「エリザーお待たせ〜!」

「名前〜!!こっちこっちー!」

「ごめんねー遅れちゃって!!」

「いいのよ!!ふふふ、今日の名前すごく可愛いわ」

「なんのなんの、エリザの美貌に比べたら月とスッポン…いや、超高級のフランス料理とバナナの皮ぐらいの格差だよ」

「何言ってるの〜。私がフランス料理なら名前はイタリア料理よ!」

「うん、例えがわけ分からなくなってきたね」

「うふふふ…ねぇ名前。ちょっと質問してもいいかしら?」

「何?」

「名前の後ろにけ好かない連中が見えるんだけど、これって私の幻覚よね?」

「ごめんエリザ、幻覚専門はこっちの眉毛なんだ…」

「眉毛って言うなよバカァ!!」


はい、ごめんなさい。本当にごめんなさいエリザ。
今日はエリザと二人っきりでお買い物の予定だったんだけど、ギルとアルフレッド君とアーサーと本田さんまで一緒についてきてしまいました。
いや、私は止めたんですよ?そりゃもう必死に止めましたとも。
だけどアルフレッド君は駄々こねて「一緒に連れてってくれないと嫌なんだぞ〜!!」って床の上に寝転がって暴れるし、本田さんがその横で「私も名前さんの水着を選びたいんですぅううう!!」って床に寝転がって暴れて大変だったんです。
ギルはギルで「エリザのおっぱいが見たい」って言い出すしアーサーさは「こいつらが行くなら俺も行ってやるよ。べ、別にお前と一緒に買いものに行きたいとかそんなんじゃ(以下省略)」って言うもんだからね。
うん、本当にごめんなさい。


「理由は分かったわ…。名前も大変ですものね…。今回は名前に免じて許してあげます」

「ありがとうエリザ…!」

「だけど私と名前の仲を邪魔したら容赦しませんからね。あと菊さん、後で一緒に本屋さんに行きましょう」

「合点承知之助」

「古いですよ本田さん」

「そうと決まったら早速水着を買いに行こうじゃないか!!俺も新しい水着買っちゃおうかなぁ」

「そうだ、ギルの水着も買ってあげなきゃね。クマさん柄でいい?」

「なんだよそれ!?大人用でそんな柄売ってねーよ!」

「俺も買っておくかな…水着」

「アーサーは競泳水着みたいなやつにしてね。やたらもっこりしちゃうやつ」

「なんでだよ!?」

「いやぁ、なんとなく」

「嫌だ!!ぜってー着ないからなそんなの!!」

「そういうのはフランシス担当だと思うぞ!」

「それもそうか」


水着を買うべく向かった先は可愛い雑貨屋さんや服屋さんなどが沢山あるショッピングセンターのような所。
ちょうど学生の子達は夏休みに入ったばかりで、辺りに若々しい女の子や男の子の姿が目立った。


「これなんてすっごく可愛いと思わない?あっ、でも名前なら花柄でも可愛いわよね!チェック柄とかボーダーとかも似合うと思うんだけど…」

「ここはフリルをふんだんに使ったデザインで行きましょう。これなら名前さんの無い胸もカバーできますよ!!!」

「スクール水着でいいんじゃねぇ?」

「お、俺はこれなんて良いと思うぞ…」

「うわぁ…なんだいアーサー、その水着…。君の趣味丸出しで気持ち悪いよ…。俺はこの星条旗デザインのビキニが良いと思うぞ!」

「うん、皆ちょっと落ち着こうか。一度にそんなに選べないからね、私も」


お店につくなり皆一斉にバラバラになったかと思うとそれぞれ何着か水着を抱えて戻ってきた。
エリザはともかく、他の男連中は恥ずかしくないんだろうか。
さっきアーサーが真剣な顔してビキニ選んでるの見た店員さんが怪しい目で見てたよ。


「名前はどういったデザインが好みなの?」

「うーん…できればシンプルなのがいいかなぁ。あとできるだけ胸が強調されないものでお願いします」

「ならこれなんてどうかしら?」

「あ、うん。じゃあそれで良いです」

「もーなんだよ名前!もっと真剣に選ばないとダメなんだぞ!!」

「試着されてみてはどうです?実際に着てみないとわからない事もあるでしょうし」

「試着…!?」


なんで過剰反応するんだ、アーサー。
だけど皆の前で水着姿になるなんて恥ずかしすぎるよ…!!
助けを求めるようにエリザに視線を送ると、「それじゃあ私と名前だけで試着の見せあいっこしましょう!こんな所で男性陣には見せられないわ!」と私の腕を引っ張ってくれた。
良かったー…でもエリザと一緒に試着室に入るのもなんだか恥ずかしいなぁ…


