦めたのか、大きくため息をついて私の頭を乱暴に撫でた。
あ。やばい、これ。寝ちゃいそう。
お腹いっぱいになって横になって…疲れも堪ってたからだなぁ…。
このまま寝ちゃってもいいかなぁ。
うん、いいよね。仕方ないからお風呂は明日の朝シャワー浴びておこう。
明日もお仕事大変だけど、あと一日頑張ればお盆休みだもんね!
よし、明日も頑張ろう!!

ギルの膝に顔を埋めて「おやすみー」と呟くと「寝るのかよ!?」と声が上から降ってきた。
その後も「あー」だの「このポジションは…」だのなんか呟いてたけど、それも今の私にとっては子守唄のように聞えるよ。
おやすみーギルー


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