「うー…体中痛い…。アーサー、ちょっと足揉んでくんない?」

「しょうがねーな…。ほら、足出せ」


昨日のスポーツ大会のお蔭で体中痛くてたまらない今日この頃…。
ギルは本田さんと一緒に新しいゲームの発売記念イベントって奴に行ってしまった。
まぁたまにはギルが居ない方が静かでいいよねー。


「あー気持ち良いー…このまま寝ちゃいそー」

「寝るなバカ。そういやお前去年もこうやって俺にマッサージさせてたよな…」

「そうだっけ?明日はエリザとお買い物に行く約束してるからさぁ〜。今日の内に元気になっておかないとね」

「エリザベータと、か…」

「一緒に水着を買いに行きましょうって誘われててね。エリザが私の水着選んでくれるって言うから」

「そういえばそんな話してたな。女性二人なんだからあんまりウロウロすんなよ?あと変な奴に声かけられても無視しろ、無視!!」

「へいへーい」


お前は私の父親か!とつっこみたい所だったけど、足揉んでもらってるし今日の所は何も言わないでおこう。


「そうだ…。上司に美味い酒もらったんだけど一緒に飲まないか?」

「お酒?こんな昼間っから飲むの?」

「たまにはいいだろ。あのアホもいねー事だし…た、たまには二人っきりで飲むってのも悪くないんじゃないかな、うん…」

「まぁいいけど。だけど飲みすぎないでよ?酔っ払ったりした問答無用で放り出すからな」

「わ、分かってるよバカァ!今もって来るから待ってろよ!」


まぁアーサーと二人で飲むなんて久しぶりだからいいか。
何かおつまみになるようなものあったかなぁー…


「ハロー名前〜!!あっそびに来たんだぞぉおおお!!」

「ってアルフレッド君んんんん!?え、今チャイム鳴らした?鳴らしてないよねぇ!?」

「あぁ、鍵が開いてたから勝手に入ってきたぞ!」

「不法侵入ぅうううう!!」

「それよりお腹すいたんだぞー…。あと今晩泊めてくれないかい?マシューと喧嘩しちゃってさぁー…」


ああもうこの子は…!!
人様の家にお邪魔する時は声をかけるとかチャイムを鳴らすとか教わらなかったのかかなぁー…。


「おーい、酒持ってきた…って、アルフレッドぉおお!?こんなとこで何してんだよお前!!」

「なんだアーサーも居たのかい?がっかり〜」

「がっかりって何だよ…!!お前こそ何の用だよ」

「俺はただ名前と一緒にイチャイチャしたくてさぁ。そうだ名前ー、お土産にケーキ買ってきたぞ!」

「まじでか!アルフレッド君大好きーっ!!!」

「なっ…なに食べ物につられてんだよ!!」

「ふははは…アーサーは分かってないなぁ…」

「何がだよ!?」


さすがアルフレッド君、気が利くなぁ…!!
ケーキは後に取っておいて今はアーサーのお酒をよばれよう。
酔わない程度にちびちび飲んでれば大丈夫だよね。


「なんだい、そのお酒」

「上司に貰ったんだよ。いい酒なんだとさ」

「だったら俺も飲みたいんだぞ!」

「お前はまだ未成年だろーが。ジュースでも飲んでろ」

「えー飲みたいんだぞー!!」

「そうだ。アルフレッド君にも飲めるお酒があったはず…」

「本当かい!?」

「なんだよそれ…」

「確か前にギルが試しに数本買って飲まなくなったやつが…あったあった。はい、子供のビィル」

「…なんだい、これ…」

「だから子供のビィル」

「ギャハハハハ!!良かったなアルフレッド〜!!それならお前も飲めるじゃねーか!!」

「ちゃんと泡も出るんだよ〜」

「もぉおお!!なんだよなんだよ二人して俺をからかって!!あと1年もすれば俺だって飲めるようになるんだからな!!俺はもう大人なんだぞ!!」

「ふははは。まだまだ子供だねーアルフレッド君は」


自分で大人なんて言ってるうちはまだまだ子供だよ、アルフレッド君。
アーサーにお酒をグラスに少し注いでもらい、ちょびっと口に含むとなんとも言えない甘みと深みが口いっぱいに広がった。


「美味しい!」

「ん…美味いな。って、これ10年ものじゃねーか!!」

「うっそぉお!?そんないいお酒よくくれたねぇ上司の人…」

「だよな…。うん、すんげぇ美味しい」

「チェッ。俺だけ仲間はずれじゃないか…。いいさいいさ、俺は一人で子供のビールを飲むさ…」

「拗ねなさんなアルフレッド君。二十歳になったら一緒にお酒飲もうね」

「ぶー。だけど名前は酒に弱いじゃないか」

「それは言わないお約束ー」


このお酒けっこうアルコールがきついらしくて、ちびちび飲んでなかったら絶対に酔いつぶれてたと思う。
ギルなんかはおもいっきりがぶがぶ飲んでそうだけどねー


「そういえば今日ギルベルト居ないなぁ」

「今気付いたの!?今日は本田さんと一緒にゲームのイベントに行ってるよー」

「なんだって!?くそー俺も行きたかったんだぞ!!また今度菊に頼んで一緒に連れてってもらおーっと」

「アルフレッド君も好きだねぇ。私なんて格ゲーかマリオカートしかできないよ」

「名前は見た目が若くても中身は実年齢より10歳は年上だからな!!最新のゲームにも疎いはずだよ!!」

「…どういう意味かな、それ」


確かに昔から歳のわりに落ち着いてるとか言われてきたけど…
そ、そんなにオバサンなのかなぁ私…。
まぁアルフレッド君みたいな若い子にしてみたら私なんてオバサンか…うふふふ。


「ねぇアーサー、さっきから黙ったままだけど大丈夫?」

「んー?あぁ、らいじょぶらいじょぶ…」

「って顔赤いし呂律回ってねーよ!何酔っちゃってんの!?」

「酔ってねーよ…ただお前が三人に見えるだけだ」

「それ酔ってんだよマジでふざけんな」

「最悪だな、アーサー…」

「うっ…ヒック…そんな目で見なくても…!!小さい頃はあんなに俺に懐いてたのに!!あっアルゥウウウウ!!」

「わーわーわーわー!!聞えない聞えない。名前、酔っ払いの相手はしないほうがいいんだぞ!」

「うん」

「ぐずっ…昔は俺の後ろにくっついてきて…アーチャーって…うううう…」

「ああもう黒歴史だよ!!」

「ふふふ…アルフレッド君にもそんな時代が…」

「もう!!やめてくれよ名前まで!!ちょっとアーサー頭冷やしてきた方がいいんじゃない?っていうか自分の部屋に帰ってくれよアーサー」

「ヒック…そうだよな、俺にはもうお前しか居ないよな、名前…。隣同士ってシチュエーションって色々フラグ立ってるよな」

「なんのフラグだよ。死亡フラグ?」

「このマンションには不憫フラグしか立ってないと思うぞ、俺は」


あーもう、完全に酔っちゃってるよ…。
アーサーは酔うとひたすらうじうじと泣き言を言ったかと思うといきなり笑って服脱ぎだすんだよなぁ…。
まぁ好きにさせておこう。いざとなればアルフレッド君も居る事だし


「って何脱ごうとしてるんだよ君!!名前、アーサーが服脱ぎだしたんだぞぉおお!!」

「放っておこう。あんまり関わると変態が感染るよ」

「ギャハハハ!!名前〜もっと飲もうぜ〜!!なぁ!?」

「くっつくな変態!!ってもう服脱いでるし!!脱ぐのはいいけどせめてパンツは履いててよね!?」

「ヒック…今日はあのプー太郎も居ないことだし名前とあんな事やこんな事もしてやろうかなぁ…べ、べつにお前のためじゃなくて俺の為なんだからな…」

「うわぁ…うわぁ…気持ち悪いぞアーサー…」

「アーサー、アルフレッド君が本気で引いてるからその辺にしときなって」

「うるせぇえええ!!もっと酒ーーっ!!!」


酒癖悪いのって本当に性質悪いよなぁ…。
ギルみたいに酔うと甘えてくるのはまだ可愛い方か。
その後、裸になった挙句私の背中にべったりくっついたアーサーはアルフレッド君の手により気絶させられた。
アーサーの鳩尾に拳を入れるアルフレッド君がいつもより数倍かっこよく見えたよ…。
まさにヒーローだよねぇ。なんて褒めてあげると「じゃあ悪い敵を倒したヒーローにヒロインからのキッスをくれよ!」と何やら要求されたので「善処します」と答えておいた。
それにしてもアルフレッド君容赦なかったなぁー…。
夕方になってギルと本田さんが帰ってきて、床で倒れているアーサーをチラリと見たが何も見なかったのように「今日のイベントすごかったんだぜ!」と興奮気味に話を始めた。
うん…ちょっとアーサー可愛そうだったかなぁ…。
目を覚ましたらちょっとは優しく労わってやろう。その夜はギルと本田さんとアルフレッド君によるゲーム大会が行われ、私が眠りについた後も夜遅くまでゲームを続けていたらしい。
アーサーはその間もずっと床で眠り続けたままだった。
流石にアーサーが心配だけど…まぁあいつの事だし明日には何時ものように「ば、ばかぁあ!なんで俺裸なんだよ…も、もしかして…いや、そんなわけないよな!!だってお前は服着てるし…。はは、ハハハハ!!」なんて頬を染めて素敵な勘違いをしてくれるに違いない。

明日はエリザとお買い物!
楽しみだなぁ〜!


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