「さぁ名前、脱いで!」

「ぬっ、脱いでと言われましてもねぇエリザさん…!!」

「だいじょーぶ。女の子同士ですもの!なんなら私が脱がせてあげましょうか?」

「遠慮します!!って、やめてエリザァアア!!無理矢理剥がないでくださいお願いしますからァアア!!」

「うふふふ…女の子同士の特権よねぇ…」


妖しく微笑んだエリザは「それじゃああっち向いてるわね。私も試着しちゃおっと!」と言って私に背を向けた。
これでもかなり恥ずかしいのですが…。
さっさと試着を済ませて買い物を終わらせよう…。


「着てみたよーエリザ」

「やだ…!!すっごく可愛いわよ〜!私が男だったら今すぐにでも襲っちゃいそうね!」

「エリザの水着もすっごく似合ってるね〜!!っていうか…胸がはみ出てる…」

「もう少し大きいサイズないのかしら…。日本のサイズはちょっと小さい所が悩み所よね」

「エリザの胸が大きすぎるんだよ…。そんな格好してたら男が喜んで集まってきちゃうなぁ…。いざとなったらギルにボディーガードでもやらせればいいか。」

「あぶないのは名前の方でしょ?童顔貧乳萌え〜とか言ってる男だっているんだからちゃんと気をつけておかないとね!」


外で本田さんがくしゃみをする声が聞こえた。


「それじゃあこれで決まりね!名前と海に行けるのが本当に楽しみだわ!」

「私も!」


試着室から出てみると男性陣が悔しそうな目でこちらを見ていた。
そんな妬ましい目でみなくでも…。
それから男性陣の水着を選び、お会計を済ませた。
ちなみにギルの水着はうさぎちゃん柄だ。
不満そうな顔をするギルに「絶対ギルに似合うと思うんだよね。着て欲しいなぁ〜…」と頼み込むと「しょーがねーな…」と渋々承諾してくれた。


「あれ、本田さんは買わないんですか?」

「えぇ、私はフンドシですから」

「……」

「冗談ですよ。三歩下がらないでくださいよ傷つきますから」


ごめんなさい本田さん、冗談に聞えませんでした。


「名前名前!!浴衣があるぞー!!」

「浴衣かぁー…そういえば今度近くでお祭りがあったよね」

「そういえばそんなものあったような…。何時だったっけな…」

「確か次の木曜だった気がしますね。どうです皆さん、浴衣を着て行かれるというのは」

「いいですね」

「夕方からだよな?多分間に合うよな」

「うん。エリザは?お仕事入ってる?」

「えぇ…すっごく残念だわ」

「お土産買ってくるよ。リンゴ飴とかでいい?」

「ええ!ありがとう名前」


私もクローゼットの奥にしまってある浴衣出しておかなくちゃなぁ…
だけど流石に男物の浴衣は持ってないよなぁ。実家に行けば沢山あるけど。


「本田さん、男物の浴衣とか余ってませんか?」

「沢山ありますよ。ギルベルトさんの分ですよね。用意しておきます」

「ありがとうございます」

「俺も着んのかよ?」

「日本の夏の楽しみってもんでしょ〜」

「俺も着るんだぞ!!だけど着つけが分かんないなぁ〜」

「じゃあ私がやってあげるよ。浴衣もっておいで〜」

「イエーイ!!」


なんか夏らしくなってきたなぁ。
去年の夏はスーさんとティノ君と一緒にキャンプに行ったんだっけ…。
暑さに弱い二人がヘロヘロになっちゃってて私一人でテント張ったんだよなぁ…。
今年も良い夏になりそうだ。

それから皆で一緒にご飯を食べて、本屋さんに行って…。
本屋に入るなり私とアーサー以外の皆は漫画コーナーに行ってしまった。
目を輝かして漫画を選ぶ4人はとても生き生きしていた。
好きだねぇ、皆…。
ギルとエリザが何かの漫画について討論をしているのを見て、なんだかよく分からないけど嬉しくなった。
幼馴染だもんね、二人とも。

夕方になってエリザと分かれ、アルフレッド君も「そろそろマシューと仲直りしてやりに帰るんだぞ!」と言ってバイクにまたがり自宅へ帰っていった。

今年は長かった梅雨も明けてようやく夏がやってきたって気分になってきたよね。
今年はギルも一緒だし、楽しい夏を満喫できそうだなぁ…。
ふふふ、ギルのうさちゃん水着姿が楽しみだ!


.


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -